カンヌ映画祭のネットフリックス作品除外で論争続く
ローレン・ターナー、エンターテインメント担当記者
17日に南仏で始まったカンヌ国際映画祭で、動画配信サービス大手ネットフリックス製作の作品を来年から除外するという決定をめぐり、映画祭初日に早くも論争が再燃した。除外に賛成する今年の審査委員長ペドロ・アルモドバル監督と、俳優で今年の審査委員のウィル・スミス氏が意見を戦わせた。
カンヌ映画祭では今年初めて、最高賞パルムドールを競う部門にネットフリックス製作の2作品(ティルダ・スウィントン主演の「Okja」と、エマ・トンプソン主演の「The Meyerowitz Stories」)が出品された。しかし映画祭の主催者は、来年からはフランスの映画館で上映されることを出品の条件にした。
審査委員長のアルモドバル監督はこの変更に賛成し、映画はあくまでも大画面で観る必要があり、この問題について心配していると述べた。
映画祭冒頭の記者会見でアルモドバル監督は、映画館で公開されていない作品は審査対象にするべきでないと情熱的に主張した。
あらかじめ用意した声明を読み上げながら、監督は「そう言うからといって、私が新しいテクノロジーや、それに伴う可能性を受け入れないとか、歓迎しないとかそういう意味ではありません」と説明した。
「ただし自分が生きている間は、新世代が気づいていない一点のために闘い続ける。つまり大画面が視聴者を夢中にさせる、その力のために」
「神経衰弱ぎりぎりの女たち」や「オール・アバウト・マイ・マザー」など数々の作品で知られる監督は、パルムドールなどの賞が「映画に与えられながら、その映画を大画面で観られないなど」考えられないと強調した。
強い調子で力説する監督に、会場は拍手で応えた。
今年の審査委員には俳優のウィル・スミスさんやジェシカ・チャステインさん、パオロ・ソレンティーノさんが参加。19作品の中から、パルムドール作品を選ぶ。
一方で、「メン・イン・ブラック」などの人気俳優ウィル・スミスさんは、大監督に異論を唱えた。カンヌ審査委員として初の記者会見で熱弁をふるったスミスさんは、ネットフリックスと映画を製作中で、自分の子供たちは週に2回映画館に行くし、ネットフリックスも観ると話した。
「子供たちが映画館に行くことと、ネットフリックスで観るものとはほとんど重ならない」とスミスさんは言い、両者は「別々の異なる娯楽の形だ」と主張。ネットフリックスは「たくさんの(作品との)出会いの機会をもたらしてくれる」と話した。
「うちではネットフリックスは、ありがたいの一言だ。(子供たちは)ネットフリックスがなかったら観なかったはずの映画を観ている。おかげでうちの子供たちは世界中の映画を幅広く理解するようになった」
(英語記事 Cannes Film Festival: Will Smith and Pedro Almodovar clash over Netflix)