「イージス・アショア」導入を本格検討
北朝鮮の弾道ミサイル発射受け、BMD体制強化が必要と判断
稲田朋美防衛相は15日の参院決算委員会で、弾道ミサイル防衛(BMD)に関し、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を陸上に置く新システム「イージス・アショア」の導入を本格検討する考えを示した。稲田氏は「わが国全域を常時防護しうる能力を強化するためにも、将来の弾道ミサイル迎撃態勢の検討を進めていきたい」と語った。北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、BMDの体制強化が必要と判断した。
自衛隊のBMDは日本に飛来するミサイルに対し、イージス艦搭載のSM3が大気圏外(最高高度500キロ)で迎撃し、撃ち漏らした場合、地上配備のパトリオット(PAC3)が地上付近(高度十数キロ)で撃ち落とす2段構え。イージス・アショアが導入されれば高高度での迎撃態勢が強化される。北朝鮮のミサイル発射の警戒に当たるイージス艦の負担を軽減させることも可能となる。
防衛省はイージス・アショアに日米が共同開発中の改良型SM3の使用を想定。通常より高い高度に打ち上げる「ロフテッド軌道」のミサイル迎撃能力の向上も期待される。稲田氏は「新たな迎撃ミサイルなどの導入で迎撃能力は一層向上する」と強調した。
イージス・アショアの導入費は1基700億~800億円の見通しで、イージス艦建造費約1700億円よりは低い。防衛省は2019年度からの次期中期防衛力整備計画(中期防)の策定を前倒しし、イージス・アショアの整備を盛り込みたい考え。今夏までに最終判断する。【木下訓明】