「保育士としてようやく就職できたけれど、職場の雰囲気が悪い。仕事内容や給料も想像していたものと違う!こんなはずじゃなかった……」
そんな経験はありませんか?
就職できたとしても、自分が思い描いていた職場環境と全く違ってしまったら働き続けるのは困難になってしまいますよね。
せっかく保育士として働こうという意欲があるのに、求人選びで失敗してしまうのはとても勿体ないことです。
これまでに転職で失敗した方も、これから保育士への転職を考えているという方も、
今一度求人の探し方を見直してみることが必要になってくるのではないでしょうか?
求人選びで失敗しないためはどうしたらいいのか、今回は3つのポイントをお話していきます。
1.今ある求人情報をきちんと収集すること
好条件の求人に出会える確率は求人情報の収集が多ければ多いほど上がります。
すぐに就職したいからといって焦って目に付いた求人に飛びつくよりも、たくさんの中から時間をかけて選ぶほうが結果的に成功に結び付くことも少なくありません。
①どこで探す?求人情報を集めるには
みなさんの中には保育士の求人情報をどのようにして集めたら良いのか分からない方もいると思います。
養成校出身ならきちんとした就職支援窓口があったり、学校と保育園との強いパイプを利用して在籍中の実習先にそのまま就職したりできるケースがあるのも事実です。
しかし私のように保育士試験で資格を取り、保育実習経験なしで求人を探すといった場合には、まずどこから求人情報を探していくのかが重要になってくるのではないでしょうか?
保育士の求人情報を得るには以下の方法があります。
私が実際に各々利用してみてわかったことをお話しますね。
・ハローワーク
職探しといえばハローワークというイメージを持っている人も多いかもしれません。
私もまずとりあえずハローワークへ行って求人票を見せてもらい、登録もして窓口相談も利用してみました。
ハローワークの利点は、古い求人がそのまま残っているということが絶対にないという点や、国が関わっているので組織がしっかりしているという安心感があることです。
ただ実際に利用してみた感想としては、ハローワークは当然保育士だけの求人を扱っているわけではないので、窓口の方も求人票に書いてあること以上の情報を持っているわけではなく、相談する内容もなんとなく薄くなってしまいます。
何より周りの雰囲気が就職を急かしているようで非常に落ち着きません。
窓口相談をすると雰囲気に押されて勢いで応募してしまいそうになりますので、ハローワークではどんな求人情報があるのかをチェックするに留めておいてくださいね。
ハローワークでは会社が求人を掲載すると国から助成金が出るため、助成金目当ての良くない求人が集まると指摘する声もあります。
・求人サイト
保育士の資格を取る前はインターネットで職探しをするという発想がありませんでしたが、実際利用してみると、保育士で求人情報を探すなら保育士転職求人サイトが断然おすすめです。
保育士の求人情報に特化したサイトなので求人情報の量がとにかく多いですし、何より
保育士の転職に詳しいキャリアコンサルタントが相談に乗ってくれて就職まで完全サポートしてくれますよ。
求人情報の検索も保育士業界に特化していて非常に使いやすいです。
保育士転職用の求人サイトは数が多いので、
- その求人サイトが売りにしていることは何か
- 自分の希望する勤務地の求人情報を取り扱っているかどうか
といった項目をチェックし、自分に合ったサイトか確かめるためにも実際に複数のサイトに登録して利用してみてはどうでしょうか?
・求人情報誌や新聞の求人折り込みチラシ
私の趣味のひとつは、求人情報誌や新聞の求人折り込みチラシを見ることです。
変わった趣味になりますが、保育士の求人情報に限らず「いま自分の住む街ではどのような求人があるのか」に目を通し、新しくオープンするお店をチェックしたり、ユニークな求人があれば働くとどのような感じなのかと想像したりして楽しんでいます。
何年もずっと眺めているので「給料は悪くないのに、この保育園また求人が出ているな」と離職率の高さに気が付くことや、保育園以外にも保育士を募集している場所を発見することも多いです。
認可外から認可になって子育て支援センターも併設し、その上こども園に成長しているようなところは経営者が優秀、というような分析もできるようになりました。
今すぐに就職を考えているのでなければ、長期間求人情報誌を眺め続けて情報収集をしておくのもいいかもしれません。
こうした求人情報誌では、間にハローワークやキャリアコンサルタントを通さずに直接自分から相手の会社担当者に連絡して就職活動をしていけるのもポイントです。
②求人票に掲載されている雇用条件と自分の希望条件が合致するものをピックアップ!
求人情報の集め方がわかってきたところで、求人票で確認するべき項目を次に見ていきます。
もちろん自分の希望条件に合った求人票に狙いを定めて絞っていくことになりますが、求人票ではどのようなことが分かるのでしょうか?
