フランス大統領に当選したエマニュエル・マクロン氏は、失業率が10%に達し、成長ペースも鈍い仏経済の運営を引き継ぐことになる。2015年11月のパリ同時テロを受けて発動された非常事態宣言が続く一方、大統領選の第1回投票では、マクロン氏が擁護する国際貿易秩序に反対する極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン候補などを多くの有権者が支持し、国民世論も大きく分断されている。

Q:マクロン氏の大統領就任はいつか

A:就任日は決まっていないが、現職のオランド大統領の任期が終わる5月14日より前になる。

Q:マクロン氏はそれまで何をするのか

A:首相指名が最初の仕事となり、その人物が組閣に取り掛かる。マクロン氏は既に意中の候補がいると述べており、ほぼ間髪を入れずに発表が行われる可能性もある。同氏は海外任務に当たっている(恐らくは西アフリカのサヘル地方の)フランス軍を短く訪問し、その後ドイツのメルケル首相と会談する見通しだ。

Q:マクロン氏は公約を実現できるか

A:マクロン氏の公約には、新たな技術やエネルギーへの500億ユーロ(約6兆1900億円)の投資、職業訓練の拡大、年金制度の統合などが含まれており、効率化による政府支出削減で600億ユーロを捻出し、財源に充てるとしている。

  これらを実現できるかどうかは、6月の仏国民議会(下院)選の結果に大きく左右される。1981年以降は大統領選で勝利した政党が議会でも多数派を占めてきたが、勝ったのはいずれも2大政党の候補者だった。マクロン氏の政治運動「前進」は1年余り前に始まったばかりであり、議席を獲得した実績もなく、多くの有権者は主にルペン候補に反対という理由でマクロン氏に投票した。

  調査会社エラブの政治調査責任者イブマリー・カン氏は「マクロン氏が統治可能な状態を望むなら、国民議会で過半数の議席が必要になるが、それは確実と言うには程遠い」と指摘した。

Q:マクロン氏の「前進」はどうすれば議会を掌握できるか

A:他の政党と手を組む必要が出てくる可能性が最も高く、それがマクロン氏の政策アジェンダの方向性を大いに左右することになりそうだ。社会党や中道・右派の共和党と連立を組まざるを得なくなれば、政策の違いが目につくのは避けられない。議会選挙に関する世論調査結果はまだほとんどなく、フランス政治の極めて混乱した状態を考えると、多数派の形成が非常に難しい選挙結果となる可能性も十分ある。  

原題:Macron’s Next Challenges Now That He’s Won: QuickTake Q&A(抜粋)

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