沿線ぶらり女子旅

招き猫が並ぶ豪徳寺や史跡めぐりで時間旅行気分 世田谷線松陰神社前~宮の坂駅

  • 文・写真 木下あやみ
  • 2017年5月17日

 世田谷線沿線はおしゃれなカフェやレストランがたくさんある一方で、歴史的な建物や史跡、神社仏閣も数多く存在します。この地の歴史に思いをめぐらせながら、新旧の建物が混在する路地を散策できるのも、世田谷線沿線の小旅行の楽しみのひとつでしょう。

数え切れないほどの招き猫が置かれた豪徳寺の奉納所。よく見ると屋根の柱の上にも小さな招き猫の姿が

学問の神様、吉田松陰の座像が鎮座する「松陰神社」

幕末の教育者、吉田松陰が学問の神として祀られている松陰神社。境内をゆっくりと散策したい。松陰先生直筆写お守りもある

 世田谷線「松陰神社前」駅より商店街を抜け約3分の場所にある「松陰神社」は、安政の大獄(1858~59年)により30歳という若さでこの世を去った吉田松陰の座像がある神社。境内には山口県萩市にあった私塾・松下村塾を模した家屋もあります。この神社は松陰の死去から4年後、門下生だった高杉晋作と伊藤博文などによって建てられました。社殿に向かって左側を歩いていくと松陰のお墓もあります。

 幼い頃から勤勉で諸国の有名な学者を訪ね歩き、西洋兵学などを学んだ松陰は、今日では学問の神としてあがめられています。この神社を訪れたら、いま学んでいることが将来自分の身の助けになるよう願掛けして、一層励むきっかけにしたいですね。

スタイリッシュなカフェや昔ながらの和菓子屋、スーパーなどが並ぶ松陰神社前商店街

 松陰神社で参拝した後は、ぶらりと松陰神社前商店街を散策しました。この商店街は派手さこそないものの、昔ながらの和菓子屋も、スタイリッシュなカフェもあるしぶい通りです。

世田谷区内で唯一の歴史公園

小鳥がさえずり、木々の日陰が涼しい世田谷城阯公園。ベンチに座って一休みするのにも最適

 世田谷線に乗車して次の停車駅「世田谷」駅で下車。世田谷城阯公園を目指しました。世田谷城は、1365年ごろ当時の世田谷周辺の領主だった吉良治家が建てた館が起源と伝えられ、かつては城の三方を烏山川の堀で囲んだ頑固な城郭だったそう。公園内は土塁や丘、谷など当時の地形が残っています。深い緑に覆われたこの公園は「世田谷百景」にも選ばれています。

 世田谷城阯公園は世田谷線「上町」駅、「宮の坂」駅からも徒歩5~6分ほど。一歩手前の「世田谷」駅で世田谷線を降りて散歩がてら向かっても良いですし、最寄り駅の「上町」駅で下車して城山通り商店街を散策しながら向かってもいいでしょう。

スペシャリティーコーヒーが飲める「YOUR DAILY / COFFEE」で一休み

大きなグラスに入ったアイスカフェラテ450円は飲み応え十分。まろやかな味わいで乾いた喉を一気に潤してくれる。コーヒーはドリップ、エスプレッソ、ラテなどメニューによって使用している豆が異なる

 のどが乾いてきたところでコーヒーブレーク。世田谷線「上町」駅を下車して徒歩約4分の「YOUR DAILY / COFFEE」へ。このカフェでは気軽にスペシャリティーコーヒーを飲むことができます。ガラスケースに並んだ自家製のブラウニーやシフォンケーキ、焼き菓子もコーヒーとのペアリングにピッタリ。店員さんもフレンドリーでちょっとした会話を楽しめるのも魅力のひとつです。おいしいコーヒーとスイーツに舌鼓を打ちつつ、ゆっくりと過ごしましょう。

