突然訪れる訃報。驚いき動揺してしまう方もたくさんいらっしゃるとおもいます。

驚き、悲しみ、といった気持ちが入り乱れていく中で、段々と「なにを?」「どうする?」という悩みと不安感が大きくなるもの。

葬儀に参列する際のマナーは、チョットした気遣いとルーティーンを理解することで解決します。

今回は、多くの人がさり気なく行っている葬儀の参列についてのマナーを紹介します。

しっかりと理解することで葬儀に参列したあなたは、地味にキラリと光る振る舞いができます。

このページを読んで突然の訃報に接しても自然体で葬儀に参列して下さい。

-- この記事の目次 --
1.突然訪れる葬儀にも意味と流れがある
2.知っていると迷わないお通夜と告別式のルール
3.分かりにくい宗教・宗派の違いによるマナー
4.故人を慰めるだけ、供花・供物?
5.迷わないための参列の装い
6.慌てないためのも持ち物
7.もう、迷わない参列のルール
8.さりげなく手本となる参列のマナー
まとめ

1.突然訪れる葬儀にも意味と流れがある


出典元:http://www.good-manner.jp/?p=154

かつては、夜中の電報や電話、メール、最近ではSNSからもたらされる訃報。

この知らせで、驚き、悲しみ、思い出などの色々な感情が心の中に湧き立ちます。

ない交ぜの感情の後に漠然とした不安感が訪れます。

これは、故人の葬儀に参列するための心構えや準備に対する不安ですが、これから説明する葬儀の意義と流れを理解すれば不安感は和らぎます。

1-1.葬儀の意義を知れば自然体

葬儀には、宗教的な色彩や地方独特の風習が色濃く流れていますが、葬儀を行う意義の本質は3つです。

第1には、故人のためです。

死後の世界に送る、荼毘に付す、といった故人を送り出すという意味合いです。

第2には、家族・親族のためです。

故人を送り出すことにより区切りをつける、また悲しみを表すことにより心の安定を回復するということです。

涙は心のスタビライザーとして働きます。

第3は、社会のためです。

世間様に広く、故人となったことをお知らせするという意味合いです。

葬儀に参列するということは、参列すること自体で立派に葬儀の意義に適っていることですので、自然体で葬儀に参列すれば良いわけです。

1-2.葬儀の流れに身をまかせ

宗教・宗派の違いや遠方の葬儀に参列すると、葬儀の流れに戸惑うことがあります。

これは、宗教・宗派による独自の葬儀の流れや、その地独特の習慣は、手順書・マニュアル・指示書などの役割を果たしているからです。

所属するグループ・団体の手順に従って、故人を間違いなく送り出す役目を果たしています。

葬儀の参列者は、前節で述べたように参列することで葬儀の意義を果たしていますので、葬儀の場で示される指図の流れに身をまかせて動けば良いわけです。

間違っても、自分のやり方を出さないようにしましょう。

1-3.知っていれば安心。

葬儀の至る全体の流れ

ひとは、全体の流れを理解していると、余裕や安心感が生まれます。

この記事は、葬儀に参列する方を対象にその場に相応しいマナーをお伝えしますが、全体の流れも解説することで余裕をもって葬儀に参列することができます。



ここでは、時間軸で危篤・ご臨終(①のこと)から一通りのステップで故人の遺骨が自宅(⑩のこと)にもどるまでの流れを説明しますが、宗教・宗派や地方により異なることがありますので、ご了承下さい。

①から⑩にて各ステップを示しますのでご参照下さい。

多くの方は、病院で危篤・ご臨終(①)を迎えることになると思われます。

病床の周りには心電モニターの音を聞きながら、主治医、涙する方、無言の方といった近親者の方たちが集まっています。

病人が故人に至るまでの間に、近親者や親族との間で言葉にならない交流があります。

ご臨終を迎えた時に主治医からその旨の言葉があり、主治医は死亡診断書の準備に取り掛かり、病院サイドでは故人をお送りする車の手配(多くはセレモニー会社の車)についての連絡があり、その車にて無言の帰宅(②)となります。

