フェイスブックジャパンは17日、企業向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を日本で始めると発表した。従来の個人用は無料だが、有料サービスで1人当たり月額1~3ドルを支払う。課金モデルにすることで広告を表示しないようにし、企業での使いやすさを高めた。
サービス名は「ワークプレイス」。画面は個人向けのフェイスブックとほぼ同じで、社員のうち、特定の人を招待した「グループ」の作成や個人間でのメッセージのやりとり、音声通話といった機能も共通している。
メーンの機能である「グループ」では、例えば、外食企業で「A店の改装について」というトピックを立て、いくつかの案を上げてアンケートを取ったり、自由にコメントを投稿してもらったりできる。写真や表計算のデータも、投稿機能を使ってネット上で共有し議論が可能だ。
社長が社員向けに経営方針を説明する動画を流し、それについて社員が「いいね」を押したり、リアルタイムでコメントしたりする機能もある。ワークプレイス事業のアジア太平洋地域担当、豊田哲太郎氏は「物理的な距離を問わず協働でき、政府も推進する働き方改革にも貢献できる」と話す。
米国ではすでに昨年10月にサービス提供されており、約1万4千社が利用。日本でも試験提供されており、転職サイトのビズリーチ(東京・渋谷)など約300社が利用している。ワークプレイス事業のアジア太平洋地域の責任者であるナクル・パテル氏は「導入すると魔法のような変革をもたらす存在になる。多くの導入企業のリーダーは価値観の変革だと言っている」と、サービスの完成度に自信を見せた。
米フェイスブックの業績は好調だが、サイトに表示される広告量は不快に感じない限界に近づいているとも言われる。企業向け、課金型という新たなビジネスモデルの成否は高成長維持の試金石になりそうだ。
(篤田聡志)