都内唯一! 大名領の代官屋敷

「上町」駅のすぐ横にある踏切。目の前を世田谷線が通り抜けていく

大場家の代官屋敷の主屋。屋敷内には数多くの植栽があり、四季折々の風情を楽しめる。主屋の中に入ると、役所の間、板の間が見渡せる

 国指定文化財の主屋は1737年に7代目盛政によって建て直されたのですが、今も当時の様子を窺うことができます。また敷地内の郷土資料館には大場家所有の貴重な古文書類、家紋の入った刀、ふすま絵などを見学できて、江戸時代にタイムトラベルした気分に。

昔懐かしい世田谷線の車両を眺めながらワッフルランチ

木製の床でノスタルジックな世田谷線の旧車両には、駅に隣接された「宮坂区民センター」の開館中は無料で入ることができる

 歴史的な公園や代官屋敷を見学した後は、再び乗車して「宮の坂」駅で下車。この駅のホームのすぐ横には世田谷線の古い車両があり、中に入って休憩することができます。この日は貸し切り状態でした。

「Cafe Luana」のサラダランチセット(ドリンク付き)1000円。ひとりでも気楽に立ち寄れる、居心地が良くリラックスできるカフェだ

 ランチは駅から西に向かってすぐの場所にあるワッフルがおいしい「Cafe Luana」でとることに。こちらのカフェには靴を脱いでから入ります。さっそくオーナー夫婦おすすめのサラダランチセット(ドリンク付き)をオーダー。待つこと約10分で焼きたてのワッフル、サラダ、スープがテーブルに運ばれてきました。ワッフルはふんわりと軽く甘すぎず、食べやすかったです。8種類から選べるセットのハーブティーはレモングラスを選び、フレッシュな芳香にホッと一息。このカフェからも、「宮の坂」駅のホームに横付けされている昔懐かしい世田谷線の旧車両を眺めることができ、沿線の旅行情緒が高まります。

ズラリと並んだ招き猫には圧巻の「豪徳寺」

豪徳寺の立派な山門。このあたりで井伊直孝は寺の飼い猫に境内へと招かれたのだろうか。山門をくぐり境内の中へ一歩入ると想像以上に広々としていた

 ランチ後は招き猫で有名な「豪徳寺」へ。「宮の坂」駅からは徒歩約5分で立派な豪徳寺の山門に到着。山門をくぐって中に入ると、仏殿が見えます。この仏殿から左手に進むと、招猫観音堂の隣に招き猫の奉納所があります。ずらりと並んだ大小さまざまな招き猫は圧巻! 豪徳寺の招き猫は、右手で招いて、左手は下ろしているのが特徴です。

 豪徳寺が招き猫の発祥地となった由縁を改めてご紹介します。ある時、鷹狩り(たかがり)の帰りに通りかかった井伊直孝(放送中のNHK大河ドラマに登場する井伊直政の次男)が、寺の飼い猫の招きに従い、お寺で一休みをしました、すると天候が急に悪化して雷雨に。直孝は「猫が招いてくれたお陰で雷雨を逃れられて、縁起が良い」と喜び、その後井伊家の菩提寺となりました。その飼い猫が、後代になって招き猫として祀られるようになったそうです。境内には、井伊家代々のお墓や隠れ招き猫がいる三重塔などがあり、最近は外国人観光客にもとても人気のスポットになっています。

 世田谷線の路線たび、次回は「山下駅」から出発進行です!

<取材協力>
YOUR DAILY / COFFEE
https://goodcoffee.me/coffeeshop/your-daily-coffee/

Cafe Luana
https://www.facebook.com/cafe.luana

<アクセス・お問い合わせ>
松陰神社
東急世田谷線「松陰神社前」駅下車、徒歩約3分
03-3421-4834
http://www.shoinjinja.org/

世田谷城阯公園
東急世田谷線「宮の坂」駅下車、徒歩5分
03-5431-1822
http://www.city.setagaya.lg.jp/shisetsu/1217/1271/d00014476.html

世田谷代官屋敷
東急世田谷線「上町」駅下車、徒歩約4分
03-3426-5840
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豪徳寺
東急世田谷線「宮の坂」駅下車、徒歩約5分
03-3426-1437

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