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【大相撲】

稀勢、逆転2勝 右脚1本残った

2017年5月17日 紙面から

稀勢の里(右)が押し出しで千代の国を下す=両国国技館で(七森祐也撮影)

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◇夏場所<3日目>

(16日・両国国技館)

 今場所初の4横綱安泰。左上腕付近に負傷を抱えながら3場所連続優勝を目指す横綱稀勢の里(30)=田子ノ浦=は苦戦の末、平幕千代の国を押し出して2勝目を挙げた。他の3横綱は、白鵬が千代翔馬を上手投げで退け、日馬富士は隠岐の海を寄り切ってともに3連勝。鶴竜は遠藤を引き落として初白星を挙げた。大関とりの高安(27)=田子ノ浦=は琴奨菊との関脇対決をはたき込みで制して、3戦全勝。

 絶体絶命の土俵際。稀勢の里は俵にかかった右脚だけで千代の国の押しに耐える。上体はのけぞり、左脚は宙に浮く。横綱2場所目。ついに初金星配給か。誰もがそう思ったに違いない。ひやりとしたか。「うん」。さすがの横綱も冷や汗をかいた。

 動き回って勝機を見いだそうとする千代の国にもろ差しを許した。半身になって土俵際に。しかし、根負けしたのは4歳も若い千代の国の方だった。押し切れないとみるや稀勢の里の腕を払って引いてしまう。「最後まで」とそのときを待っていた。今が勝機と一気に攻め立てた。

 左大胸筋、左上腕二頭筋に負傷を抱える。場所前に「腕は2本あるからね」と話していたが、上半身が万全でないなら下半身がある。春巡業を休んで部屋で踏み続けた四股。驚異的な下半身の粘りについて、「いいんじゃないですか」と手応えを口にした。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「余裕はなかったと思うよ」と分析したが、「こういう苦しい相撲でも勝っていくことが大事」。この白星の意味を強調した。

 支度部屋へ引き揚げてきた千代の国は「ハーハー」と大きく肩を揺らしながら、「いやあ強いです、強いです、全部強いです。右があんなに深く入ったのに。すごかったです」と息も絶え絶えの状態。それを伝え聞いた稀勢の里は「そこ(スタミナ)だけしか自信がない」とニヤリ。もっと勝負が長引いても「いける感覚はあった。まだ若いから」。帰り際にはそんな冗談を言う余裕も見せた。4横綱安泰は先場所2日目以来、2度目だったが「意識してない」と自分のことだけに集中する。横綱1年生。稀勢の里の相撲人生はこれからだ。(岸本隆) 

 

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