Ryan Lash/TED
短いスピーチだからといって、その価値を侮ってはならない。
テクノロジー、エンターテイメント、デザインのプレゼンテーションを閲覧できるTED Talksを例にとってみよう。もっとも洞察に満ちたいくつかのスピーチは、視聴するのに10分もかからない。
これらの動画は、日々の生活に忙殺されつつも、視野を広げたいと思っているあなたに最適だ。
以下に、素早く知見を広められるTED Talksをいくつかご紹介しよう。
(注:紹介する動画はすべて日本語字幕で視聴可能です。)
「人を惹きつける話し方」:ジュリアン・トレジャー(Julian Treasure)
ビジネスコンサルタントのジュリアン・トレジャー氏は、陰口、悲観的であること、言い訳の欠点について述べ、誠実かつ公平に話す重要性を強調する。
同氏は、声のピッチ、声量、声色など、話すときに考慮すべき6つの点も説明している。このスピーチは、意識すれば、誰でも言葉の力を活用できることを教えてくれる。
再生時間:9分58秒
人を惹きつける話し方
「ハイブリッド思考の世界が来る」:レイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)
フューチャリスト(未来研究者)で発明家のレイ・カーツワイル氏は、今後20年以内に人間の思考は生物学的な思考プロセスと、非生物学的な思考プロセスが混在したものになると主張する。
同氏によると、脳は今日と同じように機能するが、さらなる大脳新皮質、つまりもっと思考力が必要な場合は、クラウドの人工大脳新皮質に接続することが可能になるという。それもすべて、脳内に直接導入し、クラウドへの接続を(将来的に)可能にしてくれるナノボットのおかげだ。
所要時間:9分52秒
ハイブリッド思考の世界が来る
「僕は色を聴いている」:ニール・ハービソン(Neil Harbisson)
色覚障害を持って生まれたアーティストのニール・ハービソン氏は、2003年に頭蓋底(頭蓋骨の中心部)にアンテナを埋め込んだ。同氏のアンテナの端にあるセンサーは、入ってくる光を識別し、それを音波に変換する。
これによりハービソン氏は、言わばサイボーグという特殊なカテゴリーに分類される人間となる。サイボーグとは、生命体(人間)と機械を融合させたものだ。彼のスピーチを聴けば、同氏の未来的な人生を垣間見ることができるだろう。
再生時間:9分35秒
ニール・ハービソン:「僕は色を聴いている」
「子どもがすべき5つの危険なこと」:ゲーバー・タリー(Gever Tulley)
サンフランシスコに本拠を置く学校「Brightworks」の創業者であるゲーバー・タリー氏は、試行錯誤を通して、子どもに失敗をさせるべきだと信じている。
同氏は、世の中の仕組みを理解するために、火遊びや物を分解することの良さをスピーチの中で賞賛する。
再生時間:9分18秒
ゲーバー・タリー:子どもがすべき5つの危険なこと
「もし次の疫病大流行(アウトブレイク)が来たら? 私たちの準備はまだ出来ていない」:ビル・ゲイツ
億万長者で慈善事業家のゲイツ氏は過去にも数回TED Talksに登壇しているが、これは同氏のもっともネガティブな内容のスピーチだ。ゲイツ氏は、次なる疫病の大流行に警鐘を鳴らしている。空気感染する病原体により、何百万人という人が死亡する可能性があり、過去にはそのような事態も発生した。
ワクチンによる予防接種は、これまで以上に重要だとゲイツ氏は述べる。予防接種の重要性を理解し、家族の安全を守るためには見ておくべきスピーチだ。
再生時間:8分32秒
もし次の疫病大流行(アウトブレイク)が来たら?私たちの準備はまだ出来ていない
笑みの隠れた力:ロン・ガットマン(Ron Gutman)
起業家のロン・ガットマン氏は、笑顔は単なる表情ではないと語る。寿命を延ばし、ポジティブな感情をもたらす可能性があるからだ。
同氏はスピーチの中で、笑顔になる理由とそれがもたらす恩恵について説明したいくつかの研究を紹介する。例えば、ペンシルベニア州立大学の調査では、笑顔でいる方が好感を持たれやすく、またより能力があるように映ることがわかった。
再生時間:7分26秒
ロン・ガットマン: 笑みの隠れた力
「成功のカギは、やり抜く力」:アンジェラ・ダックワース(Angela Duckworth)
ペンシルバニア大学の心理学者、アンジェラ・ダックワース氏は、成功の秘訣はIQと才能ではなく、失敗しても継続する力だという研究を発表している。
同氏はこの特性を「グリット(GRIT)」と呼んでいる。
ウエストポイント陸軍士官学校の学生や、スペリング・ビー(全米スペリング大会)のチャンピオンとのインタビューを含む同氏の研究は、心理学者や企業の「成功」に対する考え方を変えた。
所要時間:6分12秒
アンジェラ・リー・ダックワース 「成功のカギは、やり抜く力」
「エモーショナル・コレクトネス(正しい感情表現)」を実践しよう:サリー・コーン(Sally Kohn)
政治評論家であるサリー・コーン氏は、ポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい言葉遣い)は、人がつながり合うのに正しい方法ではないと述べる。
「説得」は政治から始まるのではなく、感情から始まると同氏は言う。
コーン氏は自発的かつ思いやりのある聴き方をし、「真の変化につながる対話」を始めることを提唱する。
再生時間:5分59秒
「エモーショナル・コレクトネス(正しい感情表現)」を実践しよう
「マルチタスクはやめて、モノタスクを」:パオロ・カルディーニ(Paolo Cardini)
デザイナーであり教師のパオロ・カルディーニ氏はマルチタスクの価値を再考すべきだと訴える。生産性の観点から、(マルチタスクは)過大評価されていると同氏は述べる。そしてカルディーニ氏の主張を裏付ける研究も多い。
代わりに同氏が勧めるのは「モノタスク」だ。1つのことをやり遂げてから、次の作業を開始するというシンプルなもの。人生が少し楽になるかもしれない。
再生時間:2分52秒
パオロ・カルディーニ 「マルチタスクはやめて、モノタスクを」
[原文:9 mind-expanding TED Talks to watch if you only have 10 minutes]
(翻訳:井本慶太郎)