Inst石野さんのブログは大好きで全部読んでいるんですが、先日こんな記事がありました。
私も2005年にリクルートで求人広告の営業からスタートしているんですが、最初は飛び込みやテレアポを毎日毎日やってました。
今となってはやってよかったなーと思うんですが、その時にOJTのプログラムとして用意されていた「新人パッケージ」というものがあって、これはめちゃくちゃすごい仕組みだなということを改めて思っています。
実はこれ、どんな新人でも半年で一人前にしてしまうプログラム。
ちなみに新人パッケージの概要はこんな感じ(12、3年前なのでうろ覚えですが)
- 週ごとに訪問◯件、テレアポ◯件(確か訪問105、テレアポ200だった気が)が決められていてその行動量がマストであること。
- 全員にメンターがついて毎日振り返りをしながら行動計画を達成できるように叱咤激励される。
- そして半年後の予算達成で無事「パッケージ卒業」となる
みたいなもの。
最初は泣いていたりする人も途中からは行動量に関しては苦もなくできるようになっていき、半年後には達成できる、みたいなパッケージ化されたOJTプログラムです。
自分がマネジメントの仕事をするようになって改めてすごいなーと思うポイントが3つありました。
1、毎日言われたことやっているだけでも「目標達成までの考え方、行動目標の立て方」などが自然と全員できるようになる
リクルートの営業の仕組みとして代表的な「ヨミ表」というものがありますが、(「ヨミ表 リクルート」でググるといろんな記事が出てきます)、ヨミ表のすごさはこれを運用しているだけで、
- 目標数値との現時点での差分/見込みベースでの差分が明確になる
- 目標達成のために優先順位が高いお客さんが明確になる
- 次のアクションが決まる
という営業においてのPDCAが勝手に回る、ということです。
この新人パッケージも「ヨミ表」同様、新規獲得目標達成のためのPDCAがほぼ勝手に回ります。しかも次のアクションとして何をどのくらいやればいいか、も決まるようになっています。
それが大学出たばかりの新卒でも現場出て1ヶ月くらいで自然とみんなできるようになる。これがとても大きな価値だな、と。
営業やマネジメントしたことある人であればわかるかもしれませんが、
自分の部下やチームメンバーに「どう?今月目標達成できそう?」と聞いたときによくある会話は「そうですねー、このままいくとちょっと足りないので頑張ってテレアポします」みたいな感じ。
もちろん頑張るんだけど、結局何をどうするつもりなのよ。。。みたいなところを自分で設計できる人(特に新卒とか若手であれば)は少ない。
上司の仕事は、新人や若手営業マンの達成までのプロセスや次のアクションなどを設定するところに時間が取られることが多くなってしまう、ということもしばしばか、と。
それがこの新人パッケージをやって1ヶ月くらい経つと、
「このままいくと目標まであといくら足らない。達成のためには◯件新規商談が必要で、それを作るために◯件テレアポします。あと受注率が低いのでこれをこう改善して◯%あげれば達成できます」
みたいに自然と全員が言えるようになってきます。(そんな場面ってなかなかないですよね?)
