【日本競馬界へ私の提言 元調教師・橋口弘次郎】逸材発掘へ地方騎手の参戦機会を増やす!
2016年の競馬界は菜七子フィーバーに始まり、海外での日本馬の活躍、海外競馬の馬券発売と話題に富んだ一年だった。2017年、競馬がさらに発展するためには、どのようなことが必要だろうか。「私の提言」と題し、橋口弘次郎元調教師が持論を展開した。
今年、印象的だったのは海外での日本馬の活躍ですが、驚きはありませんでした。ジャパンCが創設(1981年)された当時、軽い調教の外国馬に歯が立たず、調整への意識が変わりました。カイバも栄養価の上がった輸入の牧草に切り変え、サンデーサイレンスの導入で血統面には大きな変化がもたらされました。調教師時代、あらゆる進化を肌で感じてきましたから、日本馬が海外で活躍する時代が来ることは予想できました。
日本は競馬運営では飛び抜けていい国です。世界に誇れる「競馬大国」の地位は手の届く位置にあります。日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇は、時間の問題だと感じています。
そのためにも国内の底上げが必要です。馬はもちろんですが、私は注目したいのは騎手。地方競馬の騎手が中央へ参戦できる機会を増やすべきと思います。これまでは安藤勝騎手(引退)や戸崎騎手、内田騎手は地方所属時代に存在感を示し、JRA移籍後も活躍しましたが、今も逸材は埋もれています。近年、地方馬と中央の馬との力差が広がり、地方騎手の中央挑戦が減少。アピールする機会が減っています。
外国人騎手に適用されている短期免許制度を地方騎手に拡大できないものでしょうか。現在のようなスポット参戦ではなく、3か月の継続騎乗ならG1や重賞に参戦できる確率が高くなります。中央の大舞台で活躍して地方競馬に戻れば、大いに盛り上がるはずです。私自身、佐賀競馬の騎手として、初めて競馬と触れ合っただけに、もっと地方の人馬にチャンスを与えてほしい。地方から世界へ羽ばたくことを願っています。(元JRA・G1レース10勝調教師)