無人島に持っていくならどのアルバム?第4弾!
無人島に持っていくシリーズ4。
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその4。
今回はELLEGARDENの1stフルアルバム'Don't Trust Anyone But Us'をレビュー。
初期のエルレの清涼感と陽性パンクのソリッド&タフさを同時に感じさせるハイセンスでハイエナジーな一枚。
思い出的にあふれるエヴァーグリーンの魅力がつまった、やっと見つけた英雄的な一枚。
あらゆる人の心に、是非響かせたい一枚。
良かったらお付き合い下さい。
以前まとめたELLEの曲30曲を振り返った記事はコチラ! !
前回までのシリーズはコチラ!!
突如耳に蘇る色褪せない悠久の音楽
一年に何回か急にエルレガーデンを聴き込みたくなる。
ハイエイタスでも、モノアイズでもなくエルレを聴きたい、そんな衝動があって、それは僕の中で地球上の僕の知っているどのバンドよりも大きいものだ。
四季折々とかメンタルのコンディションとかで色々聴きたい曲も変わってくるが、そういう時に急に耳に蘇るメロディーは、概ねこのアルバムの音なのだ。
2002年4月発売されたインディーレーベルからの彼ら最初のフルアルバム。
1999年に結成されたエルレガーデンは、自主製作のアルバムと、ミニアルバム・シングルを経て2002年このアルバムを発表した。
その後も高速のスピードで曲を作り続け、ライブバンドとして誇りを持ち驚異的なスピードでライブをして、時代のロックヒーローとなった彼らの、最初のアルバム。
耳の早いわけではなかった僕は発売当初から聴いていたわけではなかった。
それでも今耳に残るこの一枚は、全く色褪せずにタイムレスに輝く。
その音楽
後にも先にも彼らくらいだった。
今まで聞いたことが無くて、ここまで今でも自分の中で聴ける音の輝き。
後からわかったんだが、僕が喉から手が出るほど憧れて欲しかったもの。
ポップに染まり切らずロックという表現行為の一端を成し、尚且つ永遠の青さを持ったメロディー。
それがこのアルバムの随所に感じる。
どれを取ってもストレートでキャッチーながら、ロック的に心臓を掴まれる貫通力を持った衝動的なメロディックサウンド。
カリフォルニアの風通しの良さ、日本詩の素朴さ、ミドルチューンの艶やかさ、その全て断トツの聴きやすさでも、仰け反る様なエネルギッシュさを持っていた。
アイコニックな細美の声はバンドサウンドの中央に位置して、自然に共振しオルタナティヴに変化して聞こえてくる。
クリアな英詞、暖かい日本詞どちらにおいても甘美さと力強さをもった中性的な声は、いつの間にか心の深い所にも届く浸透性があるのだ。
歌以外の部分では言いたい事を言ってくれるパンクな部分も彼がヒーローたる所以でもある。
ギターロックとパワーポップ、そしてパンク的な要素が混在したサウンドもオルタナティヴであり、カラフルに聴こえる要因がある。
メロコア的なビートもあれば、それだけで価値のあるギター中心のバンドの音色みたいなものが、エルレガーデンの中心であったことはその後から見ても明らかだった。
その後、バンドが大きくなっても、その核になる部分には、ラフで青いこの頃の想いを添えていた、そう思わせる初期衝動的なルーツであり、ある部分では完成されていた彼らのサウンドのスタイリッシュなパワーを感じる一枚が、このアルバムなのだ。
全曲ソングレビュー
- アーティスト: ELLEGARDEN
- 出版社/メーカー: Dynamord Label
- 発売日: 2002/04/03
- メディア: CD
- 購入: 3人 クリック: 255回
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1.My Favorite Song
くぐもったグルーヴ感と跳ね回るザラついたギターサウンドの幕開けで心はがっちりと高揚するオープニングナンバー。
そのセピア色の最中でも吹き抜けるような爽快感、この絶妙なバランスの風合いがこのアルバムを彩る。
クールかつ痛快な細美の声の後ろで自由に駆け回るギターサウンドが、ぶつかり合わず一体感を持って包むような感触だ。
2.サンタクロース
