がん免疫薬として期待されるオプジーボとは
更新日:2017/05/10
薬の種類
最近、インターネットやテレビなどでがんを患い治療をしていることを公表している人を多くみかけます。今回は、そのようながん治療の話題の際によく名前が挙がるオプジーボについて、ドクター監修の記事でご紹介します。※本記事は、内容指摘を受けており、確認中となります※
この記事の監修ドクター
がんの治療にはさまざまな方法があります。その中でも、抗がん剤などの薬を使用した治療は広く知られており、たくさんの種類があります。そのような薬のひとつ、オプジーボとはどのようなものか見てみましょう。
オプジーボとは
がん治療には、たくさんの薬が使用されます。その中でもオプジーボは、免疫機能に働きかける薬といわれています。免疫機能が通常の状態の場合、T細胞と呼ばれる細胞が、がん細胞を敵だと判断し攻撃して退治します。しかし、がん細胞は退治されないように、PD-L1と呼ばれる物質と結合して、がん細胞の攻撃を抑制します。オプジーボは、がん細胞とPD-L1の結合を阻止し、攻撃力にブレーキがかからないようにする薬剤です。
がん治療のひとつ免疫療法とは
オプジーボは、免疫機能に働きかける薬です。がん治療には、放射線療法や化学療法などの治療法がありますが、これらは、がん以外の正常な部分の細胞も攻撃するので、治療を受ける人は副作用に悩まされることがあります。しかし、免疫療法は、がんだけでなく、外から侵入したウイルスや病原菌など身体の敵とみなされるものが体内に入ると、その敵のみを攻撃して戦う免疫機能を高めるもので、放射線療法や化学療法よりは身体への負担が少ない療法といわれています。
どのような人が治療を受けられるの?
オプジーボは、免疫機能に働きかけるため、がん治療の中でも治療者への身体の負担も少なく、効果も高い可能性がありますが、すべてのがん患者が受けられる治療ではありません。
治療を受けられる人・受けられない人とは
オプジーボの治療が受けられるのは、手術による治療が難しい人が選ばれます。また、過去にアレルギー反応を起こしたことがない人も治療を受けられる対象となります。このほかに、間質性肺疾患や自己免疫疾患などの病気がある人は、治療の際に十分な注意が必要です。
- 国内の保険適応病名は、下記になります。
- 根治切除不能な悪性黒色腫
- 切除不能な進行。再発の非小細胞肺がん
- 根治切除不能。転移性の腎細胞がん
- 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
オプジーボの副作用について
オプジーボは免疫に働きかけ、がん治療にとても効果ある治療法です。しかし、薬には副作用があります。オプジーボにもいくつかの症状が副作用として発症することがあります。
間質性肺疾患
間質性肺疾患とは、肺にある肺胞部分が炎症を起こしてしまう病気で、この炎症が進んでしまうと、肺胞が硬くなりしっかり肺に空気が取り込まれなくなってしまいます。この疾患の初期症状として、息切れや発熱、痰がらみがない咳などが特徴です。
重症筋無力症や筋炎
重症筋無力症や筋炎とは、筋肉部分への情報伝達がうまくいかなかったり、筋肉が炎症起こしてしまったりします。この他に足が疲れやすくなったり、息がしにくくなったりすることもあります。また、腕に力が入りにくくなることもあるのが特徴です。
大腸炎や重度の下痢
オプジーボの治療をしていると、大腸炎や下痢の症状を感じることもあります。これらの症状と一緒に、腹痛や血便、発熱をともなうこともあるようです。また、おなか部分の圧迫痛や吐き気、嘔吐なども見られることが特徴です。
1型糖尿病(劇症1型も含む)
オプジーボの治療を行っていると、1型糖尿病を発症しインスリン注射による治療が必要になる場合もあります。そのため、定期的に血糖値検査が必要なようです。また、のどの渇きなどを感じる場合もあるので注意しましょう。
肝機能障害や肝炎
この治療を受けていると、血液中の肝機能に関する数値が高くなることがあるようです。この場合、皮膚や目の白目部分が黄色くなる、疲れやすくなるなどの症状が見られます。
甲状腺機能障害
オプジーボの治療は、甲状腺中毒症や、甲状腺機能低下症などの甲状腺に関する病気を発症する場合があります。この場合、身体が疲れる、体重増加、便秘などの特徴も見られます。
神経障害
手足のしびれや痛みなど神経に炎症が起こる場合があります。そのほかに、運動のまひ感覚や手足の痛みもあるのが特徴です。
腎障害や副腎障害
オプジーボは、腎炎や副腎障害を発症する場合があり、貧血や発熱、尿量が減ったり、血尿が見られたりすることもあるようです。また、副腎機能が低下すると、血糖値が低くなり意識が薄れたり、食欲不振になったりすることもあります。
脳炎
脳などに炎症が起こる病気で、意識障害や精神障害が起こるケースもあります。
そのほか
重度の皮膚障害や静脈血栓塞栓症などの発症がある場合もあります。皮膚障害は、水ぶくれや赤い斑点ができたり、発熱する場合があります。また、静脈血栓塞栓症は、血のかたまりが血管をふさいでしまう可能性があります。これらの副作用が見られる可能性があるので、治療を受ける際はご注意ください。
使用時の注意点
オプジーボの治療を行う場合、治療中の身体の症状として、痰がでない乾いた咳や、呼吸困難、息切れ、発熱、間質性肺炎などの症状がみられる可能性があるので、このような症状が出た場合は、すみやかに医師の診察を受けるようにしましょう。
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