40〜50代でも「有名ゼネコンの正社員」に転職できる【裏ワザ】とは?

40〜50代でも「有名ゼネコンの正社員」に転職できる【裏ワザ】とは?

建設業界は、なぜ給与が安い?

 建設業界はWeb業界に比べて、人材の流動化が圧倒的に鈍いと言われている。建設技術者たちの転職意欲が薄ければ、企業側も当然、待遇改善を急ぐ必要がない。つまり、建設業全体の待遇向上のためにも、転職による人材流動化はある程度必要なのだ。

「地方の建設会社は、給与が低く、休みもほとんどない」——そんな声をよく耳にする。しかし建設業界でも、転職することによって、給与アップとスキルアップを実現する例が増えてきている。

給与と休日が少ない地方の建設会社から、有名ゼネコンの正社員へと転職に成功した、土木施工管理技士の江﨑佳さんにいろいろと話を伺った。江﨑さんは40代、専門は道路工事、護岸工事、河川工事だ。

2級施工管理技士を取得後、実は飲食業へ転職した過去

——建設業は若手離れが深刻ですが、そもそも江﨑さんはなぜ建設業に入りましたか?

江﨑 もともと物作りが好きで、形に残る仕事がしたかった、というのが建設業に飛び込んだ一番の理由です。10代の頃、建設工事では多くの場面で建設機械を使うことを知り、自分も重機を動かして物作りに携わりたいと思うようになったのがキッカケでした。

——最近はせっかく建設業に魅力を感じても、実際に現場を体験するとキツくて辞めてしまう若者もいるようですが、江﨑さんはそんなことはありませんでしたか?

江﨑 たしかに外から見ると建設業界はいかついイメージもあるかもしれませんが、私が最初に入った現場は明るい雰囲気で、ベテランの職人さん、技術者さんたちが丁寧に指導してくれたので、非常に恵まれた環境だったと思います。最初の職場環境や上司の責任は大きいと思います。

というと偉そうですが、実は私も一度建設業を離れています。10代から20代半ばまで建設業(土木)で働いていましたが、途中で飲食業に転じました。しかし、工事完成写真を作った時の達成感が忘れられず、30代からまた建設業(土木)に戻ってきました。

土木施工管理技士の江﨑佳さん

——土木施工管理技士の資格を取ったのは、建設業に戻ってからですか?

江﨑 いや、20代の頃に2級土木施工管理技士の資格を取得しました。なんとなく資格があったらいいな、ぐらいの考えしかなかったです。現場代理人をやるようになってから、自然にAutoCADを覚えたのと同じで、その場の自然な流れで、2級土木施工管理技士の資格を取りました。

建築施工管理技士でなく、土木施工管理技士の道を選んだのも、たまたまです。なんとなく自分の性格では、建築は不向きかなとも思いますが、やはり今は土木を選んで良かったと思っています。

——1級土木施工管理技士の資格は取得していませんか?

江﨑 今まで1級土木施工管理技士は、会社的にも特に必要がなかったので、受験しようとも思っていませんでした。ただ、40代になってから考え方が変わり、大きい仕事をしてみたいと思うようになったので、今年度の1級土木施工管理技術試験を受ける予定です。

側溝の勾配を逆にした失敗を生かす

——江﨑さんはこれまでに、どんな工事に携わりましたか?

江﨑 主に公共工事の現場代理人・主任技術者を担当してきました。道路工事が一番多いと思います。

県単道路改良工事、公共砂防災害復旧事業工事、その他にも店舗新築造成工事、造成外溝工事、アンテナ基礎外溝工事、携帯電話基地局基礎外溝工事などで現場管理をしてきました。

——やはり失敗やトラブルもありましたか?

江﨑 そうですね。公共工事での変更契約や、河川工事での水害など大きなトラブルもあり、些細なことまで挙げるとキリがないですが、自分で一番失敗したと後悔しているのは、側溝の勾配が逆だったことです。

均しコン打設後、基準高を確認したところ、側溝の勾配が逆だということが判明し、もう一度均しコンを打ち直しました。それ以降は失敗しないように、基準高確認はもちろん、丁張り確認も何回もするようになりました。構造物の位置基準高と住民対応、この2つは、土木施工管理の仕事で特に気を遣います。

——今は、どんな工事に携わっていますか?