今や幻的な初期の名ラブソング。
雪の夜の光景が目に浮かぶような、美しい寓話的なロマンチックさとエモーショナルに満ちた手一杯の歌詞。
ちょっと照れくさい様が、彼らを紐解く上で重要な一曲だし、超貴重な一面でもある。
3.Can You Feel Like I Do
エルレ必殺のミドルチューンの中でも彼ら屈指の一曲。後期までライブで良く歌われた。
シンボリックに暗い空高く舞い上がる憂いのギターが美しく、荘厳で優しい音は大きな時計塔の鐘みたい。
漂う様にドライヴィンなバンドサウンドで、悲しさよりも切ない郷愁がにじみ出るギターロックバラードだ。
夕暮れ時に最適。
4.Bare Foot
彼らの1stシングル。
カリフォルニアにでもいるかの様な、陽性の柔らかい風。
キャッチーな音の裏に、確実に型破りな個性をはらんでいる事を伺わせる、ダイナミックなスケール。
こんな曲有ればいいなと、自分が描いていた世界が鮮やかに描き出される、衝撃的な一曲だった。
5.指輪
2ndシングル。
日本詞の美しいバラード。ここまでの直球のバラードは今となっては珍しい。
とてもパーソナルな歌詞の描く光景に胸が暖かくなる。
’包み紙がちょっとちゃっちいんだよね’とかの部分が、とても個人的で好きな歌詞。
6.月
日本詞のパワーポップ。
独特な言い回しが次第にバンドサウンドに押されていく、モノアイズやハイエイタスにも通ずる展開。
オーソドックスながらなんの変哲もない曲にならない、少しひねくれたオルタナティヴな魅力。
それはこの頃から変わらない。
7.45
個人的にこのアルバムではこの曲を思い出す名曲。
鳴り響く場所を全て高原の様な爽快さで満たす様な、強いイメージを思い描かせる音世界。
コンパクトでキャッチーながら、カラフルに跳ねてバウンドするビートとエネルギッシュでノイジーなギターがキレ良く作用する。
ホームグロウン的な気持ちよさをもったナチュラルな魅力の曲である。
8.風の日
彼らの代表曲にも数えられる名曲。
リフもサウンドもメロディーも総力戦のこれぞというエルレのギターロック。
渦巻く旋風が晴れやかに霧散するような展開、強引なまでの力強さがある
後味の笑顔は保証されてる揺るがない彼らのキラーチューン。
9.Middle Of Nowhere
メロウでダークなロックバラード。これもいつまでもライブの定番だった。
曲も声も、暗闇でもがくような、光を渇望するシナリオが容易に浮かぶ、陶酔感のあるサウンド。
それがあまりにも剥き出しにダイレクトで圧倒される引力となって耳を掴んで離さない。
10.Lonesome
アコースティックが煌めくセンチメンタルなキラーチューン。
グルーヴィーなリフレインに、サビで訪れる跳ね上がるアンセム的瞬間がスムーズに入れ替わる。
ギター一本だとしてもエモーショナルで美しいメロディーを、何倍も表情豊かにするバンド・サウンドが眩しい。
11.Sliding Door
本編ラストトラック。
心を打ち砕かれ突き刺さる様に痛い崩壊感のある音。
突如として燃え上がった感情も、改めて魅せつけられるような声と音の衝突に何度目かのスリリングさを覚える。
これで本編終わりの扱いなので25分くらいある。
12.The End Of The World
太くしなるギターリフが特徴的なシークレットナンバー。
この曲はギターの生形が作った。
歌うように響くギター音色が染み渡る、ラストに最適な一曲。
いつか戻ってくるその日まで
僕がわき目も振らず熱中時代を過ごしたELLEGARDENの曲はきっと永遠に聴くんだと思う。
一年に何回か聴きたくなると言ったが、聴いている時の感情を円グラフにすると、年毎に懐かしい気持ちってのは微増してくる。
音はタイムレスに変わらないが、僕が歳とっていくのが、なんとなくわかる。
それも乙でいいんだが、やっぱり寂しさってのは出てくるんだ。
きっと戻ってくる、彼らは。
彼らの本質に近いと感じるこのアルバムの曲を聞くと、その想いを大切にしたくなる。
色褪せず今でもオルタナティヴに響く反面、これがそのまま更新されると、更に見たこともない光景が広がっているんじゃないか。
そういう思いが毎年めぐりながら、変わらない彼らの風を感じながら、想いを馳せるのもいいんじゃないかと思うのだ。
それではまた別の記事で。