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(澄子)ばあちゃんには会いでえなぁ…。
(おばあちゃん)澄子~!
(幸子)ばあちゃん 好きなんだ?
はい! 優しいんです とっても…。
大丈夫があ!
大好きだ。
(すすり泣き)(澄子)ばあちゃん…。
(すすり泣き)
ばあちゃん…。
澄子!
♪「Pon pon pon…」
♪「愛の言葉をリル」
♪「シャイなハートがドキドキ」
♪「あの日観てた“サウンド・オブ・ミュージック”」
♪「瞼閉じれば蘇る」
♪「幼い頃の大事な 宝物だけは」
♪「ずっと この胸に抱きしめて来たのさ… Ah ah」
♪「夜の酒場で Lonely」
♪「あの娘 今頃どうしてる?」
♪「さなぎは今、 蝶になって」
♪「きっと誰かの腕の中」
♪「肩寄せ合い 声合わせて」
♪「希望に燃える 恋の歌」
(松下)正確に 間違えないで。
♪~
(みね子)ちょっと。
澄子! しっかり!
澄子! あんたね ほら!
(幸子)スイッチ 止めます!(ブザー)
(松下)今日 何回止めたんだ 澄子。
働く気ないなら クビにするぞ。
田舎 帰れ!
すいませんでした。
(幸子)松下さんそんな言い方 ひどいです。
(松下)何だよそんな目で見ないでくれよ。
別に 本気で クビだって言ってるわけじゃないよ。俺だってそんなこと言いたくないよ。
大丈夫?
あ… すいません。
(松下)はい時間もったいない 動かすよ!
(ブザー)
(松下)はい 正確に 間違えないで。
(愛子)ご苦労さま ご苦労さま。ご苦労さま ご苦労さま。
ご苦労さま ご苦労さま。ご苦労さま ご苦労さま。
あっ ご苦労さま。
(幸子)ただいま! はあ…。
(時子)疲れたねえ 今日は…。
(幸子)忙しがっだねえ。
(優子)でも 松下さんもあの言い方は ないよね。
(豊子)全ぐです。
はぁ…。
あれ? 澄子は?
えっ? あれ?
(幸子)何だべ?
いねえな。え…?
晩ごはんには戻ってくるよね。
そうだね 今日は カレーライスだしね。ね?
カレーの時は 気合い入ってるもんね。絶対 2回 お代わりするために。
すんごい早いよね食堂行くのも食べるのも。
回想 (一同)いただきます。
♪~
えっ!?
お代わり お願えします。もう食ったんだが おめ!
大盛りで。
エヘヘヘ!
(豊子)いねえな。どうしちゃったんだろう 澄子…。
ねえ 澄子 見なかった?
あぁ 仕事 終わった時ではってったよ 外さ。
外?どんな様子だった? 澄子。
どんなって…。しょんぼりした感じだったけど。
あんだけ叱られとったもんに。ね?うん。
あっ! あの子 まさが!
ばあちゃん?ありえるがもしれない。
行ごう!
ちょっと! どうしたの?あんたたち! ねえ!
優子 大丈夫?うん 大丈夫。
分がった。きづがっだら言うんだよ。
うん。
澄子!澄子!
澄子~!澄子~!
澄子~!澄子~!
澄子~!澄子~!
澄子! 澄子~!
澄子…。
豊子 大丈夫け?
みんな バラバラにならないで。
はぐれちゃうがら私がら離れないで。
分がった。大丈夫 大丈夫。
澄子が乗るのは常磐線だったよね。
そう。行ごう!
澄子~!澄子~!
澄子~!澄子~!
澄子~!澄子~!
ごちそうさまでした。(和夫)はい。
(愛子)おやすみ。 おやすみなさい。
℡
はい 向島電機乙女寮です。
あっ はい。私が責任者の永井と申します。
向島中央病院?
えっ? あっ はい。青天目澄子は うちの工員です。澄子に何か?
はい… えっ!?
澄子あれ 乗ってっちゃったのがな…。
(時子)分がんないね。
もっど早ぐ気付いであげればよがっだな。
(優子)ひょっとしたら寮に帰ってるかもしれないし。
ね? 帰ろう。そうだね。
お姉ちゃんたち どうした?行く所ないのか?
迷子か? ハハハ!どっか うまいもんでもごちそうしてやろうか?腹 減ってんだろ?
