速報 > 地域ニュース > 関西 > 記事

関電高浜4号機再稼働 経営安定「大飯」に託す 収益改善大きく

2017/5/18 6:00
共有
保存
印刷
その他

 関西電力は高浜原子力発電所4号機(福井県)を再稼働し、反転攻勢へのめどをつけた。ただ6月に稼働する3号機と合わせても出力は小さく、業績に与える影響は限定的だ。関電は安全審査の正式合格を待つ大飯原発3、4号機を今秋にも再稼働させ、経営の本格的な安定を目指す考えだ。

 17日現地で記者会見した原子力事業本部の大塚茂樹副事業本部長は「起動は運転再開の中でも重要なステップの一つ。安全最優先で緊張感を持って慎重に作業を進めてまいりたい」と話した。

 関電が再稼働させた高浜4号機と、再稼働に向けた作業を進める3号機の出力はそれぞれ87万キロワット。関電が持つ原発のなかでは中規模で、月の収益改善効果は合計で70億円にとどまる。

 今秋以降の再稼働を目指す大飯原発3、4号機(福井県)の出力はそれぞれ118万キロワットと大きく収益改善効果も100億円と大きい。総発電量を2016年度並み、設備利用率を8割を想定すると、高浜、大飯の4基が動けば約30%をまかなえる計算だ。

 関電は東日本大震災以降、原発が停止した影響で4期連続で最終赤字となったが手をこまぬいていたわけではない。経営合理化に取り組み、16年には燃料費が割高な相生石油火力発電所1、3号機(兵庫県)の燃料を液化天然ガス(LNG)に転換。

 オーストラリアに依存していた石炭の調達先の多様化も進めたほか、16年4月には東京ガスとLNGの相互融通で提携。原発がほとんど停止していた16年3月期と17年3月期は2期連続の黒字決算となった。

 ただこれは設備投資を後回しにしたことも大きい。岩根茂樹社長は「原発なしで持続可能かという観点でみると相当リスクがある」と強調する。

 大飯3、4号機は2月に安全審査に事実上合格し、正式合格を月内にも控えているが、司法判断による停止の可能性はなお残る。16年6月、原子力規制委員会の前委員長代理、島崎邦彦・東大名誉教授が大飯3、4号機の耐震設計の目安とする揺れが「過小に見積もられている」と指摘、規制委と対立した経緯もある。

 島崎氏は名古屋高裁金沢支部で審理中の大飯原発の再稼働差し止め訴訟控訴審で証人として出廷しており、今後、地震対策の妥当性が焦点となる可能性がある。

 関電は廃炉を決めた美浜1.2号機を除く、他の5基についても順次再稼働させていく方針。ただこれらのハードルはさらに高い。

 営業運転から40年超の高浜1、2号機と美浜3号機は規制委が運転延長を認可し、現在は安全対策の工事を進める。再稼働は19~20年の予定だ。大飯1、2号機は出力が大きく期待が大きいが、他の原発と構造が異なるため特別な安全対策工事が必要。現在は安全審査の申請準備中で再稼働時期は未定だ。

 安全対策工事の費用はこれまで試算した範囲で8300億円に上り、さらに積み上がる見通しだ。関電が安定した経営を取り戻すためには、経営合理化などをさらに進め、かさむ対策費用への原資を着実に生み出す必要がある。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ速報トップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 7:01
7:00
東北 7:01
7:00
関東 7:01
7:01
東京 17日 7:00
17日 7:00
信越 7:00
7:00
東海 7:05
7:01
北陸 7:01
7:00
関西 7:01
6:32
中国 7:02
7:01
四国 7:01
7:00
九州
沖縄
2:01
2:00

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報