喪主となられる方は、セレモニー会社の手配、その他連絡で多忙(③)となります。

訃報を聞きつけたご近所の方や親戚が弔問(④)に訪れます。

また、訃報を受けた方々は、驚きと多少の不安感を抱えながら葬儀に参列するための準備(⑤、⑥)となります。

葬儀当日を迎え参列(⑦、⑧)し、故人を火葬に付し(⑨)、遺族は遺骨を抱えて帰宅(⑩)します。

①危篤・ご臨終
→②自宅へ
→③セレモニー手配・訃報・その他連絡
→④弔問
→⑤供花・供物手配
→⑥香典・喪服等準備
→⑦お通夜・通夜振る舞い
→⑧告別式
→⑨火葬・精進落し
→⑩遺骨帰宅

葬儀を自宅で執り行う時代もありましたが、本稿では、葬儀自体は、セレモニーホールで僧侶による読経(仏式)で執り行うことを前提に解説していますのでご留意下さい。

1-4.弔問に行く、行かない?

弔問とは、葬儀に先立って遺族の自宅を訪ねてお悔やみを述べるということです。

遺族の自宅を訪ねるということから弔問に訪れる方は、親戚、遺族の自宅のご近所の方、故人や遺族と親しい方です。

故人となられたタイミングと葬儀が行われる日時にそれなりの間隔がある場合に弔問の時間はありますが、葬儀は事前の準備がない儀式です。

遺族(特に喪主)は各種の手配で忙殺されていますので、ご迷惑とならないよう弔問は葬儀までの間隔を勘案して行いたいものです。

蛇足ですが、埋葬法によれば死後24時間は、埋葬してはならないという規定があります。

  また、厚生労働省の統計(平成28年(2016年)人口動態時計の年間推計)によると、2016年の死亡者数は、1,296百万人ということで、2003年に死亡者数1百万人を超えて以来、死亡者数は増加しており、別の政府統計の推計値では、ピークの2040年には約1.67百万人となるとのことです。

このように死亡者の増加で火葬場がフル稼働という現状があり、故人の自宅などでの待機期間が長くなる傾向がありますので、タイミングを見計らって(種々の手配は概ね1日で修了)弔問に伺い、故人を偲ぶこともたいせつです。

2.知っていると迷わないお通夜と告別式のルール


出典元:http://photomaterial.net/a0085/

家族葬、密葬、1日葬等と色々な形式の葬儀は執り行われるようになりました。

従来2日に亘り行われていた葬儀の手順を簡略化して行われているセレモニーです。

これは、小家族化(家族構成員の減少)・核家族化、故人の高齢化(故人の知人・関係者の減少)などにより、費用や時間をかける意義が失われたことによります。

1日葬などでも参列者の対応は同じですので、 ここでは、一般的に行われている2日に亘るお通夜と告別式で構成される葬儀について解説します。

2-1.葬儀に参列した体験談友人と親戚の二人の人物に登場して頂き、葬儀の様子を体験しましょう。

葬儀の様子を把握することで、各章・各節の内容がより具体的に理解できます。

はじめに、友人Tさんの葬儀に参列したSさんの例です。

Sさんは、60歳代の会社員です。

学生時代からの友人のTさんの逝去を同じく学生時からの友人であるKさんからの連絡で知り、連れ添って友人グループのGさん、Fさんの4人で葬儀(お通夜)に参列することとしました。

