【ベルリン=白石透冴】フランスのマクロン大統領は15日、新首相に国民議会(下院)第2党、共和党(中道右派)のエドアール・フィリップ議員を指名した。右派層に配慮をみせることで、6月の国民議会選での支持拡大をめざす。第1党社会党(中道左派)にも合流を呼びかけており、右派、左派の両方を取り込む戦略だ。
フィリップ氏は46歳と若く北部ルアーブル市長も務める。穏健な中道右派の共和党員で、マクロン氏が掲げる歳出削減、労働法の改正などの公約を共同で実行しやすいと判断した。国民に人気の高いアラン・ジュペ元首相に近い人物のため、有権者の支持を受けやすいとの思惑もある。
ただ、共和党全体がマクロン氏に協力するかは不透明だ。共和党は15日、フィリップ氏の首相指名について「個人的な判断であり、遺憾だ。連立政権を意図したものではない」と表明した。
フィリップ氏は社会党のカズヌーブ氏から首相の座を引き継ぐ。16日にも閣僚名簿を公表する見通しで、複数の党から入閣するとの見方がある。6月の議会選までの暫定内閣だが、首相を出せなかった社会党がどこまで協力するか注目される。
マクロン氏にとって本当の勝負は6月11、18日の議会選だ。自身が率いる新政党「共和国前進」は、議席を持たないところから一気に過半数を獲得する難題に取り組む。
マクロン氏は社会党オランド内閣の閣僚だったこともあり、これまで比較的左派層の協力は得られていた。11日発表の議会選候補428人には、合流した社会党の現職議員24人も含まれていた。
共和党から首相を出すことにより、同党から合流する議員が現れる可能性もある。