2017年5月18日05時00分
秋篠宮ご夫妻の長女眞子さま(25)が、婚約にむけて準備を進めていることが明らかになった。お相手の小室圭さんは大学時代の同級生だという。心からお祝いを申し上げる。
一方でこの慶事は、皇室が直面している課題をあらためて浮き上がらせた。
皇族の数の減少である。皇室典範の定めにより、眞子さまは結婚すると皇籍を離れ、一民間人となる。いまのままでは、30代以下の皇族は7人、うち女性が6人という構成になる。
結婚した後も女性が皇室に残れるようにする「女性宮家」構想が打ち出されたのは5年前、野田内閣のときだ。
皇室活動の将来に危機感を抱くとともに、眞子さまと妹の佳子さまが結婚を考える年ごろになる前に手を打たなければ、という配慮が働いたといわれる。三笠宮家、高円宮家の女性皇族にとっても、制度の作り方によっては、その後の人生に大きな影響が及ぶ。
しかし、女性皇族の結婚相手や生まれた子の身分・地位をどうするかなど、慎重な検討を要する論点が浮上。三つの具体案を示したペーパーを公表し、引き続き議論を深めることを呼びかけたところで、政権交代が起きた。その後、安倍内閣はこの問題に取り組む姿勢を見せず、今日に至っている。
天皇陛下の退位のあり方などをめぐる衆参両院正副議長による今年3月の「とりまとめ」には、「女性宮家の創設」が検討課題として明記された。
政権はこれにも拒否反応を示してきた。退位特例法案の国会審議が間もなく始まるが、付帯決議に女性宮家の考えや検討の時期をどう盛りこむかが、与野党折衝の焦点になっている。
安倍政権がかたくなな態度をとり続けるのは、女性宮家が女性・女系天皇に道を開くことになりかねないと見るからだ。そうやって手をこまぬいているうちに、事態は抜き差しならないところに進みつつある。
約700年前に天皇家から分かれ、戦後、皇籍を離れた旧宮家の男性を皇族に復帰させる案を唱える人もいる。だが国民が素直に受け入れ、これまで皇族に寄せてきたのと同じような思いを抱くことができるか、大いに疑問がある。国民の支持なしに皇室制度は存立しない。
政府はどんな対応策を考え、いかなる手順で人びとの合意形成を図るつもりなのか。
これまでのような先送り・不作為は、もはや許されない。政府をチェックする役割を負う国会もまた、責任を問われる。
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