その際にお通夜の服装は喪服で、ご遺族が香典返しに迷わないように香典は各自で持参としました。

また、数珠は持参し、喪章は着けないこととしました。

当日、式場近くの駅にて待ち合わせて、葬儀開始の10分前に到着しました。

しばらくすると受付の開始となり、会社関係、〇△協会と書かれた受付がありましたが、一般と書かれた受付の列に並びました。

Sさんたちの順番のとなり、香典を受付担当者が読める向きに、“ご愁傷さまの旨”の挨拶と共に置き、記帳しました。

記帳後に香典返しのクーポンを頂き、Sさん達は会場に向かい、一般参列者席に座りました。

司会者の葬儀開始の知らせとお導師様入場の挨拶があり、読経が行われました。

お導師様のご焼香の合図で、喪主・親族のご焼香となりました。

親戚関係のご焼香が終わり、一般参列者の番となり、Sさんたち4人は、1列に並びご焼香しました、ご焼香後、会場係員に通夜振る舞いの席に案内され、4人で故人に献杯し、しばらくの間、故人を偲び飲食を共にしていると親族関係者が挨拶に訪れましたので、お悔やみを述べ、通夜振る舞いの会場を退席し、受付にてクーポンと引き換えに香典返しを受け取りました。

香典返しの紙袋の中に清め塩がありましたので、自宅玄関前で清めて玄関に入りました。

甥のYさんは、中学生です。

Tさんは父方の長兄にあたる方で、Yさんの面倒をなにかと見ていましたのでYさんも懐いています。

葬儀に参列する際には、喪服として中学校の制服をきるように母親から言われています。

Yさんのご両親は、供花・供物として供花一対と供物としてお茶を一対出すこととしました。

セレモニーホールの事務所に連絡して、兄弟一同にて供花・供物の手配をお願いしました。

お通夜となり、親族席にYさんは座りましたが、お通夜の進行はSさんたちと同様、また告別式の進行も前夜のお通夜と同等なので、告別式の一般参列者のご焼香が修了した時点にワープします。

故人のTさんの親しい友人であるAさんの弔辞がありました。

Aさんの弔辞はTさんの人柄をよく表し、遺族・親戚や参列者の涙を誘いました。

弔辞が終わり、Tさんとの最後の別れとして、祭壇の花や供花を参列者全員が棺に入れ、棺の蓋を固定しました。

霊柩車に棺を乗せ、喪主が遺影を掲げて同乗し、Yさんは、後続のバスにご両親と乗りました。

霊柩車の出発に際して、クラクションが鳴らされ、火葬場へと向かいました。

火葬場では、控え室に入り、会場係員に呼び出されるのを待っていると、係員の先導で、棺の安置してある火葬前室に導かれました。

ここで、お坊様の読経と共に火葬技術員が火葬を行う扉の内側に棺を入れました。

全員で合掌して見送っています。

係員の先導で、また控え室に戻り、終るのを待っていますと、係員の声がして、全員で先ほどの場所へ移動しました。

そこで、火葬技術員が扉を上げ、台車を引き出すと棺は無く、故人のお骨が残るのみでした。

係員の合図で、喪主と奥様で骨上げをし、骨壷にお骨をいれ、順番に骨上げしました。

その後、骨壷と遺影を持って、お清め会場に向かいました。

ここで、喪主の葬儀参列に対するお礼の挨拶と故人に対する陰膳を用意して、献杯の発声がありお清めが始まりました。

遺族は、参列者にお礼の挨拶に回っていました。

ここで、Yさんの体験談は終ります。

2-2.お通夜は夜通し?

一般的な葬儀は、前節の体験の様にお通夜と告別式の2回のセレモニーで行われていますが、お通夜という表現自体が仏式を表しています。

元々、お通夜は、遺族・近親者・親戚などで故人を囲んで故人を偲びながら一夜を過ごすものです。

その際に、お線香やろうそくを絶やさないこととされていますが、立ち上る煙と共に天に昇る意味合いがあります。

尾篭な話ですが、お線香などの煙(香り)で、におい消しの役割もあるようです。

地域・宗教・宗派による違いがある可能性はありますが、多くの場合、故人は荼毘に付される(火葬される)前で、祭壇に安置されています。

また、お通夜は、夕刻(概ね午後6時)から開始されるものですが、これは、かつて故人の葬儀を自宅で執り行う際に、午前中からご近所総出で準備(通夜振る舞い/精進落し)を行い、夕刻からスタートしたことによります。