江﨑 福島県内で東京電力福島第一原発事故に伴う除染に従事しています。

■土木施工管理技士 江﨑さんの1日の業務スケジュール

6:00 起床
7:00 自宅出発
7:30 現場到着
7:50 朝礼
8:00 現場管理
12:45 翌日の作業打ち合わせ
13:00 現場管理
17:00 作業終了
17:30 終礼、翌日の作業打ち合わせ
18:00 勤務終了
18:30 自宅に到着

 

——なぜ、除染工事に関わろうと思いましたか? 

江﨑 地方の建設会社ではよくあることですが、私の前にいた会社も仕事量が多いわりに給料が少なく、有給休暇もろくに消化できませんでした。

そこで思い切って給与アップが見込める派遣会社に転職し、除染工事の現場で働くことを選びました。除染は特殊勤務手当てが支給されるため給与が特に高く、被災地の復興にも貢献できます。最初は凄く不安でしたが、給与と復興というやりがいのために挑戦することにしました。

——やはり除染工事の施工管理は、他の工事とは勝手が違いますか?

江﨑 初めてのことばかりで、国も技術者も手探りで進めています。実際に参加してみて、復興にはまだまだ時間がかかるなと実感しています。しかし土木施工管理技士の資格者として、少しでも復興に協力できてよかったと思っています。除染現場での働きが認められて、派遣先のゼネコンから正社員のお誘いを受けることになりました。

派遣会社を利用して、ゼネコンの正社員に転職

——派遣社員から派遣先のゼネコンの正社員になる際に、転職を決めた理由は何ですか?

江﨑 転職先のゼネコンは、私が今までにやったことのない大きな工事、工種を多数受注しているので、自分もやってみたいと思って転職を決めました。まず今年度の1級土木施工管理技術検定試験に合格して、億を超える大きな工事の現場代理人として活躍したいと思っています。

——江﨑さんは転職の成功事例の一つだと思いますが、周囲を見ていて施工管理技士の転職は多いと思いますか?

江﨑 地方の建設会社では、いくら給与が少なくても転職する建設技術者は少ないと思っていましたが、地元から出てみると案外転職は多いと思いました。

ずっと地方の小さな建設会社にいると、いろいろな意味で「井の中の蛙」状態になると思います。正直もっと早く転職すべきでした。もし派遣会社に転職していなければ、給与も上がらず、1級土木施工管理技士に挑戦することもなかったと思います。

——江﨑さんは紹介予定派遣でしたか?それとも普通に派遣社員として働いていたら、正社員に誘われた形ですか?

江﨑 後者です。地方で不満を抱えていた40代の2級土木施工管理技士でも、名前の知られたゼネコンの正社員になれると言うことを、ぜひみなさんにも知っていただきたいです。

私の場合はたまたま派遣先だったゼネコンの正社員になりましたが、もし入社したい企業があれば、紹介予定派遣を利用して、その企業の現場を派遣先に選ぶのもアリだと思います。

建設業界は人材の流動化や働き方改革が必須

——今、建設業界は人材の流動化や働き方改革、i-Constructionなど、大きな変革期に突入していますが、こうした動きを現場でどうお感じですか?

江﨑 転職活動が活発化しなければ、会社側も給与や待遇を上げようとしないと思うので、もっと流動化すべきだと思います。そうすれば建設業界全体の待遇水準も高くなり、若者も建設業に入りやすくなるではないでしょうか。働き方改革も、本当に建設業で週休2日が当たり前になる時代がくれば、もっと若者が入ってくると思います。

i-Constructionについては、これから普及すれば、施工日数の短縮と人員削減につながり利益にもつながると期待しています。

——けんせつ小町(女性建設技術者)が増えていますが、現場で女性が増えている実感はありますか?

江﨑 私は地方の現場が中心だったので、まだ一緒に働いた経験はありません。女性が増えれば違う考え方、目線で、建設業界が明るくなると思います。

——最後に、これから施工管理技士になろうとしている方にメッセージ、アドバイスをお願いします。

江﨑 待遇や環境はこれからもっと良くなっていくはずですが、とにかく物作りの満足感、工事完成時の達成感を一度でいいから味わって欲しいです。達成感があるから、建設業は楽しいです。それだけは自信をもって断言できます。

——ありがとうございました!

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