営業利益はざっくり言うと本業での儲けです。売上規模は雇用創出などを考えるときには重要かもしれませんが、投資先を考える際には売上より利益です。
サクッと調べてみると日経が各経営指標のランキングを載せてくれていました。その中の一部、30位まで引用させていただきます。これを見て、皆さんは何を感じますでしょうか。
順位 | 銘柄名 | 営業利益 (百万円) |
業種 |
1 | トヨタ | 2,853,971 | 自動車 |
2 | NTT | 1,348,149 | 通信 |
3 | ソフトバンク | 999,488 | 通信 |
4 | KDDI | 833,358 | 通信 |
5 | 日産自 | 793,278 | 自動車 |
6 | NTTドコモ | 783,024 | 通信 |
7 | 日立 | 634,869 | 電気機器 |
8 | JR東海 | 578,677 | 鉄道・バス |
9 | SUBARU | 565,589 | 自動車 |
10 | JT | 565,229 | 食品 |
11 | ブリヂストン | 517,248 | ゴム |
12 | ホンダ | 503,376 | 自動車 |
13 | JR東日本 | 487,821 | 鉄道・バス |
14 | パナソニック | 415,709 | 電気機器 |
15 | 国際石開帝石 | 390,139 | 鉱業 |
16 | 東電HD | 372,231 | 電力 |
17 | キヤノン | 355,210 | 電気機器 |
18 | セブン&アイ | 352,320 | 小売業 |
19 | デンソー | 315,728 | 電気機器 |
20 | 三菱重 | 309,506 | 機械 |
21 | 三菱電 | 301,172 | 電気機器 |
22 | ソニー | 294,197 | 電気機器 |
23 | オリックス | 287,741 | その他金融 |
24 | 中部電 | 284,991 | 電力 |
25 | 三菱ケミHD | 280,026 | 化学 |
26 | 村田製 | 275,406 | 電気機器 |
27 | 関西電 | 256,702 | 電力 |
28 | アステラス | 248,986 | 医薬品 |
29 | 大和ハウス | 243,100 | 建設 |
30 | マツダ | 226,775 | 自動車 |
まず上位陣を見て思うのが、3兆円に迫るトヨタの圧倒的な強さです。2位のNTTと比べて倍以上の営業利益をたたき出しています。
トヨタの強さはシンプルです。良い物を安く売る、これにつきます。単純にカタログスペックとコストを見比べていくと、トヨタ車は他社より一歩進んだ位置にいます。僕がシエンタを購入したときも、競合ホンダのフリードより価格の優位性があったことが決め手になりました。これを可能にしているのがトヨタ生産方式として知られる製造の運用方法、そしてその思想でしょうね。
そして驚くべきは、トヨタという圧倒的な王者がいる中で、他の自動車会社が数多くランクインしていることです。5位に日産、9位にSUBARU、12位にホンダと続きます。さらに下に目を向けるとマツダや、スズキ、ちょいと毛色が違いますがいすゞもいます。上位陣と比べると利益面で見劣りはしますがブランドは広く知られており、各メーカーとも国内外で活躍しています。極端な差別かも難しい環境で、市場が上位1〜2社の独占とならず、どこも利益を上げている。なかなか凄いことではないでしょうか。
こうした傾向は車以外の業界についても見られます。ひと昔前の電機業界も似たような状態でした。ソニー、パナソニック、東芝、日立、シャープ…最近パッとしない会社もありますが、当時はどこもイケイケで利益を上げていたと記憶しています。
上のランキングで言うと、通信業界も「みんな仲良く利益を上げる」業界と言えそうです。ドコモ、ソフトバンク、KDDIは似たような料金プランに同じような機種ラインナップで、どこのキャリアでも大した違いがありません。
上記のような観点で見ると、日本の企業というのは徹底的にぶつかり合うような競争を繰り広げるというより、うまい具合に住み分けして市場を拡大させ、皆が利益を上げていくような所が多いように感じます。企業買収などが活発でないのも、一因かもしれないですね。
ランキングの中で、個人的に動向が気になるのがJTです。先日1Qの決算短信が上がっていましたが、本数ベースで減少しての減益となっていました。先進国は人口減と健康意識の高まりから、今後も当分は本数が上向くことは無いかと思います。発展途上国の市場でどれだけ成長出来るか、行く末が気になるところです。
JR東海や東、東電、中部電、関西電など、人口が多い所のインフラはやはり強いですね。東電が営業利益を上げているところにちょっと引っかかりもしますが…安定した投資先ということにしておきましょう。関東は特に、今後も人口が減りにくいエリアなので、関東を牛耳っているインフラ会社の株を少しくらい持っておくのも悪く無い気がします。
企業のランキングは面白いです。知名度だけで言うとランキングに会社はどこも名の知れた会社ですが、ランキングにする事で規模感が掴めます。眺めているともっともっと思う所が出てきますが、発散し続けるだけなのでここら辺で止めにしておきましょう。
日経のページには営業利益以外に各種経済指標や投資指標のランキングがあります。投資の参考に、また暇な時の時間つぶしに良いですね。
こんな記事も書いています。
そもそも営業利益って何よ、ってときに。