近年では、会社員の割合が多くなり、ご近所よりも会社関係者との関係性が大きくなり、夕刻以降に参列できることが会社関係の参列者に好都合となり、お通夜への参列者が多くなりました。

今では、お通夜は、親戚関係者やごく親しい方、告別式は、お通夜の参列者+一般参列者という区分けでなくお通夜に近親者などに会社関係者やご近所の方が参列され、告別式には、親戚関係の方が多いという感じになってきています。

仏式での例では、お通夜が執り行われている時間は、約2時間程度です。

おおよそ、午後6時から僧侶の読経が開始され、親族・親戚のご焼香に続き一般参列者のご焼香となります。

この間約1時間です。

ご焼香を済ませると、順次通夜振る舞いの席に招かれますので、一緒に参列された友人や近くの席の方々と故人を偲びながら語らいます。

前節で体験した様に“乾杯”ではなく“献杯”となりますのでご注意下さい。

受付開始前に到着された方や読経中に参列された方のご焼香は、午後7時前後には修了しますが、遅れてきた方や通夜振る舞い中の方々を考慮して、午後8時前後まで執り行われています。

2-3.告別式は、なにを告げる?

告別式は、お通夜の翌日の午前中に執り執り行われます。

前節のお通夜で述べたように告別式への参列者は、親戚関係者が多いように見受けられますが、前日のお通夜の席に参列できなかった方々も告別式に参列されます。

お通夜の色彩は、故人を偲ぶという性格ですが、告別式は、故人に対するお別れを告げるという要素が強くでます。

お通夜と同様に仏式の例で、告別式の流れを説明しますと、ホール係員の開催の挨拶があり、告別式が始まります。

お通夜と同様でお導師様入場後、読経が始まり、しばらくすると喪主・親族のご焼香となります。

親戚一同のご焼香が修了すると、一般参列者のご焼香となります。

ご焼香が修了すると故人のご友人か親戚の代表者が故人を偲ぶ弔辞を述べ、主に喪主様が葬儀参列のお礼を述べます。

その後、棺を霊柩車に乗せ、遺影を持った遺族も霊柩車に乗り、火葬場に移動します。

ここで、告別式の半分は修了します。

会社関係などの一般参列者は、ここで散会しますし、火葬場での骨上げに参列する遺族・親戚や親しい方はバスなどで火葬場に異動します。

また、お導師様も火葬場に向かいます。

火葬場に到着すると、各家の控え室に参列者は案内され、会場係員の呼び出しを待ちますが、この間、棺は焼き場への移動などの準備をしています。

係員の呼び出しがあると焼き場に向かいます。

棺は、焼き場の前に置かれ、故人との最後の対面となり、お導師様の読経と共に火葬技師が棺を焼き場の中にいれ、火葬に付します。

2-4.緊張する受付と記帳

もう少し、詳細に、各ステップを見ていきます。

葬儀会場の入口付近に受付がありますが、事例にありますように、一般、会社関係、〇△協会などと参列者が分かりやすいような名称で区分けされています。

参列者は、自分の所属する属性の受付に並び、慎み深く順番を待ちますが、間違っても笑い声や大声を出してはいけません。

順番が来ましたら、一礼して挨拶します。

“この度は、ご愁傷さまでございます。

”が、基本パターンと思われますが、なにも全ての言葉を明確に発音することは、ありません。

“この度は、・・・”といったトーンでOKです。

悲しみを共有するという感情移入が必要な場面です。

実務的には、香典を渡した後に記帳しますが、香典の出し方は後節に譲り、緊張が続く記帳の説明に入ります。

かつては、毛筆で記帳が行われていましたが、筆ペン、サインペン、万年筆などが置かれていますので、自身の好みの筆記用具を選択して下さい。

上手い文字で記帳するという姿勢より、読みやすい文字を丁寧に書くことを心がけて下さい。

