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 原爆放射線の身体への影響を調査している放射線影響研究所(放影研、広島、長崎両市)は、被爆者の肺がんなどの固形がん発症リスクは喫煙の有無にほぼ影響されないとする研究結果を、17日発表した。米国放射線影響学会が発刊する「ラジエーション・リサーチ」に掲載された。

 放影研による追跡調査の対象約12万人のうち、調査を始めた1958年の段階でがんを発症しておらず、被曝(ひばく)線量が判明している10万5444人を調べた。その結果、2万2538人で肺がんや胃がんなどの固形がんが見られた。喫煙歴や喫煙量を加味すると、被曝線量1グレイあたりのリスクは平均で非被爆者の1・47倍。加味していない調査の同1・5倍とほぼ同じだった。エリック・グラント主席研究員は「喫煙歴に関係なく、被爆者のがんリスクは変わらない」としている。

 がんなどの病気と被爆の関係が争点となった一連の原爆症認定訴訟で、国側は喫煙歴のある被爆者について「がんの原因はたばこ」と主張してきた。(宮崎園子