【動画】マンタにカメラ装着、驚きの奇策とは

ざらざらなエイの肌に吸盤をつけるために使う意外なモノ

2017.05.18
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【動画】ナショナル ジオグラフィックの研究者たちがマンタの背中に吸盤を取りつけるために使った驚くべき方法とは(この調査は、カリフォルニア湾海洋プログラムとマンタ・トラストの協力で行われた)。

 動物に取りつける「クリッターカム」というカメラがある。ナショナル ジオグラフィックの科学者たちが開発したもので、彼らはこの30年間でさまざまな改良を重ね、70種以上の動物の生活や詳しいデータを記録してきた。(参考記事:「ヒョウアザラシ目線で見る狩り、衝撃の映像と生態」「【動画】体を点滅させて言葉を交わす巨大イカ」

 そして、奇策が必要なときもある。

「グレッグと私は、それが誰のアイデアかをめぐって何年も議論することになるでしょう。だから、私のアイデアだと書いておいてくださいね」。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーで海洋学者のジョシュ・スチュワート氏は、電子メールでジョークを飛ばした。

 氏はマンタ(Manta birostris:オニイトマキエイ)を調査するために、クリッターカムのパイオニアであるグレッグ・マーシャル氏、カイラー・アバナシー氏とチームを組んだ。2016年のことだ。(参考記事:「地球のいのち マンタの饗宴」

 このチームは、マンタが多く生息するメキシコの太平洋岸に潜り、マンタを傷つけないように吸盤を使って背中にカメラを取りつけた。音声と動画に加え、泳ぐ速度や位置、深さ、温度に関するデータも集められるものだ。

 ところが、メキシコのバンデラス湾で潜水調査を行った際に、ある問題が発覚した。カメラを取りつける吸盤は、なめらかな皮膚を持つクジラやアザラシなどの海洋哺乳類用に作られている。対して、マンタの皮膚は紙やすりのようにざらざらしているため、吸盤でしっかり固定するのが難しいのだ。(参考記事:「【動画】クジラの背中から撮影、南極海の迫力映像」

 サメやエイの皮膚は、水の抵抗を減らして高速に泳げるように、歯状突起という細かい歯のような突起に覆われている。吸盤をしっかり押しつければ、3時間ほどマンタについていたこともあった。外れたカメラは海面に浮かび上がり、チームは無線信号を手がかりに回収できる。だが、うまくいかないときは1分ともたなかった。(参考記事:「「バイオロギング」で迫る海洋動物の素顔」

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