三年前の話なんだけど「コンプレックス・エイジ」っていう読み切り漫画が話題になったの覚えてる人いる?あの読み切りなんとなく好きで定期的に読み返すんだけど、あれがきっかけでモアイっていう漫画サイトとちばてつや賞のことを知ったのね。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.moae.jp/comic/complexage/0/1
その流れで賞の特集ページを読んだんだけど、ちばてつやの漫画選考にかける情熱とか哲学を知って、なんかイメージと違う人だなと思った。父親の持ってたのたり松太郎ぐらいしか読んだことなくて人となりは全然知らなかったから、正直もっと大御所ぶった人かと思ってたけど、わりと普通のおじいちゃんだった。賞の選考をするときは、応募者の良いところをなんとかして見い出してあげたいという姿勢が好印象だった。
そういう事もあってモアイっていうサイト自体にもなんとなく好感をもった。モアイには他にも、雑誌で連載されてる作品を試し読みできるページが用意されていて、本当に多種多様な作品がアップされていた。シンプルで読みやすい作りのサイトだったこともあって、そのまま一週間かけて全作品試し読みした。
のりりん、なにかもちがってますか、山賊ダイアリー、軍鶏、神様が嘘をつく。、決してマネしないでください。、ハトのおよめさん、なりひらばし電器商店、ハルロック、おねいも、蜜の島、星のポン子と豆腐屋れい子、ちょいとみやげを、きのう何食べた?、彼女とカメラと彼女の季節、ミリオンジョー、しばたベーカリー、ひらけ駒!、つるつるとザラザラの間、ビブリア古書堂の事件手帖、オールラウンダー廻、鉄風、ブレット・ザ・ウィザード、BUTTER!!!、天の血脈、フラジャイルなどなど、試し読みをきっかけにして漫画を購入したりレンタルする頻度がすごく増えた。基本的に身内の持っていた本を読んできただけの漫画音痴の自分にとっては、世界の幅が広がったようで楽しかった。
ここからが本題なんだけど、その試し読み作品の中に「ハナハダハナヤ」っていう作品があるのね。
http://www.moae.jp/comic/hanahadahanaya
花屋を舞台にした日常系作品なんだけど、内容が面白いだけじゃなくて実生活でもかなり役に立った。作者が現役の花屋さんっていうだけあって、ガチの植物知識が物語に(自然に)盛り込まれていて、例えば花屋に置いてある花はどれが定番でどれが季節限定ものなのか、どういう風に取り扱えば良いのか、それぞれどういった由来や特徴があって和名はなんなのか、定番の花束の作り方とは、みたいな事がちゃんと説明されてるのね。花屋にあんまり行ったことなくて知識とか全然なかった人間からすると、なるほどわかりやすいなーって感じで花を知る取っ掛かりになったし、お祝い事なんかで知人や友人に花を贈る時の役に立ったし、仕事のお客さんからも褒められて嬉しかった。
でもこの作品、二巻で終わってしまってすごく残念だった。たしかにあんまり目立つような作品ではないけど、だからこそもったいないというか、そもそもこういう本は本屋の棚よりも花屋のレジ横に置いたほうが良いと思ったのね。花屋に来る人はだいたい花が好きなわけで、漫画のコマ(と店員さんの推薦文)を載せたポップと一緒にレジ横に置いといた方が、手に取って貰える機会は圧倒的に本屋より増えるって!スーパーのレジ横にガムとかおすすめ品を置いとくのと同じだって!同じか?どっちかというと本屋のレジ横に置いてある一番くじのが近いのか?とにかく、本屋の棚やAmazonの海に埋もれさせとくには惜しい作品なので、ピンときた花屋さんはよろしくお願いします。
自分は本の販売に携わったことのない素人だから、本屋以外で漫画を売ることの大変さとかわかんないけど、本屋以外に置いても良さそうな本ってやっぱりまだまだあるんだと思う。人気作品でも似たようなことは考える。例えばヴィンランド・サガを少年院とか刑務所に置いといたら再犯率すごい下がりそうって思う。刑務所内には「オレ、ヘイワノクニ、ツクル」って宣言する巻までしか置かずに「続きが読みたきゃ娑婆に出ろ」って言えば効果は二倍二倍だと思う。