求人票で得られる情報 | |
就業場所 | 通える距離かどうか |
仕事の内容 | 保育する子どもの年齢、保育以外の業務の確認 |
必要な資格 | 経験者のみなのか、保育士資格が必須なのかなど |
雇用形態 | 正社員なのか、契約社員なのか、パートタイムなのか |
賃金 | 基本給、手当の種類、昇給、賞与、加入保険の確認 |
就業時間 | 勤められる時間帯かどうか、時間外労働の有無 |
休日等 | 週休二日制か、完全週休二日制か、有給の有無 |
会社の情報 | 従業員数と内訳、育児休業・介護休業取得実績の有無 |
試用期間 | あるかどうか、あった場合労働条件の変更があるのか |
特記事項 | 制服の有無、採用希望時期など様々 |
さまざまなことが書かれていますが、求人選びが狭まってしまう一番の理由は実は就業場所にあります。
今住む場所から通える職場となるとそれだけでだいぶ求人が絞れてきますし、通える距離に自分の希望条件に合う職場がない場合、条件を妥協するか引っ越すしかありません。
最近では24時間開園の保育園が増えたことや、都心の保育士不足に伴い
- 住み込み
- 寮あり
- 家賃補助
- 住宅手当あり
の保育士求人が増えてきています。
環境を変えることに抵抗がなければ住む場所を問わずに求人情報収集の幅を広げてみるのもひとつの手です。
注意すべきことは、寮費や家賃補助・住宅手当が給料にどう盛り込まれているのかというところで、諸々を含んで給料の金額が記載されていることがあるため、「実際に就職してみたら差し引かれた給料がとても少なかった……」なんてことにもなりかねません。
応募の際には念入りに確認してから申し込むようにしてくださいね。
2.求人票では読み取れない情報を充分下調べする
求人票の情報は雇用条件が羅列されているだけなので、実際の職場の雰囲気を感じ取ることは難しいと思います。
「家から近いし、雇用条件も悪くないから大丈夫!」と飛びついた結果、
求人選びが失敗に終わってしまうことは簡単に想像がつくのではないでしょうか?
自分の子どもを保育園に預ける時に複数の保育園について調べてわかったことなのですが、保育園は園ごとに保育方針が異なっていて雰囲気も全く違います。
特に私立保育園は自治体が運営する公立保育園とは違い、運営団体が様々なので差が大きく出るようです。
自分の勤めようとする保育園が子どもと接する上で何を大切にしているのか、園の保育方針や雰囲気を知っておきたいですよね。
①社会福祉法人が経営母体なら、保育園の懐事情が丸見えに!
保育園が何にどのくらいのお金を割いているのか気になりませんか?
私の家庭の話になりますが、子育てをしていて「子どもの将来のために習い事をたくさんさせたい」と思っても、全てを叶えるのは家計の面で難しいのが現状です。
主婦として家庭の懐事情を考え、子どものために何にどれだけお金をかけるか優先順位をつけ、長い目で見て家計が破綻しないように日々やり繰りしています。
これは保育園でも同じことで、園として大切にしているところには優先的にお金をかけていると見るのが自然ではないでしょうか?
どこにお金をかけるかの違いが結果的に園全体の雰囲気にも現れてくると言っても過言ではありません。
保育士の立場で考えてみると、運営費に対しての人件費が手厚ければ、大切にしてくれているのだと嬉しくなって働くモチベーションも上がりますよね。
・財務諸表がチェックできるところも
実は社会福祉法人が設置主体の保育園の場合、
社会福祉法人のホームページで「財務諸表」を見ることができます。
家庭でいうと家計簿のようなもので、運営費の収支や内訳が記されており、これを見ると保育園の運営で何にどれだけのお金を割いたかがわかるのです。
保育園の設置主体は、私立の認可保育園なら「社会福祉法人」の数が圧倒的に多く87%を占めているので(厚生労働省:保育所の設置主体別認可状況等についてより算出)気になる保育園の経営母体が社会福祉法人なら是非チェックしてみてください。
目安としては標準的な保育園の経費の約80%が人件費なので、財務諸表から運営費収入における人件費支出の割合を計算してみて70%を下回っている場合は雇用環境が良くないということになります。
家計と一緒で保育園の運営全般に金銭的余裕があると安心ですし、あわせて経営難に陥っていないかどうか収支バランスを見ておくのもポイントです。
②ホームページをみると、保育園の雰囲気が読み取れる
保育園のホームページを見ると、
- 園の方針
- 園行事の内容
- 外観
- 保育室の様子
などが綺麗にまとめられているので大体の雰囲気がよくわかります。
私も子どもを保育園に入れるかどうか迷った際には、まずはどんな保育園があるのかと、たくさんのホームページを隅から隅まで眺めたものです。
保護者としては他よりもサービスの良い保育園に目が行きがちになりますが、保育士として働くとなると「このサービスは、誰が提供しているのだろう?」と気になりますよね。
・過剰なサービスを謳う保育園は注意!
例えば、温かみのある手作りの玩具で保育することがアピールポイントとして書かれている保育園に就職したとします。
保護者目線では「手作りの玩具は素敵だわ。保育活動に熱心な保育園なのね」と好感度が高くなりますが、その手作り玩具が実は保育士のサービス残業によって作られていたとしたらどう思いますか?
