ウエスタンデジタル(WD)は合弁相手である東芝のメモリー事業売却に関して、売却先に関して発言権を得るために法的措置を取る。WDは両社の合意事項での仲裁条項を発動するが、これにより東芝が迅速な完了を必要としている事業売却に遅れが生じる可能性がある。

  メモリー事業売却を目指す東芝は同事業の持ち分を新会社の東芝メモリに移転した。WDはこの移転が事前に同社の同意を得ずに行われ、合弁契約に違反したと主張し、国際商業会議所(ICC、本部パリ)の国際仲裁裁判所に仲裁申立書を提出した。

  米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の巨額損失を受け、会社存続のため手元資金調達を目指す東芝とWDは対立を深めている。WDの競争相手が東芝側の持ち分を取得した場合、メモリー合弁会社はリスクにさらされる。WD幹部は東芝の状況を「絶望的」だと指摘する。

  WDのミリガン最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「東芝の困難な状況に対処する最善の解決策を提供するのは当社であり、日本での技術革新の財産を前進させるのに最適のパートナーでもあるとわれわれは確信している」と述べ、「合弁会社の持ち分を関連会社に移し、その関連会社を売却するという東芝の試みは明らかに東芝とサンディスクの同意に反する」と指摘した。WDは2016年にサンディスクを買収した。

  東芝はこの売却計画に介入しないようWDに警告し、法的措置を講じる可能性があると表明していた。

  WDによれば、仲裁はサンフランシスコで行われる。仲裁に要する期間は最長1年の見通し。仲裁委員会が決定を下す前に東芝メモリが売却された場合は問題は法廷に持ち込まれる可能性がある。

原題:Western Digital Seeks Right to Block Toshiba Deal in Arbitration(抜粋)

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