肝臓がんの発症を予防するには?

更新日:2016/12/16

肝臓がんのよくある疑問

肝臓がんは、B型・C型肝炎ウイルスの感染が主な原因といわれています。肝炎ウイルスに感染してしまったら、肝臓がんの発症を防ぐことはできないのでしょうか? ここでは、ドクター監修のもと、肝臓がんの発症予防について解説します。

肝臓がんは、B型・C型肝炎ウイルスの持続感染(6か月以上感染が続くこと)や慢性的な肝臓病による肝障害が主な原因で発症します。現在はさまざまな対策が講じられ、肝炎ウイルスの新規感染は大幅に減少してきていますが、すでに感染している場合、発がんを防ぐ方法はあるのでしょうか? ここでは、肝炎ウイルスによる慢性肝炎、肝硬変に対する発がん予防のための治療を中心に、肝臓がんの予防法について解説します。

C型肝炎からの発がんを防ぐには?

C型肝炎ウイルスに感染した場合、ウイルスが自然に体内から消える割合は低く、60~80%という高い確率で慢性肝炎に移行するといわれています。経過は緩やかですが、20~30年で約10~20%の人が肝硬変となり、C型肝硬変からの発がん率は1年間で5~7%と推定されています。

C型慢性肝炎・肝硬変からの肝臓がんの発症を予防するには、インターフェロンを中心としたウイルス駆除療法が有用だといわれています。インターフェロンとは、ウイルスが感染している細胞に作用してウイルスの増殖を抑制したり、体の免疫力を高めてウイルスの増殖を抑制したりする作用を持つ、抗ウイルス薬のことです。

これまで、C型肝炎に対しては、ペグインターフェロンという作用時間の長いインターフェロンとリバビリンという内服薬とを併用する治療法が中心でした。近年、C型肝炎ウイルスの増殖に関わるタンパク質の働きを阻害する内服薬が登場し、インターフェロンを使わずに内服薬のみを併用することで治療することも可能になってきています。

また、肝臓の炎症を抑える目的で、グリチルリチン製剤などの投与による肝庇護(かんひご)療法も肝臓がんの発症予防に有効だとされています。

B型肝炎からの発がんを防ぐには?

成人で初めてB型肝炎ウイルスに感染した場合、持続感染することはまれで、ほとんどは短期間でウイルスが体内から排除されるといわれています。持続感染に至った場合でも、多くの患者さんは肝臓の炎症が治まった無症候性キャリアと呼ばれる状態になります。しかし、10~15%の患者さんは慢性肝炎へと移行するとされており、肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性があるため、積極的な治療が必要です。

現在の治療法ではB型肝炎ウイルスを完全に駆除することは難しいため、治療の目的はB型肝炎ウイルスの増殖を抑制し、肝臓の炎症を沈静化させることにあります。B型慢性肝炎・肝硬変からの肝臓がんの発症予防には、核酸アナログ製剤と呼ばれる内服薬やインターフェロンによる抗ウイルス療法が有効であるとされています。

コーヒーには肝臓がんの予防効果がある!?

肝炎ウイルスの感染のほか、多量のアルコール摂取や喫煙、糖尿病、肥満などが肝臓がんの発症リスクを高めるといわれており、肝臓がんの予防のためには生活習慣の改善も重要です。

これまでに行われたさまざまな研究から、コーヒーを飲むことが肝臓がんの発症や死亡リスクを減少させる可能性があることが明らかになっています。日本で行われた大規模な研究の結果、コーヒーを毎日1杯以上飲んでいる人は、ほとんど飲まない人に比べ、肝臓がんの死亡リスクが50%低下することがわかっています。C型肝炎ウイルスに感染している人でも同様の効果が認められ、毎日1杯以上コーヒーを飲む人では、飲まない人と比べて肝臓がんの死亡リスクが61%低下するという結果が得られました。

コーヒーが肝臓がんの発症を予防するメカニズムはわかっていませんが、コーヒーを飲むことが肝臓がんの予防につながる可能性はあると言えそうです。

公式アプリ

fem.
fem.

毎日1つ。ドクター監修の簡単ヘルスケア・ビューティー習慣!