なので上司が事細かく指示出して、叱咤激励して、とやらなくてもよくなるわけですね。上司としても商談の精度をあげるために同行したり、企画内容を一緒に考えたりといったところにリソースかけられるようになるので、商談の質があがりやすくなるし、もちろん達成確率も高くなる。
目標達成までのプロセスと行動計画を立てる、という2つのマネジメントの役割を「新人パッケージ」自体が担うという仕組みが成立しています。
2、日々の振り返りを通じて「仕事の意義」や「心構え」を伝えていける
どの会社でもあると思いますが、新人に対して最初に課せられた仕事は「大変」で「地味」なものが多かったりします。
営業における新規飛び込みやテレアポもそうですね。
そういう業務が続くと、新人の中には「なんでこんなことしてるんだっけ?」「こんなことやるために入ったわけじゃない」みたいに思ってくる人も出てきます。というか結構高い確率で思います。
こういう感情が芽生えることは仕方ないんですが、これって放置しておくとモチベーション下がったままになってしまったり、やらされ感が出てきたり、もっと企画とかマーケとかやりたいとか言って転職しちゃったり、、みたいなことは往々にしてあるかと。
それを防ぐ意味でもしっかり「なぜこの仕事が必要なのか?」「この仕事で得られることとは?」などを説明し、理解してもらう必要があるのですが、こういった話はなかなか評価面談くらいか飲み会しか話すタイミングがなかったりします。(飲み会だと上司の自慢話、昔話になってしまいがちだったり…w)
しかし新人パッケージをやっていると、毎日のアクションが辛いですし、振り返りも毎日やっているので
「なんでこういうことやらないといけないんですか?」
「これってなんのためにやっているんですかね?」
みたいな発言が出てきます。しかも結構な頻度で。(経験上、80%くらいの新人が振り返り中に泣いたり、相談してきたりします。僕が詰めてたからかもですがw)
でもこれ結構いい機会なんです。なんでこの仕事をやるのか、自社の事業においてどういう立ち位置でどういう重要なポジションなのか、など構造的に理解してもらったり、本当の「仕事の意味」をわかってもらったり、する機会として。
新人パッケージをやっていると何度も心が折れかかります。そして何度も「仕事の意味」とか考え始めちゃうんです。
でもその度に毎回、しっかり「意義」を伝える。それを何度か繰り返すうちにどんな仕事をやっても「意義」や「目的」を考える癖が新人にも付いてきます。
リクルートが大事にしている「圧倒的当事者意識」という考え方がありますが、当事者意識を持つためには「本来の目的や意義」を自分で理解したり考えられることはとても大事ですし、ビジネスパーソンとしてそれができるかできないか、で成長の仕方が大きく変わってくるところ。
それをこの新人のうちから常に考え、対話する環境にいる(きつくてもう泣いて相談するしかないという追い込まれ方の結果ですがw)ことを作れるというのがまたリクルートの人を育てる仕組みの一つだなと思っています。
3、経験の浅いマネジメントでも達成できてしまう、もしくはマネジメントがぶれない
今はどうかわかりませんが、私が在籍していた2005年〜2008年あたりは入社2年目や3年目でチームリーダーとして数名のメンバーのマネジメントを担当することが普通にあります。
マネジメントしているといってもまだ新卒2年目とか3年目なので、うまくマネジメントできるとも限らないですし、何をメンバーに伝えていけばいいかわからないことも多いわけです。
ただ、この「新人パッケージ」と「ヨミ表」があることによって、いまどんな状況か、次に何をどのくらいすればいいか、がわかりやすいので具体的な指示に落としやすい。
「おりゃー、死ぬほど電話かけろー」
「気合いでしょ、気合い!」
みたいな根性論に頼らず、日々のアクション目標に落として推進できる。もちろんその質を上げたり、モチベーションを高める工夫をしたり、ということはしないといけませんが、マネジメントするときに考えないといけないことがすごく減るし、ぶれなくなる。
要はマネジメントする側も「仕組み化」されていて、経験がなくても最低限のマネジメントができるようになっています。
なので2年目や3年目でも成長を促進させる意味でリーダーに抜擢し、「成果を出せば新しいチャレンジができる」という循環ができますし、それを面接などで生き生きと話す人が増え、また優秀な人が続々入ってくる、といった流れが完全にできあがっているな、と。
今回改めて振り返ってみて、
やはりリクルートの「人を1人前にしていく仕組み」ってすごいな、と思いました。リクルートの例をもとにしながらも自社ならどうするか、どうやるのか、というのを考えていかないといけないですね。
逆にいうと、リクルートで成果を出せているからといってそれが仕組みの上だからなのか、自分の力なのか、はしっかり理解しないといけないな、とも。私自身、リクルートから10名以下のベンチャーに転職した際に苦労しましたし。。
その辺の話はおいおい機会があれば書きていきたいなと思います!
今日は以上です。
facebookやtwitterも気軽にフォローしてください!