参列できない方に香典を頼まれた場合は、頼まれた方のご芳名も記帳したほうが良いと思われます。

最終的には、記帳簿を基に香典返しを送ることになりますので、間違いが少なくなるように思われます。

2-5.どこに置く香典の出し方

受付での挨拶が済むと香典を出しますが、香典は袱紗に包んでおきます。

受付で慌てずに袱紗から出して受付担当者が読める方向で受付台に置きます。

お盆や受け皿などの“台”があれば、そこに置きます。

かばんの中や上着の内ポケットに入れた香典を探すような仕草はしてはいけません。

慌てず、余裕ある姿勢で香典を受付に渡すことを心がけて下さい。

2-6.きょろきょろしない焼香の作法

ご焼香は、香炉に抹香を入れ、香を焼く作法です。

この動作を実行するに際して、祭壇の前に立って焼香する立礼式、和室でご焼香を行う場合には、座敷(床)に置かれた台の前の座布団に座り焼香する座礼式、椅子に座った状態・座敷に座った状態で香炉が回覧される回し焼香に分類できますが、セレモニーホールでは、ほぼ立礼式となっています。

ご焼香の作法は、特に“これだ”という作法は無いと言われていますので、隣の参列者の真似でOKというのも“当たらずとも遠からず”ですが、故人を弔う、故人の冥福を祈る、という心持を基本に端正に行いたいものです。

作法は、礼(遺族・お導師様)、抹香を香炉にくべる・合掌、礼(遺族・お導師様)の3動作が基本ですが、特に不安になるのが香を香炉にくべる動作です。

宗派により抹香を香炉に入れる作法(抹香をつまむ際の動き、回数)に違いが見られますが、自分の宗派の作法で問題ないと言われています。

葬儀を執り行っている遺族が特に“この宗派の作法で”というときは、ご焼香の際に、“1回でお願いします。

”、“2回でお願いします。

”、“3回でお願いします。

”という会場係員のアナウンスがありますので、その指示に従ってください。

3.分かりにくい宗教・宗派の違いによるマナー

出典元:https://www.photo-ac.com/ 日本人は、初参(お宮参り)りや七五三は神主様、結婚式は牧師様や神父様、葬式はお坊様というイメージの方が多いと思われます。

多くの方は、人生の節目、節目の行事は、特定の宗教的な色彩とその行事を司る指導者に導かれています。

ある意味、煌びやかな儀式を行っている宗教のセレモニーを採用しているように思います。

3-1.一般人には分かりにくい?前述のように日本人の宗教観からすると、特定の宗教・宗派に対する信仰心への理解度は高いとは言えない状況にあります。

そこで、葬儀に参列するという面からすると、参列される方のチェックポイント(事前に宗教・宗派が判明している場合は除く)としては、訃報には会場名が記載されていますので、会場名を調べて下さい。

概ね、会場名で想定が可能です。

また、会場名でも判明しない場合は、ご遺族関係者に葬儀を司る方のプロフィールをお聞きすれば解決します。

3-2.信者には信者の流儀がある

葬儀は、概ね故人の信じる宗教・宗派のプロトコルに従って執り行われます。

また、子世代は概ね親世代の宗教・宗派を引き継いでいる場合が多く、信者とは言えないまでも習慣には親しんでいますので故人の属す団体のルールで行われます。

3-3.宗教・宗派の違いを乗り越えて

日本には、数多くの宗教・宗派が活動しています。

故人の信仰心も自分自身の信仰心も同様に尊重されますので、“私たちは”、“自分たちは”などのマイウエイを出すのでなく、故人を弔い、遺族を慰めるという姿勢が葬儀参列の基本態度です。

その上で、宗教・週派により表現は異なりますが、香典、供花、供物という故人の葬儀を助ける、盛大さを出すという意味合いのものを提供することになりますので、儀式の本質を見て下さい。

4.故人を慰めるだけ、供花・供物?

