(写真:わたくしの愛機・EXCELSIOR Mod. 308)
アコーディオン路上演奏家としての近況
前回の記事で「アコーディオン奏者としての路上演奏の許可を市当局より得ました」という報告をしました。
www.from-estonia-with-love.net
許可証が発行されて以降、たびたび演奏場所として指定されている市中心部の公園に出かけては小銭を稼いでいます。タリンのみなさんは結構気前がよくて、「これ、毎日演奏したら月々の生活費の半分くらいが賄えてしまのでは……」くらいの収入になってしまっております(来月からは3か月間の夏休みが始まるので、毎日やるつもりですけどね! 観光客もどっと増えるし……)。
実はヨーロッパではアコーディオンはかなり広く親しまれている人気楽器なんですよね。特にバルト三国は優れたアコーディオン奏者をたくさん輩出している地域として知られています。
というわけで、今回は「バルト三国出身の注目のアコーディオン奏者たち」を紹介してみますね。
Tuulikki Bartosik
いかにも「エストニアだなあ」という感じの音楽を演奏する奏者が Tuulikki Bartosik です。エストニアの伝統音楽をベースにした演奏活動を行っているようです。
MARI KALKUN JA TUULIKKI BARTOSIK "Suvi"
上の動画では Mari Kalkun という奏者とデュエットしていますが、Mari さんが弾いている弦楽器は「カンネル」といい、バルト三国やフィンランドでよく見られる民族楽器です。
Tuulikki Bartosik live music showreel
アコーディオンを演奏する人だけにしか通じないであろうマニアックな話になりますが、彼女の使用している楽器はフリー・ベース・システムです。エストニアの伝統音楽は機能和声に基づいたものではなく旋法によるものなので、スタンダード・ベースの楽器ではいろいろと制約が多そうです。
なおエストニアに限らず、ヨーロッパでクラシックを演奏する奏者はフリー・ベースの楽器を使うのが基本です。
Mikk Langeproon
まだ二十代前半の若手奏者、Mikk Langeproon も素晴らしい演奏家です。彼はエストニア音楽アカデミー、および隣国フィンランドのシベリウス音楽院でアコーディオンを学んだとのことです。エストニアにおける音楽家のエリート街道ど真ん中の経歴ですね。こちらの超絶技巧曲の演奏をどうぞ。
J. Tiensuu - Fantango - Mikk Langeproon
Ksenija Sidorova
エストニアのお隣、ラトヴィアからも優れたアコーディオン奏者を紹介しましょう。Ksenija Sidorova はまだ二十代ながら世界的な注目を集める演奏家です。クラシックの演奏をメインとしていますが、こちらの動画ではジャズのビッグ・バンドとバッハを共演しています。
J. S. Bach Concerto in d minor BWV1052
Martynas Levickis
続いてはリトアニア出身の若きアコーディオン奏者、Martynas Levickis の動画をご覧ください。彼もとんでもない超絶技巧を披露してくれます。
Ástor Piazzolla. The Seasons of Buenos Aires (Excerpts)
こちらはアップロード日が10年ほど前になっておりますので、彼の少年時代の演奏の姿ということになりますが、この頃からすでに超絶技巧奏者の片鱗を見せています。
Antonio Vivaldi "Winter" Ist p. (M.Levickis - Lithuania)
今回は4人のアコーディオン演奏家たちを紹介しましたが、この地域にはとんでもない才能がゴロゴロいますので、興味のある方は YouTube などでぜひ検索してみてくださいな。