• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

あなたは、自分の母親の下着を知っているか?

ヘルパーさんの導入と、長時間デイサービス通所に踏み切る

2017年5月18日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(前回→「『「これをお母様に」』が生む地獄の苦しみ」)

 2015年の5月、公的介護の導入と並行して、私は韓国のソウルに1週間出張する準備を進めていた。World Conference of Science Journalists(WCSJ)という科学ジャーナリストの国際会議がソウルで開催されることになっており、私のところに宇宙開発関連のセッションでパネラーとして登壇してほしいというリクエストが来ていたのだ。

 家庭のことを考えると、断るべきかとも考えた。
 母の病状は徐々にではあるが進行していたためだ。

 2014年12月には夕食を宅配に頼むだけで、ひとりで家に残して、種子島の取材に赴くことができた。しかし、半年を経た2015年6月には、自分で朝食、昼食を作ることができなくなっていた。

 が、このまま介護が続くと、自分が取材をすることが、どんどん難しくなっていくことが容易に想像できた。私のようなノンフィクション系の物書きは、外に出て様々な情報に接することが、仕事を継続するにあたっての生命線である。取材ができなければ、文章というアウトプットを行えなくなり、商売あがったりになってしまう。それでは、母の介護を続けることも不可能になる。

ヘルパーさん導入のステップとして

 「なんとかなります」と言ってくれたのは、ケアマネージャーのTさんだった。

 「ちょうど要介護1の認定が出たところだし、6月の公的介護保険制度の点数は十分にあります。松浦さんのソウル出張に合わせて、ヘルパーさんに来てもらうようにしましょう。食事のタイミングで1日3回、それぞれ1時間ずつヘルパーさんに入ってもらえれば、お母さんもきちんと生活できるでしょう」

 母は毎週金曜日に、リハビリテーション専門のデイサービスに通うようになっていた。前々回書いた(「『イヤ、行かない』母即答、施設通所初日の戦い」)ように、円滑な通所のために、朝の送り出しにヘルパーさんに入ってもらおうと話していたところだった。

 今後どのような形になるにせよ、認知症老人の介護について心得を持つヘルパーさんが入ることは不可避だ。とするなら、この機会に、集中的にヘルパーさんに来てもらうようにして、母を慣れさせておくべきだろう。

 大変ありがたいことに、私の出張の後半から、ドイツ滞在中の妹が1週間の休暇を取って一時帰国してくれることになった。滞在中に、私では手の回らない母の身辺諸々のことを片付けてくれるという。弟も仕事の合間に顔をだすとのことだ。

 かくして準備を整えて、6月7日、私はソウルに旅立った。

コメント0

「介護生活敗戦記」のバックナンバー

一覧

「あなたは、自分の母親の下着を知っているか?」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

単なるレンタル事業だけで終わるつもりはない。

天沼 聰 エアークローゼットCEO