【シリコンバレー=小川義也】米グーグルは17日、自社で開発した新型スーパーコンピューターを人工知能(AI)の研究者向けに無料で開放すると発表した。計算速度は理化学研究所のスパコン「京(けい)」の18倍で、グーグルのクラウド経由で利用する。世界最高水準の計算能力を提供することで、外部の研究者との連携を強化し、AIの普及を加速する。
本社を置くカリフォルニア州マウンテンビューで17日から始まった開発者向けの年次会議「I/O(アイオー)」で、スンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。
「テンサーフロー・リサーチ・クラウド」と呼ぶスパコンは、グーグルが自社で設計したAIの処理を高速化する新型プロセッサー「クラウドTPU」を1000個備え、1秒間に最大18京回の計算ができる。
昨年初めて公開した初代TPUは機械学習のうち、あらかじめ用意した特徴と照らし合わせる「推論」処理しか実行できなかったが、今回発表した第2世代のTPUは特徴を抽出する「学習」にも利用できるため、用途が広がる。
リサーチ・クラウドを利用するには、研究成果を公開することが条件。グーグルは同じ計算能力を同社のクラウドサービス「グーグル・コンピュート・エンジン」で一般向けにも有料で提供する計画だ。