出典元:https://www.photo-ac.com/ 葬儀会場の祭壇に棺が置かれ、花で棺の周辺が飾られています。

この花で飾られた祭壇上に名札を立てた花の一団が置いてありますが、これが供花(きょうか、くげ)です。

また、祭壇の両側にお茶や果物などの盛籠が置かれていますが、これが供物(くもつ)です。

これらは、故人に供え、会場を飾る役目をしています。

4-1.供花と供物の役割は?

供花と供物は、故人への供え、会場を飾る役目ですが、別の効果もあります。

供花・供物は、祭壇上若しくは周辺に名札と共に置かれているために非常に目立ちます。

遺族の方も葬儀中、その名札を見ることになりますし、参列者からの香典などの目録に供花・供物も記載されていますので、遺族に対するアピール度は高いものとなります。

4-2.出す、出さない 線引きは?

供花・供物は、故人や遺族・親戚関係者と特に親しい方がお贈りするほか、参列できない方、会社等の団体関係の方がお贈りすることがあります。

葬儀の際に、お贈りするものは、香典、供花、供物ですが、これらの3種類の役割は同じですので、一般参列者で供花・供物をお贈りことは稀です。

供花は、祭壇上に名札を添えて置かれています。

兄弟一同、親戚一同、といった贈り主の名称が書かれた札が差し込まれています。

名札の書き方に注すべき点は、連名の場合です。

ご夫婦でお送りする場合は、夫の氏名だけです。

ご夫妻に氏名を書くと、お二人は、離婚又は別居状態という意味になります。

供花を1つだけ飾るときは、1基、祭壇の両側に飾るときは、1対という表現になります。

4-3.どうすれば頼める供花・供物

セレモニーホールなどの会館で葬儀を執り行う場合、セレモニーホール出入り(指定)の商店(花屋や供物を取扱う業者)がありますので、セレモニーホールを通じて手配してもらい生ます。

喪主や遺族にお願いする場合もあるか可能性がありますが、お送りする方が会館にお願いして支払を済ませて下さい。

5.迷わないための参列の装い

出典元:http://memories-in-time.net/otsuya-manner/ 突然の訃報で、当日のお通夜に参列する場合、会社関係の方であれば、紺かグレーのスーツが多いと思われますが、この服装で問題ありませんし、ご近所の方が故人でも同様です。

5-1.黒服と同じ?男性の装い

男性の場合は、喪服として黒スーツと黒ネクタイの組合せでオールマイティですので、あまり考える余地はありませんが、ワイシャツは、白無地のブロードのレギュラーカラーを選択して下さい。

白無地のオックスフォードのボタンダウンや、白地に柄のレギュラーカラーのシャツでも避けましょう。

1枚は、レギュラーカラーの白無地のブロードのワイシャツは持っているべきです。

5-2.さりげなくお洒落もしたい女性の装い

女性の喪服は、基本型でワンピースとツーピース、夫々にデザインのファクターがありますので無数の喪服があります。

ご自分の好みの喪服をお選び頂けますが、肌の露出の少ない寸法にして下さい。

ブラウスも黒が無難ですし、バックと靴も黒を選択して下さい。

装飾物としては、真珠が基本です。

5-3.選択の幅の大きい子供の装い

小学校・中学・高校の制服があれば、制服を選択するのが無難です。

小学生では、制服の指定が無い場合が多いのですが、この場合は手持ちの服から選択していくこと(勿論、新しくお買い求めることもありです)になります。

男のお子さん、女のお子さん共に、白、黒、紺、グレーといった華美さの出ない色が基本色です。

黒・紺・グレーの上着に同色のパンツに白色のポロシャツかワイシャツといったイメージです。

靴下も基本色で、靴は黒の革靴があればベストですが、飾りの少ない運動靴でも問題はありません。

6.慌てないためのも持ち物

引用元:https://upin.jp/367 葬儀に参列する際の持ち物は、香典(必須です)、数珠ですが、数珠は仏教徒の印となり宗派により形式などの決まりがありますが、近年では多くの人は、あまり意識せず、数珠を持って葬儀に参列しているようです。

