今日、ワイフと雑談していて、ちょっとひらめくものがあったので、書きます。

ワイフ:きのうご近所さんの家に行ったのだけど、お部屋がとっても可愛く飾られているの。それで自分にはインテリア・デザインの才能が無いということがわかったわ。

僕:それはどうかな。もう少しインテリア雑誌を読んで自分の気に入ったスタイルを切り抜いてスクラップブックに貼るなどして、まず目を肥やしてから、自分が表現できるかどうか、やってみるといいんじゃない?

ワイフ:そうね、ピンタレストとかもあるしね。

僕:大体、すごいセンスのあるインテリアだって、殆どは誰かのアイデアの模倣なんじゃないの? でも模倣は別に悪い事じゃない。ファッションにだって、文章作法にだって、音楽にすら、独特の話法や決まりがある。まずそれらのランゲージを習得しないと、ツボを押さえた表現はできない。フリー・スタイルというと無限大に自分が表現できると勘違いする人が居るけれど、殆どの場合、美しさのルールというものがある気がする。まずそのルールを無意識のうちに体得して、その後で、崩したければ、それを自己流に崩せばよいのでは?


と、そこまで話して(ふむ。これは株式投資と同じだな)と思いました。

株式投資を始めたばかりのときは、ビギナーズ・ラックという神様がついているので、大抵、成功します。するとビギナーは(ひょっとして、俺は相場の天才?)と鼻が高くなります。周りの投資家や、著名投資家までもが馬鹿に見えるわけです。そういうフェイズは、僕自身も経験しました。

でも遅かれ早かれ、ビギナーズ・ラックからは見放されます。本当の努力が始まるのは、それからです。それからというものは、本当に苦労ばかりで、なかなか自分の思うように運びません。

あれを試してもダメ、これを試してもダメ……そういう思考錯誤を繰り返し、どんどん自分に合わない投資手法を切り捨ててゆくと、最後に残ったものだけが、「自分のスタイル」になるのです。

一例として川久保玲の服は直線的でユニセックス的です。そこには彼女一流の「意味付け」があり、それまでのファッションのコンテクストと違う何かを、彼女はファッションの世界に持ち込んできたのです。このように自分のスタイルを打ち出そうと思えば、まず先人たちがこれまで営々とやってきたことに対する造詣というか「たしなみ」が必要です。

既存のルールを理解し、それらに一通り習熟した後で、初めて自分の話法というものを問題にすることが出来るのであって、我流ではいけないのです。

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