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hydeとユキの恋愛1
まずは、hydeとユキの恋愛の話しから始める。
まだインディーズだった頃のラルクのhydeと美人な女性ユキが初めて出会ったのは、1993年の秋だ。
日付けはおそらく、11月12日。
場所は、長野のライブハウスJだ。
突然、変な事を言ってる風に思われているかもしれないが、私には、生前のユキの記憶と、二人の恋愛の記憶が、なぜか頭にある。
つまり、自分が生まれる前の記憶を持っている、という事。
ユキは、とあるトラブルに巻き込まれて、私を妊娠した直後に病院で自殺した。その時に、hydeに対して未練を残したユキの魂が、私に乗り移ったのだ。
では、ユキの代わりに、hydeとの恋愛の話を語ろう。
時は1993年の秋、
私、ユキ(苗字は忘れた)は、美人だけど非情に大人しく気弱な性格だった。
身長は165cmぐらいで、たしか短大か4年生の大学を出たと思う。
年齢はは27歳で、普通のOLをやっていた。
しかし、声が小さいのと、自分の顔へのコンプレックスで、人と話す事や、人付き合いが本気で苦手で、その不器用な性格を理由に、よく、いじめられてた。
幼い頃からずっといじめられっ子で、大学時代以外はずっとそんな感じ。
友達も少なく、美人で通ってる割に恋愛経験も27歳にしてほぼゼロだった。
その為「幽霊」って嫌味っぽく人からあだ名つけられたりしてた。
大学を出て今の会社に普通に就職したのだけれど、大学時代が楽しかったので、自分が極度に人とコミュニケーションを取らない人間だと言う事を忘れていて、油断した。
そのせいで、職場の女性達からハブられるようになった。
職場では完全に浮いた存在になっていた。
だから私は、日に日に、美しい人形のような幽霊を演じる事に努めるようになっていった。
いつも、静かに、黙々と仕事をこなすだけ。
しゃべらないロボット。
または、幽霊。
たまには、人形、と呼ばれることもあった。
もしかしたら、本当に自分は幽霊だったのかもしれない、と、思うようになっていた。
そんな時、
職場の女性達が、インディーズのラルクのLIVEのパンフレットを持って見ながら言った。
「ユキさんって、ヴォーカルのhydeに顔が似てるわよね。」
「親戚?」
「もう、また、無反応なんだから。」
一応、「そうかな?」と、返事をしたのに、声が小さい自分に本当に嫌気が差す。
「ほら、見てごらんなさい。あなたに目元とか顔立ちがちょっと似てない?」
と、職場のおば様Aさんが、わざわざ私の机に寄ってきて、パンフレットのhydeを見せてくれた。たしか、2~3枚ぐらいあって、私はその長髪で神様みたいな格好をして写ってるhydeに少し恐怖を感じた。絶対に普通の人じゃないと確信できた。
ちなみに、パンフレットのhydeは前髪がないロングヘアーだけど、私は眉のとこぐらいまで前髪があって、ちょっと茶色い毛で、髪の長さは肩までだった。
「男性にしては、目が大きいですね。」と、私は感想を述べた。
「そうよ~!目が大きくてクリクリで、そこら辺の女の子よりも可愛い顔してて、背が小さくて線が細くて儚げで中性的で、人気があるのよ~!」
「でも、ユキさん、あなたとhydeと顔が似てるわよ。本当に。」
「あ、やっぱり、そうですね。」と、私は真剣に答えた。
「ほらね。もしかしたら親戚かもしれないわよ?」
「あ!そうだ!!」
「今度、ユキさんをラルクのLIVEに連れて行ってみよう!!それでhydeの目の前に立たせるのよ!」
「ね!ユキさんの分のチケットも取っといてあげるから、今度、一緒に行きましょう!」
「はい。」
という訳で、
私はその、長野のライブハウスJで行なわれるラルクのLIVEに行く事になった。
気弱で、大人しくて控えめな性格の私に、ロックバンドのLIVEなんてちょっと似合わない、また、浮いてしまいそう、と、思いながら、でも、会社の近くだから、ついでに行ってみよう、と思って、行った。
その日は、まだ11月なのにすごい雪で、足元にザクザク雪が降り積もっていた。
ここからは記憶が飛び飛びになるんだけど、その、長野のライブハウスJの中に私は入っていって、そこで普通にラルクがLIVEやってた。
そのド真ん中にまぶしくスポットライトを浴びながら激しく歌ってるhydeがいた。
観客は15~20人ぐらいだった為、すぐにhydeの目の前に立てそうだったけど、hydeの凄まじいオーラに圧倒されて、
「そういえば、おば様たち・・・・。私をhydeの目の前に立たせる作戦を立ててなかったっけ?」と思ったら、おば様たちはすっかりhydeに夢中でキャーキャー黄色い歓声あげてた。
だから私は、おば様たちがちょっとhydeの傍を離れてから、hydeの顔を間近で見に行こうと考えた。
そんな事を冷静に考えながら、ステージにちょっと距離をとってぼんやりその光景を眺めながら後ろの方で突っ立っていた。
すると、テッちゃんの方にもファンがいっぱいついてるのが分かったので、私は先にテッちゃんの方へと歩み寄った。
正直、一目惚れだったのだ。
テッちゃんが出してる暖かいオーラに、私は一瞬で魅了された。
だけど、テッちゃんをじーっと見つめても全く、頑なに目を合わせてくれなかった。
それが物凄くショックで、テッちゃんは私の事が嫌いなのか?とさえ思った。
本当にhydeに顔が似ているのなら私に興味を持ってくれそうなのに、一瞬にして希望が失われた気がしたからだ。
テッちゃんは意外と冷たい人なのかもしれない、と、思えるほどだった。
そしたら、hydeの前に群がってる女性達の人数が減ったようなので、私は勇気を出してhydeの方に歩み寄っていった。
そして、真剣に激しく歌ってるhydeの横顔を、真顔で冷静に下から覗き込んだ。
じーっと、5、6秒ぐらいhydeの横顔を観察した。
結果、「言うほど似てないな。」と、思った。
だけど、hydeは私のその大胆不敵な謎の行動に興味を示したらしく、横顔で、口元だけ不適にニヤリと笑ってた。
ここからも記憶がうろ覚えなんだけど、MCでhydeが私に名前を聞いてきたんだ。
「そこの女の人ー!名前はー?」と、hydeがマイクで。
「ユキ。」と、私は下の名前だけ冷静に答えた。
「ユキかぁ・・・。ユキとか雪みたいで俺がめっちゃ好きな名前やわぁ。」と、hydeが言ってた気がする。
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