これは、今一緒の保育園で働いている保育士が実際に経験したお話なのです。
「前の職場はサービス残業で玩具を作るのが当然という雰囲気があって、辛くなって辞めてしまった」と聞いた時には、そんな保育園もあるのだなと衝撃を受けました。
子どもたちの笑顔のためにと言われてしまうと、保育の現場ではサービス残業のような仕事が断り辛い雰囲気になることが多くあります。
過剰なサービスの提供がホームページから読み取れる保育園には注意してください。
・保育園の特色や行事を確認しておこう!
私の勤めている保育園では食育を園の特色にしており、春になると毎年畑作りを行っています。
夏には夏野菜の収穫、秋にはお芋ほりをして楽しみ、収穫したものは子どもと一緒に簡単な調理をして給食やおやつにして食べるのが恒例です。
畑作りに加えて毎日の水やり・調理の準備など大変なこともありますが、私はこの取り組みにとても好感を持っているので苦にはなりません。
これはほんの一例ですが、園の特色によって行事の設定も様々ですので、自分が就職して働く上で負担にならない程度かどうか、行事の量なども含めてチェックしておくと就職してからも戸惑うことがなくなりますよ。
3.職場を自分の目で確認することが大切
広告で「これは良い品物だ!買おう!」と思ったものの、いざお店に出向いて品物を見てみると思っていたものと違って買うのをやめたというような経験はみなさんもあるのではないでしょうか?
実は求人選びでも同じようなことがあります。
百聞は一見に如かずという言葉にもあるように、一度は必ず足を運んで自分の目で職場を確認し、本当に自分に合っているのかどうか考えてみるのが求人選びで失敗しないコツです。
①実際に目で見て確認するといい3つの見どころ
私が実際に保育園に足を運んでチェックしたことは、
この3つが挙げられます。
特に施設設備や掃除が行き届いているかどうかを見ておくことは重要です。
施設自体が古くても掃除が行き届き、遊具の配置など環境設備がしっかりしているところでは、保育園全体に余裕や安心感があり明るい気分になります。
施設が新しくても日々の慌ただしさが滲むように埃だらけだったり、遊具の配置が乱雑だったりするところでは、勤めている保育士の表情もどこか冴えないことが多かった印象です。
・保育士の対応に余裕の見られない園は注意
自分の子どもを複数の保育園に預けた経験から気がついたことですが、
大人数の保育園では子どもたちの遊ぶ様子を見れば保育園の余裕の有無がよくわかります。
人数が多くても環境構成がしっかりした保育室であれば、子どもたちは明るくのびのびと遊び、トラブルが起きても保育士がすぐに気が付き、ちゃんと対応できている様子が見られるので問題はありません。
一方で人数が多くてあちこちでトラブルが起き、泣いている子どもや困っている様子の子どもに保育士が気付くことができていない場合は、環境構成のまずさ・保育士不足を読み取ることができます。
自分や親戚の子どもを安心して預けられる環境かどうかという視点を持つと見るべきポイントがわかりやすいです。
3つの見どころをしっかりチェックして、本当に自分が働きたい自分に合った職場なのか確認しておくと安心ですね。
②採用面接では最終確認を
採用面接では面接官に自己アピールするとともに、今まで自分が収集してきた情報に間違いはないかどうかを確認していくことになります。
特に保育園の考え方や方針などは改めて面接官から話を聞くことで認識のずれがなくなりますし、自分が事前に調べていた以上に好感が持てることも珍しくありません。
実際に私が今勤めている保育園の採用面接は、園長先生が自ら保育園の中を案内しながら園で大事にしていることを具体的なエピソードを交えてお話ししてくれたり、職員ひとりひとりを紹介してもらえたりと非常に印象が良かったです。
・契約内容の確認は念入りに!
面接の後はうまくいけばいよいよ採用ということになりますが、
求人票の内容がそのまま雇用契約書になるわけではないので油断しないようにしてください。
採用時には必ず書面によって契約内容を再度確認することになります。
その段階になって「話が違う!」とならないためにも、前もってこれだけは譲れないという項目を採用面接であらかじめ聞いておいた方が良いです。
給料の話など聞きづらいことは、面接の終わりの方で念のためにという形で確認しておくといいかもしれません。
お互いにとっていい結果になるように、採用面接の時間は求人選びの最終段階として最も充実したものになると嬉しいですね。
焦らず丁寧に情報収集をすることが求人選び成功への鍵!
求人選びではきちんとした情報収集を行うことが大切だということがわかったと思います。
求人情報を収集するという作業は、その職場が自分の思い描く理想的な保育を実現できる環境かどうかを見極めていくことに繋がっています。
思い返してみると、私が保育士という職業に興味を持ったのは、自分の子どもをいろいろな保育園や子育て支援センター・児童館に連れていく中で素敵な保育士さんたちとの出会いがあったからです。
「こんなふうに子どもたちと接しながら、生き生きと働いてみたいなあ……」と思ったことが、保育士を目指したきっかけでした。
できるだけ多くの情報を得ることが第一ではありますが、もし求人選びに行き詰ってしまった時には初心に戻り、自分の理想とする保育士の姿が実現できそうな職場を考えてみるとスムーズにいきますよ。
ぜひ求人選びを成功させて、長く働き続けられるような一生ものの職場に出会いましょう。