禁煙することで、自律神経失調症に似た禁煙うつ(鬱)に陥ってしまう恐れがある点には以前の記事で触れました。
こうした症状は、ニコチンが脳を作りかえてしまった弊害ですが、脳が正常化するまでの期間(およそ3カ月)、なんとか「自分で自律神経をコントロールする方法はないのか」と思うところです。そこで、自律神経失調症など神経の病に対して効果があるとされる「自律訓練法というのを試してみるのはどうか」というのが本記事での提案です。
自律訓練法を知ろう
「自律訓練法」は、1932年にドイツ人精神科医シュルツがそれまでに知られていた催眠療法を体系化したリラクゼーションメソッドです。催眠と聞くと怪しい感じもしますが、日本でも1950年代に導入され、医療機関でも広く採用されています。心療内科や神経科にお世話になった経験があれば「そんなの、知ってるわ」とおっしゃる方も少なくないでしょう。
各種神経症状の改善はもちろん、疲労回復や能率向上、ストレス緩和にも効果があるとされます。人間の体の状態を一定に保つ機能を「ホメオスタシス」(恒常性、Homeostasis)といいますが、自律訓練法は体と心に働きかけて、神経のバランスを整えて、ホメオスタシスを回復させようというものです。
中身は簡単! 今日からできる
どんなものかと気になるところですが、中身はいたってシンプルで、下の7公式を目を閉じて心の中で唱え感じる、というのを実践するだけです。
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どうでしょうか、拍子抜けするほどシンプルなのでしょう。ですが、この方法、座禅や瞑想にも似て、シンプルだけに正しく修得するのが難しいという面があります。しかも、この7公式とセットで次の「自律訓練10カ条」も知っておく必要があります(内容は諸説ありますがおおむね同じ事を言ってます)
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さて、なんだかナゾの言葉が出てきました。注1の受動的注意集中と注2の消去動作ですね。他の要素は問題ないと思うので、自律訓練法を体得するカナメでもある2語について説明します。
まず、受動的注意集中(受動的集中とも)ですが、意識しないで受身状態でボーッと感じるってやつです。
ブルース・リーの「Don't Think. Feel!」(考えるな、感じろ!)が近いんでしょうか。
公式1や2の「手足が重い」「暖かい」は決して自分で意識して「重くする」「暖かくする」んじゃないんです。「あー、ボクの手と足、重いなー」「ワタシの足、あったかいなー」と「(受身で)感じる」のが大切です。
次に、消去動作ですが、自律訓練法は催眠と深い関わりがあるので、終わったら覚醒が必要です。消去動作とは、この覚醒のための次のような動きです。
- グー、パーを繰り返す
- 大きく背伸びをする
- 首や肩をよく回す
- 大きな声を出す
…などなど。
この受動的注意集中と消去動作を理解して、公式2までの練習を何日か続けると、自律訓練法が理解できてくると思います。私自身は就寝前に実践して(寝る前は消去動作不要)、毎日快適な睡眠が取れています。たばこを吸っていたころからは信じられませんが、心身のバランスがいい状態は、すこぶる気持ちが良いですよー。
いかがでしたでしょうか。自律訓練法については大まかに以上のようになりますが、自律訓練法自体、とても奥が深いので、詳しく知りたい、奥義を究めたいという場合、日本で第一人者とされ、横浜薬科大学教授や筑波大学名誉教授を歴任されている佐々木雄二先生の本を読まれるのがいいと思います。
自律訓練法 新装版―1日10分でリラックスできる | ||||
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本を読んでもらうと分かりますが、自律訓練法は色々応用が効きます。
勉強や仕事はもちろん、セックスも変わる可能性を秘めています。ただ、応用が効きすぎて、ディープな精神世界に傾倒していくこともあるそうなので、あんまりのめり込まないことが大事です。あくまで禁煙による自律神経の乱れを整えるのが目的ですので、公式と10カ条にあるように、短時間で潜行&覚醒していくというのがおすすめです。