私が男の産後うつから抜けたと感じられた瞬間があった。
それは私が、ゲシュタルト療法の集団セラピーで「エンプティ・チェア」という技法に出会ったときのこと。
そこである女性が、私の代わりに怒って泣いてくれたことがあった。
ゲシュタルト療法とは
私も1回しか行っていないのでうまく説明ができないんだけれども、精神療法の一つの分野で、患者自身の気づきを重視する療法、とでも言えるかな。
ゲシュタルト療法の特徴的な技法のひとつに「エンプティ・チェア」というものがある。
これは、自分の人生において、何かのわだかまりを持っている誰かが、今ここにいると想定して、その人に今の思いを語る、というもの。
(これは私の解釈なので、厳密に言うと違うかもしれない💦)
その思いを語る手助けをするファシリテーターという人がいる。
その人の促し受けながら、思いをコトバにするって感じ。
図にしたらこんな風。
ゲシュタルト療法に行こうと思ったきっかけ
私は男の産後うつ状態の時、怒りをコントロールできずに、奥さまや周囲の人に理不尽な怒りをぶつけてしまっていた。
これをなんとかしたいと思っていたんだけれども、ある時、田房永子さんの「キレる私をやめたい」という本を読んだ。
この時、田房さんがゲシュタルト療法のセラピーに参加して、大きな前進を得たということが書かれていた😲
これをみて、私も何かつかめるんじゃないかと思って参加したわけ。
キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~ (BAMBOO ESSAY SELECTION)
- 作者: 田房永子
- 出版社/メーカー: 竹書房
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田房さんは、お母様の過干渉によって生きづらさを抱えていることを他の著作でも告白されていて、私もずっと共感していた作家さんだった😊
ある女性のセッションのとき
私がうけたセラピーは集団セラピーだったので、私以外にも何人かいた。
私がクライアントとして思いを述べる時以外は、他の人のセッションを第三者として見守るんだけど、そこに私と同じ年頃の女性がいた。
その女性のセラピーのとき。
自分の抱えている問題やわだかまりを、彼女は告白していく。
話を聞いていると「もしかして生き別れた私の双子のお姉さんじゃないの❗❓」と思えるくらい、私と似た家庭環境で育っていることにビックリ。
いやまあ、生き別れていたら、家庭環境は違うはずだけとね😅
でも、似た境遇であることを知り、私は彼女のセッションに、いつのまにかのめり込んでいた。
セッションが進むにつれて、感情をむき出しにする彼女。
大人の女性が、私には少女👧のように見えた。
あの時、あの人に言えなかったコトバや感情を、あの時に戻って、全身全霊で伝えている姿。
私も
「そうそう❗」
「それ、私も言いたかったの❗」
「私もそうやって怒りたかったの❗」
と完全に感情移入していた。
彼女のセッションが終わった時、人前で泣いたことなど、もう何十年もなかった私だったのだけれども、嗚咽が止まらなかった。
そして私のセッションの時
で、やがて私のセッションの番がまわってきた。
でも、言葉が出ない。
言いたいことや吐き出したい感情が見つからない。
「もう、別に吐き出さなくてもいいや」
って気持ちになったのがわかった。
でも決して自分の言葉や感情をセーブしている訳ではない。
もう十分に吐き出したと満足していることに気がついた。
だから私のセッションは、何ごともなく終わった。
これだけ見ると、私のセッションそのものは失敗だったのかもしれない。
しかし、このセラピー全体の最初から最後までの時間、場の空気、他の参加者との相互作用のなかで、私は総合的に癒やされていた。
信じられないくらい軽やかなココロに
セラピーのすべての時間を終え、会場を後にしたとき、信じられないくらいココロが軽やかになっているのに気づいてびっくり😲
私はこの時、かなり満足していて
「あ。もしかして、これで(男の産後うつが)終わったかも」
と自然に思えた。
一つだけ言っておきたいことがあるけれども、だからといってゲシュタルト療法のエンプティ・チェアが、誰の悩みでもすぐに解決できるわけではない。
私はここに至るまで、いろんなことに試行錯誤して、悩んで、失敗した~😫と後悔しながら、うつと向き合ってきた。
その間、一進一退を繰り返していたように思えていたけれども、実は徐々に改善に向かっていて、そしてゲシュタルト療法が最後のひと押しだった、と思う。
そういうわけで私の場合は、まったく見ず知らずの他人が、ただ怒って泣いている姿を見て、うつを抜けることができた。
かの女性は、まさか見ず知らずの他人(私)を、知らず知らずのうちに癒やしていただなんて、想像もしていないでしょうね。
人は意図せずに癒やしあって生きる……のかもしれない。
でも、こういうの、悪くないよね😉