仕事 困ってんだったら いい仕事紹介してやってもいいよ。
よし 行こう行こう!
触らないで!何だ?
何だ このガキ!
私だぢは 行ぎ場のない迷子なんかじゃない!
ちゃんと 自分だぢの力で自分たちの場所で生きてます!
バガにしないで下さい!
ハハハハ。ハハハハ。
まぁ いいや。とりあえず 行こう! な?
触んな!何だ このクソガキ! こら!
逃げるよ!
♪~
<お父さん。東京に出てきた私たちは迷子みたいなもんなんでしょうか。私は 何だか
とても悔しくて…>
どこさ 行ってたの? あんたたち。
澄子 帰ってませんか?澄子 病院やと。向島中央病院から 電話あって今 愛子さん
行っとんが。
(幸子)こごがな?(優子)うん。
(愛子)あら あら。
どうしたのよ 澄子。(時子)そうだよ どうしたの?
えっ?
ちゃんと 自分で話しなさい澄子さん。えぇ…。
(幸子)何? どうなっでんの?(優子)澄子 大丈夫なの?
なして バナナ 食べてんの?どこが悪いの?
あ… あの…おれ 銭湯に行ってで。
その… 何て言うか…。
銭湯の湯船で眠ってのぼせて 気を失って救急車で運ばれたのよね。
はい 簡単に言うとそういうことです。 ヘヘヘ!
難しく言っても同じだと思うけどね。
はい すいません… ヘヘヘ…。
はぁ?何それ?
何で 銭湯なんて一人で何も言わないで行ぐのよ?
いやぁ 何か ゆんべ 寝れねぐて。
で 今日 仕事で失敗して怒られて。
このままじゃダメだど思って元気出さねどなんねと思って銭湯 行って さっぱりして挑も
うと思いまして。
でも 寝でねがったから寝でしまって… ヘヘヘ…。
挑もうと思ったって 何? 仕事?そうなの?
違いますよぉ。
だって 今日カレーの日じゃないですかぁ。
ねえ? 元気ないとダメだべえ?
はぁ!? へば 何?
お前は 元気出して何杯も食べるために銭湯さ 行って のぼせて病院に運ばれたって
わげ?
はい。カレーの日なのに 食えませんでした。
残念です。 無念です。
何が無念だ。 冗談でね。
ん? 何で そんなに怒ってんの?
あんたたち どこ行ってたの?澄子さん 捜してたの?
え…?上野駅ですよ。
(愛子)上野駅?
そうですよ。私たち 上野駅中 捜し回って変な男の人に連れでいがれそうになったり…
。
とにかぐ上野駅中 捜し回ってたんですよ。
(愛子)あらぁ。何で 上野駅?
あんたが ばあちゃんに会いたいばあちゃんに会いたいって言ってたからでしょうよ!
工場で 松下さんにクビだとか言われてたしさやんなっちゃったのかと思ったんだよ。
♪~
みんな…。
おれのために?
おれのごど…。
心配してぐれで…。
おれの…。
おれの…。
当たり前でしょうよ。
だって…。
だってぇ…。
♪~
(澄子)うめえ… うめえ…。
(豊子)バナナが 泣ぐか どっちかにしろ。
すいません。
(笑い声)
♪~
このころ バナナは とっても高級で病気の時ぐらいしか食べられなかったんですよね。
(時子)何で 私かなぁ。
まぁ そうなんでないの?この中では。
何で?さぁ?
ねえ 本当に歩けないの?
何か まだ ちょっとフラフラすんだけどよお。
本当に?
時子さんが スターになったらおれ 自慢しますよ。
おぶってもらったごどあんだよおれって。
はいはい。自慢さ なるかな それ。
なっぺした! ねえ?
(優子)なるなる!(幸子)なるね。
あっ!
(おなかが鳴る音)
みんな おなか すいてんでしょ?よし 食べてこうか。
愛子さん おごるよ。(一同)え~!
やった~!
あんた 食べられないでしょ?
病人でしょ? フラフラすんでしょ~?
いやいやいや 何 言ってんですか。全然 元気ですよ~。
は? ふざけんな こら!
(愛子)よし 行こう!はい!
<お父さん… 私たちは決して 迷子なんかじゃない。何か そう思います>
(笑い声)