劇団四季の創立メンバーの一人、日下武史さんが去る5月15日、静養先のスペインで、誤嚥性肺炎により逝去いたしましたのでお知らせ申し上げます。享年86歳でした。
慶應義塾高校在学中より、浅利慶太氏らとともに劇作家・加藤道夫に師事し、同大学文学部仏文科在学中の1953年に9名の仲間たちと共に劇団四季を結成されました。 その翌1954年に、旗揚げ公演として『アルデール又は聖女』を上演して以来、ストレートプレイ(台詞劇)からミュージカルまで、幅広く活躍。 出演作品は、『エクウス』(マーティン・ダイサート役)、『ヴェニスの商人』(シャイロック役)、『スルース』(アンドリュー・ワイク役)、『鹿鳴館』(影山悠敏伯爵役)、『赤毛のアン』(マシュー・カスバート役)など。代表作を挙げれば枚挙にいとまがありません。常に四季の第一線の俳優として舞台に立ち続け、その姿勢に後輩からも熱く慕われておりました。 また一方で、声優やナレーターとしても活躍。「アンタッチャブル」(エリオット・ネス役)、「アマデウス」(アントニオ・サリエリ)などの吹き替えを務められ、お茶の間でも親しまれました。
1991年には芸術奨励文部大臣賞、1996年に紫綬褒章、2002年に勲四等旭日小綬章などを受章。 2014年、東京・自由劇場で上演した『思い出を売る男』乞食役での出演が、ご自身の最後の舞台となりました。
日下さんの安らかな眠りをお祈り申し上げます。
主な出演作品 (年は、初出演年)
『アルデール又は聖女』 伯爵(1954年)
『アンチゴーヌ』 クレオン(1954年)
『ひかりごけ』 船長(1955年)
『オンディーヌ』 水界の王 他(1958年)
『解ってたまるか!』 村木明男(1968年)
『ハムレット』 レイアーティーズ/ハムレット他(1968年)
『エクウス(馬)」』 マーティン・ダイサート(1975年)
『ヴェニスの商人』 シャイロック(1977年)
『赤毛のアン』 マシュー・カスバート(1984年)
『スルース』 アンドリュー・ワイク(1989年)
『思い出を売る男』 乞食(1992年)
『美女と野獣』 モリース(1995年)
『鹿鳴館』 影山悠敏伯爵(2006年)