日本郵政 民営化後初の最終赤字に転落

日本郵政 民営化後初の最終赤字に転落
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日本郵政のことし3月期の決算は、おととし買収したオーストラリアの物流企業の業績が悪化し、およそ4000億円の損失を計上したことから、最終損益が289億円の赤字となり、平成19年の民営化後初めて最終赤字に転落しました。
日本郵政が15日に発表したことし3月期のグループ全体の決算によりますと、最終損益は289億円の赤字となりました。

これは、傘下の日本郵便を通じておととし買収したオーストラリアの物流最大手トール・ホールディングスの業績が悪化し、目減りした資産価値を反映した結果、4003億円の損失を計上したことによるものです。

日本郵政が最終赤字になるのは、10年前、平成19年の民営化後初めてとなります。

一方、売り上げにあたる経常収益が13兆3265億円で前の年度を6.5%下回ったほか、経常利益は7952億円と17.7%減って減収減益となりました。

これは、ゆうちょ銀行で日銀のマイナス金利政策の影響で資産運用している国債の利息による収益が減ったことや、かんぽ生命で保険契約が減少したことが主な要因で、日本郵政は本業でも厳しい業績となっています。

長門社長「負の遺産を一掃」

日本郵政の長門正貢社長は15日、都内の本社で開いた記者会見で、「初めての赤字決算は大変残念で、このようなことは繰り返さないようにしたい。負の遺産を一掃して新たにスタートラインに立つ心境だ。人手不足もあり、大変厳しい環境だが、業績が上振れる方向で今年度は実現したい」と述べました。

野村不動産買収 長門社長「M&Aを成長戦略の歯車に」

日本郵政が野村不動産ホールディングスの買収に向けて本格的な検討に入ることが明らかになったことについて、日本郵政の長門社長は15日の決算の記者会見で、「収益力を高めるために、リスクが相応に消化できてわれわれの業務に似通ったところがあり、チャンスがあれば、企業の買収は常に考えている。一般的にM&A=企業の買収を1つの成長戦略の歯車にしていきたいと絶えず考えている。海外も国内も問わず可能性があれば、聖域なくターゲットとして考えたい」と述べました。

そのうえで、今回の決算でおととし買収したオーストラリアの物流最大手の業績悪化で、巨額の損失を出したことに関連し、「4000億円という大きな損失を出した直後だが、それは買収の判断とは全く関係ない」と述べました。