既報の通り、東芝は5月15日に2016年度の通期決算の見通しを発表した。
東芝は東京証券取引所(東証)の第1部に株式を上場している。通常、上場企業は決算速報を「決算短信」として開示するが、同社はそれを見送ったことになる。なぜなのだろうか。
上場企業は四半期ごとに「四半期報告書」、年度ごとに「有価証券報告書」を財務局に提出する義務を課されている。提出期限は前者が四半期終了日から45日以内、後者が年度終了日から3カ月以内となる。
これらの報告書には決算に関する情報も当然に含まれているが、特に有価証券報告書で通期決算を知るには最長で3カ月待たなければならない。投資家が「投資」「引き上げ(減資)」の判断をする場合、このタイムラグは極力短い方が良い。言い換えれば、決算をなるべく早く発表してくれた方がありがたい。
そこで登場するのが決算速報である「決算短信」だ。もともと、決算短信は「上場企業の決算速報の様式を標準化(統一)する」という観点で登場したもので、上場企業は証券取引所が定めた様式に沿って作成し、開示することを求められる。
東証では、通期の決算短信の開示時期を「年度末から45日以内、できれば30日以内」としており、年度末から50日を超過して通期決算を公表する場合は遅延理由と次年度以降の開示計画について明らかにすることを求めている。
Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.