6-1.もう悩まない香典の金額と書き方

葬儀に参列する際、大きな悩みの一つに香典の金額があります。

故人と自分との関係性と年齢で概ねの相場があります。

香典袋は、ご霊前となり、薄墨で氏名(と所属)を書きます。

金額は、香典返しから考えて(半返し)、5,000円以上が無難です。

下世話な話ですが、3,000円では恐らく、足がでます。

6-2.あれば安心数珠の威力

本章の始めにも記載しましたが、数珠は仏教徒の印で、宗派により形式に決まりがあります。

しかし、近年では、仏教徒を意識する、しないに係らず葬儀に必須のアイテムとなっています。

多くの参列者が数珠を持ってご焼香や合掌をしている姿をみると、数珠を持って参列した方が安心、という訳です。

ただ、安心の源である数珠を忘れてしまう場合もあります。

その際には、友人に借りるなどの行為はしないようにしましょう。

数珠は、持ち主を守るものとの意味合いがありますので、貸し借りの対象ではありませんし、本もとの意味からすれば、数珠を持っていない方のほうが多いのです。

6-3.喪章は、会館の方?

喪章は、故人を悼む気持ちを表すための印です。

現状は、遺族の方と会館の係員が付けることが多くなりました。

形式は、リボン型と腕章型の2通りで共に黒色で、リボンであれば左ポケットの上辺に、腕章であれば左の二の腕に安全ピンで留めます。

7.もう、迷わない参列のルール

出典元:http://hannnawin.com/968.html 葬儀に参列するか迷う場合があります。

親戚・姻戚、それ程親密でない知人、会社関係者などです。

特にルールなど無く、親戚(親族・姻族)関係は、法律的には、親族6親等、姻族3親等の規定がありますが、夫々の関係性のなかでの判断になります。

  例えば、故人が従兄弟(4親等)で一家を成している場合、葬儀に参列しても親戚席ではなく一般席に座る方が多いように見受けられます。

ご近所関係では、同一の町内会(最小の組織:班レベル)であれば、参列する例が多いようです。

また、会社関係者では、同僚全員でなく、代表者が参列することもあります。

7-1.参列できない時には代理の方に

訃報は、突然やってきます。

海外赴任や長期の出張など、物理的に参列できない場合があります。

また、長期の入院などの場合も同様です。

参列したいが、参列できない場合には、代理での葬儀参列をお願いします。

代理の方(親戚関係は親兄弟、会社関係では同僚)に香典をお願いし、葬儀の際には、弔電をお送りすれば丁寧です。

参列できない旨(海外赴任、病気入院など)をお伝えすることで、心安らかになります。

7-3.いつも迷う親戚の範囲

この章の始めに述べたように親族・姻族の範囲が、法律的に規定されていますが、故人が従兄弟となれば、参列する場合は、一般席となります。

また従兄弟(6親等)となると、その一族の関係性によります。

一族として、本家、分家の意識があれば、代表者1名が参列することになるでしょう。

姻族の場合、判断に迷うことが多くあります。

この場合には、姻族の長老各の方に相談することも考えられます。

7-3.どうする、取引先の葬儀

取引先の方の訃報が知らされました。

上司・同僚ともに“如何にせん”と迷います。

事前に社内ルールがあれば、淡々とそれに従えばいい訳ですが、取引先がサプライヤーであれ顧客であれ、迷ったら葬儀関係は参列したほうがいいと思われます。

8.さりげなく手本となる参列のマナー

出典元:http://blog.e-oga.jp/?eid=1865 葬儀参列のマナーの基盤となるのは、故人を弔う、故人の冥福を祈る、遺族に対する心使い・思いやりです。

