宮本輝の流転の海
やっと読み終えました。
敗戦後の父と子、母と子がテーマになっています。
主人公の熊吾のこんな言葉があります。
「俺は何の為に生まれてきたのだろう。
たった1回の空襲であっけなく焼亡したように金や財産や地位や名誉などは、俺の人生にわずかな潤いしか与えはしない。
死んでからもなお持っていけるものはではないのだ。
残りの人生を何のために費やせばいいのだろうと考えた。」
最終的に事業よりも、妻や子の健康のほうが、はるかに大切だと自覚します。
子供がひ弱であり、また奥さんも死にそうになったことが、熊吾のゆらいでいた気持ちを変えるきっかけになりました。
熊吾は戦争で何もかも失って、大事なことに気がついたのです。
これを読んで、失ってから気づくことは誰にでも経験があることではないかなと、思いました。
私は息子を失いました。
一緒にいるときにはイライラして言ってしまったり、煩わしいなと思ってしまう日もあったり、そばにいるときには気がつきませんでした。
いなくなってから、親らしくいろいろとしてあげればよかったと後悔ばかりしていて、更には
罪悪感、絶望感までもが付きまとっています。
失ってからは、元には戻りません。
こんなことわざがあります。
親孝行 したい時には親は無し
まだ親は元気だから大丈夫だと思っていた為、孝行したい時には親はいないということです。日頃から愛情のこもった言葉をかける、愛情のこもった行動をする、想いはあっても照れ臭さもあって出来ない人も多いのです。
何をしていいかわからなければ、自分が言われて嬉しい言葉をかける、または自分がされて嬉しい行動をすればいいと思いますし、笑顔を見せるだけでも親孝行になります。
ちなみに私の母は1人暮らしなので、ちょこちょこ顔を 出したり、電話もまめに掛けるようにしています。
家族に限らず、恋人にだって愛情を持って接してあげないと失恋しないともかぎりません。
友人にも同じことが言えます。
また健康は、1番の財産である、健康で長生きすることは、しあわせの根本だと熊吾の言葉にあります。
健康も失う前に、食事に気を配ったり、まめに健康診断をしたりすることも大切です。
愛しい人、大切なことはすぐ身近にあって、 気づくか気づかないかで行動も変わり、それによって最終的には、しあわせも左右してしまうということです。
どうしたら、失う前に気がつくことが出来るのでしょうか…。
身近な人を大切にする。
当たり前のことに感謝をする。
意識をして生活する。
これでいいのかなと、立ち止まって自分に問いかけてみる。
人生は長いようであっという間に過ぎてしまういます。
これ以上は後悔を増やさない為に、私も残りの人生を生きていこう…そう思いました。
最後に、本の中で星廻りとの言葉が出てきます。
わたしは運命とか宿命との言葉を使いますが、こんな言い方もあるんですね。
妻と子供を亡くし、自分は嫌な運命にあるので一生独身でいると言った男性に、熊吾が言った言葉です。
「星廻りとケンカをしてこそ、ほんまの人生やとは言えんかのお。思いどおりにされてたまるか。わしはけんかをするんじゃ」
何ともたくましい言葉です。
これぐらいの気迫で人生を生きていったら、どんな荒波も乗り越えていけるし、星廻りも変えていけるのではないでしょうか(o^^o)
次は気分を変えてミステリーでも読もうかなあ(^.^)
エプロンを作った残りの布でブックカバーを作りました(o^^o)上左です。
しおりはフエルトとペーパーで作りました。
年季が入っています(笑)
本はお気に入りのペーパーでカバーしたりもします(下)(o^^o)