【ぶっこみ事例Ⅳ(上)】これは算数なのか数学なのか


「事例Ⅳ」は算数ですか、数学ですか。

この答え、いつもの通りどちらも正解。「事例Ⅳ」が算数であれ数学であれ、試験合格に至った年1,000通りの考え方全てがマイベスト。

それを、これは算数!いや数学・・と言い争うのはいかがなものかと。

ではまず用語の定義。

算数:正しい結果を得ることに価値を置く
数学:結果そのものより、その結果に達したプロセスに価値を置く
出典:Naverまとめ ダイヤモンド社書籍オンライン 大人のための中学数学勉強法

ふうん、たかがネット記事がいいこと言ってる。では「事例Ⅳ」を算数、数学どちらに捉えると「有利か」。頻出CVP分析を使って検証。

「事例Ⅳ」は算数・数学どちらに近いか

その答えは簡単。「事例Ⅳ」を

  • 算数で解けば合格点。
  • 数学で解くと高得点。

1⃣算数で解けば合格点

例えば頻出CVP分析なら、既に紹介した通り、以下2点を必ず使わないと作問できない。ここは解き方を覚える「算数」でOK。

<必須①>限界利益率の計算、(直接原価計算PLの作成)
<必須②>固定費÷限界利益率=SBEP (SBEPの公式)

2⃣数学で解くと高得点

「今年の試験は定規を持ってこい」。CVP分析の作図を突然出題し、受験側を震え上がらせたのが、2010年「事例Ⅳ」。当問は数学的な理解を問う。

第2問(配点25点)
(設問1)
部品Qの損益分岐点図表は次ページに示されたとおりである。
①納入価格を20%引き下げた場合、②納入価格を30%引き下げた場合のそれぞれについて、解答用紙の損益分岐点図表に総費用線を描け。また①および②の場合の損益分岐点売上高を所定の解答欄に埋めよ。
(設問2)
D社はZ社から提示された案のうち、どちらを受け入れるべきか、その理由とともに60字以内で解答せよ。
当問の解き方(ネタバレ注意)
1売上高2,823の時、変動費が1,129発生し、限界利益率=60.00%
2<必須①>同じ変動費で売上高が×0.8、×0.7の時の限界利益率の式を書く。
3<必須②>固定費1,640を限界利益率で割り、SBEP①3279.42 ②3825.76。
4①②を通る総費用線をグラフに描き入れる。

当問は、<必須①>で販売単価が×0.8、0.7での限界利益率が計算できないと0点。<必須②>でそれぞれSBEPを求め、そこを通る総費用線を描き入れれば25点満点。

合格仮説の導出
・得点開示の時代では、「事例Ⅳ」1問で25点差KOになる出題はしにくい。
・2010年の様な数学荒稼ぎとは、問題難化時だけのボーナス点。
・人並みA判定60点なら算数の解き方暗記で確実。
・無理に数学で理解するより、その分「事例Ⅰ~Ⅲ」の実力を磨く方が「有利」。

「事例Ⅳ」を戦略的に解く

「財務は毎日コツコツやりましょう!」 そんな無責任な指導を鵜呑みに、無計画にダラダラやると、「事例Ⅳ」どころか「財務」の合格実力さえ怪しい。その認識が一巡したと見たら、自分は一歩先の手を打つ。

  • 「事例Ⅳ」ハイライトの一つは、戦略的(構造的)意思決定会計=NPV法。
  • 戦略的意思決定とは、その投資判断が将来に渡り持続的に収益を生むこと。
  • では「事例Ⅳ」の解き方も、将来に渡り持続的に収益を生む形を目指しては?

もし「事例Ⅳ」対策に早期着手済なら、これほど有利な選択は他にない。

・「財務」「事例Ⅳ」は、解き方を体で覚え、算数的に解くと合格点。
・体で覚えた解き方は持続し、忘れない。だから早期着手でOK。
・一方、「Ⅳ」に早期着手する、数学的に理解する余裕が生まれる。
・算数、数学どちらでも解ける様にすると、問題への対応力がUP。

 

診断士「財務」、例えば「合格請負」的な指導のデメリット※は、簿記の基礎をすっとばし、算数的に答えを出す解き方への偏重。裏返すと、その人たちと争う以上、算数的に答えを覚えてA判定60点なら必ず取れる。そこで少し視点を変えた仮説を導出。

※これは指導が悪いのでなく、簿記をすっ飛ばし試験で苦戦した挙句、「2次」を何度も受け続ける方への受験指導としてごく正しい。ただ「算数として解かれる」ことには、2010年過去問が示す通り、出題側は時に拒絶反応。

 

合格仮説の導出
・初学スト生なら、「事例Ⅳ」対策を7月末までに終える。
・その戦略的意思決定は、以下の効果を将来に渡り持続的に生む。
①「事例Ⅳ」対策は「財務」対策を兼ねる。
②「事例Ⅳ」レベルの「財務」対策=本番70~90点。「1次」の通過がラク。
③8月以降の「事例Ⅳ」実力は現状維持。その分「事例Ⅰ~Ⅲ」に注力。
④「1次」通過がラク→ファイナンス、法務など「事例Ⅳ」知識問題の対応力UP。

今日のまとめ

今朝は、【イケカコエクセル】シリーズで良い議論があったので、予定を変えて「算数か数学か」の話を臨時掲載。当初予定していた「国語の試験」の記事はこの後12:00に公開します。

 

出題側は「数学の試験」として解いて欲しい。でも種々の事情により、算数的な解き方を覚えて対応する方が現実的。さらに出題側のジレンマは、

  • 「算数の試験」を避けるとどうしても簿記的な出題になるけど、
  • 「簿記が出来る奴だけ合格」する試験にはしたくないこと。

すると今後の「事例Ⅳ」出題傾向もおおよそ読める。うふふ・・。
→金曜日に(下)を投稿予定

今はっきりしていることは、算数、数学どちらでも良い。それなら「算数、数学どちらでも解けるようにしておく」が最適解ではないかしら? ではまとめ。

・「事例Ⅳ」対応は人それぞれ。自分のやり方が正!と主張するのは如何なものか。
・算数で解けば合格点。数学で解けば高得点。自分のやり方は自分で選ぶ。
・戦略的意思決定会計を学ぶと、自分の学習スタイルも戦略的に決定可能。
・学習余力があるスト生は、7月までの「事例Ⅳ」対策完了が今後有利な選択。


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