この当事者に対する共感が無ければ所作が一見スマート、端正に見えても冷たいものになります。

あなたの故人や遺族に対する心使いが遺族と共鳴すれば、他の参列者の手本となる端正なマナーとなります。

8-1.弔辞を頼まれたらどうしましょう

弔辞は、故人を弔う言葉(詞)です。

弔辞を述べる方は、故人の友人代表ということで、特に親しい方にお願いしますので、遺族から弔辞を依頼されたら受けてください。

弔辞を述べる方は葬儀の規模によりますが、一般的な例では1〜3名程度です。

長い弔辞だと参列者の集中力が途切れますので、3分程度(800-1,000文字)の長さが適切と思われます。

1分間に300文字が聞きやすいと言われていますので900文字を目処に原稿を作成して下さい。

弔辞の定型は無いと言われていますが、概ね、導入部(故人への呼びかけ、自己紹介と訃報への驚き)、展開部(故人の人柄、友人とのエピソード、現在の気持ち)、結言(冥福を祈る、遺族への思いやり)の3部構成とすれば作成しやすいと思われますが、注意点として“忌み言葉”があります。

葬儀の場合の忌み言葉は、不幸が続くことを連想させる言葉、宗教・宗派特有の言葉がありますので、弔辞を読む方は、葬儀の特性を事前にチェックして下さい。

弔辞は、暗記でなく文書にして読みます。

8-2.普段とは違う挨拶と言葉使いに注意

現在は、テンション高く、明るく笑顔で会話すように心がけている方が多いように見受けられますが、これもTPOを弁えて、葬儀の受付に並んだ時から、心静かに故人を偲び、遺族の心情に共感するようにしましょう。

8-3.いつも迷う どこに座ればいいの

一般参列者として葬儀に参列した場合は、一般者席に座ればいいのですが、どうしても、中段より後方に座る例が多いようです。

実務的には、会場係員が前方に移動するようお願いに回りますが、遺族に対する励ましの意味で、前方に着席するよう心がけて下さい。

8-4.ほっと一息精進落とし、でもマナーが

精進落し、通夜振る舞いと呼ばれる葬儀の儀式の1コマです。

野菜の煮付け、精進揚げ(野菜の天ぷら)などの精進料理(近年は、お寿司もでる)と共に、お酒がお通夜のご焼香を行った一般参列者に振舞われます。

食事(食べ物やお酒)には活力を回復させる力があるために後節に述べる清め塩と同様に死に隣接した穢れを払うという意味があり、振舞われると言われています。

精進落しの際、注意すべき点は、故人を偲ぶという意味合いがありますので、通常の宴会のような飲食の作法とは、異なります。

飲食の始めに、“乾杯”と共に飲み干しますが、故人に捧げるという意味合いで“献杯”といいます。

また、話題は、故人とは関係ないことは避けるべきでしょう。

間違っても、大声や笑い声を上げてはいけません。

ご焼香の参列者が絶えると遺族関係者が、精進落しの席に挨拶に回りますが、その際の言葉がけも故人を偲び、遺族を思いやる気持ちを忘れてはいけません。

8-5.自宅に入る前にお清め

会葬礼状や香典返しの袋の中に、お清めの塩が入っています。

自宅玄関前で“お清め”として塩を身体に振りかけ、死に隣接した穢れを払うという儀式です。

宗教・宗派により色々と習慣がありますのでご自身の信条に従うべき事柄です。

まとめ

葬儀に参列するのは、故人に対す感傷や遺族を思うと心痛むものですが、大切なのは、故人と遺族に心を寄せ、当事者の気持ちに対して共感・共鳴する心持と多少の配慮です。

配慮は、TPOと言い換えることもできます。

また、葬儀に参列すると異文化に遭遇することがありますが、独自の伝統として受容する姿勢で見守って下さい。

(1)葬儀は、故人の旅立ちへの遺族や社会に対する別れの儀式です
(2)服装や持ち物は、喪に服する姿勢を表し、言葉使いは喪に服する気持ちを表します
(3)葬儀への参列に迷ったら、参列してください