「給食のご飯が四角いアルミパックで出てくるのは静岡だけ」という衝撃の事実に、「マジで!?」と衝撃を受ける静岡県民が続出しています。あれは本当に静岡県だけなのか、静岡県学校給食会に取材しました。
きっかけとなったのは、とあるTwitterユーザーが5月17日に投稿した写真。あの銀色のアルミパックご飯の画像とともに、「静岡だけって聞いたけど、マジで?」と驚きをツイートしたところ、「全国区だと思ってた……」「他県は違うの!?」と大騒ぎになりました。すいません、筆者も静岡出身ですが、正直他県もアレだと思っていました……。
他県民のために一応説明すると、筆者の場合は小学1年から6年まで、このアルミパックご飯でした(中学以降は弁当)。銀色の四角いアルミ容器の中に、ちょうど1人分のご飯が入っていて、同じくアルミのフタで密閉されています。フタで密閉されているのは恐らく、この容器でそのまま炊いて配っているため。毎回1人分ずつご飯を炊いていると考えると、実はけっこうすごいシステムなのかもしれません。
静岡県学校給食会に取材したところ、この方式は“個人別炊飯方式”と呼ばれており、「確かに静岡県で多く採用されていますね。一部ですが、他の県でもこの方法を採っているところがあるというのは聞いたことがあります」とのこと。ただ現在は、他県でもメジャーな「クラス別炊飯方式」(クラスの人数分をまとめて炊飯し、食べる時に器によそう方式)への移行が進んでおり、今でもこの方式を採っているのは、浜松市や藤枝市、焼津市などごく一部の地域だけなのだそうです。
では、なぜ静岡だけこの方式が主流になったのか。理由を聞くと、そもそもこの方式が普及したのは、米飯給食が導入された昭和51年(1976年)のことだったと言います。それまでの給食はパンが中心だったため、当時はまだ大量のご飯を一気に炊ける施設がほとんどありませんでした。
そこで、今まで使っていたパン窯を使ってご飯を炊くにはどうしたらいいか……? と開発されたのが、この「アルミ容器」でした。これなら容器に米と水を入れて、フタをしてパン窯にまとめて入れれば、あとはパンを焼く要領で大量のご飯を炊くことができます。特に静岡県ではこの方法がいち早く確立・導入されたため、一気に「個人別炊飯方式」が主流に。逆にアルミ容器の導入が遅れた他県は、給食センターや専用の炊飯施設などで炊く「クラス別炊飯方式」が主流になっていったのだそうです。
また「アルミパックご飯」ならではの人気メニューも。
「これでご飯を炊く時に、少ししょうゆを加えると、ほんのり茶色い『さくらご飯』になります」(静岡県学校給食会)
そうそう、さくらご飯! 要はただのしょうゆごはんですが、給食で出てくるとなぜか異様においしく感じた記憶があります。一部では「桜飯」や「茶飯」とも呼ばれ、静岡のローカルフードとして話題になったこともありました。
使った容器は後日回収し、アルミサッシなどの材料として再利用するなど、環境にもしっかり配慮。ただ、静岡県内でもやはり最近は「クラス別炊飯方式」が主流になっており、「個人別炊飯方式」を採用する学校は年々減ってきています。静岡県学校給食会によると、静岡市もこの4月からちょうど、アルミ容器からクラス別炊飯に切り替わったとのこと。「これ全国区じゃなかったの!?」という静岡県民も、やがては少数派になっていくのかもしれません。
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