映画『スプリット』ネタバレ感想/評価
あらすじ:高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)の誕生パーティーに招待される。帰りは、彼女とクレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)をクレアが車で送ってくれるが、途中で見ず知らずの男性(ジェームズ・マカヴォイ)が車に乗り込んでくる。彼に拉致された三人は、密室で目を覚まし……。(シネマトゥデイ)
製作国:アメリカ 上映時間:126分 製作年:2017年
監督・製作・脚本:M・ナイト・シャマラン
キャスト:ジェームズ・マカヴォイ / アニヤ・テイラー=ジョイ / ベティ・バックリー / ジェシカ・スーラ / ヘイリー・ルー・リチャードソン 等
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どうも、アバウト男です!
今回扱うのは【シックスセンス】【サイン】【アンブレイカブル】などで知られるM・ナイト・シャマラン監督最新作【スプリット】です。単語の意味は『割く』とか『分裂させる』って意味ですね。
期待してなかった1つ前の作品【ヴィジット】が意外にもかなり面白くて、その流れの上がった期待値で観てきました!今回の売りである『ラストのサプライズ』の内容はネタバレしてませんが、中身には踏み込んでいます。
率直な感想は、
そこそこ楽しめました。
あらすじや予告から伝わって来る『3人の女子高生を誘拐したのは23の人格を持つ多重人格者だった』という、ちょっと変わり種の『監禁&脱出スリラー』の設定から想像する、気味の悪さや何を企んで・何を仕出かすか分からない緊張感から来るスリリングな面白みはちゃんと担保されていて、終始飽きずに観ることができました。
それに加え『多重人格=解離性同一障害』の漠然としたイメージを逆手に取ったような多重人格者ケビンの見せ方や、ラストの予想だにしないB級な展開に、『鬼才』と言われるシャマラン目の付けどころと独特な面白さが味わえる作品となっていました。
シンプルな脚本
監禁された少女の1人で主人公の少女ケイシーが場慣れしているように落ち着き払っている設定が良かったですね。パニクって無謀な脱出方を提案して来る他の2人と違って、幼少期に父から習った『狩猟』の原則を思い出し、監禁部屋から脱出するためにケイシーは冷静に勝機を探る。『監禁』を快く思ってない人格もいて、その人格を利用して部屋からの脱出を試みるのはゲーム性があって面白かった。
で、ケイシーの過去が単なる回想ではなく、後々ケビンとリンクし物語が収束するの流れも、それなりに筋が通っていて頷けました。『多重人格』って設定の強さがあるので、それ以外はあんまり複雑な事はせず脚本としてはシンプルで良かったと思います。登場人物も最小限に絞られてたし。
あと何と言っても、ケイシーを演じたアニャ・テイラー・ジョイちゃんの可愛いこと!あの子どこで見つけてきた!?若干離れがちの目と胸もそれなりにあって、どこか人を惹きつけるオーラを纏ってましたね。これを機に躍進するんじゃないでしょうか。マカヴォイのキャラが濃過ぎるので、程良く彼とのバランスが取れていたように思えます。
多重人格の扱い方
ジェームズ・マカヴォイが、ちょっとした表情の変化・しゃべり方のニュアンス・仕草でそれぞれの人格を演じ分ける変幻ぶりは秀逸だし、実際それに尽きる作品ではあるんだけど、本作は多重人格の扱い方が興味深かったですね。
例えば、他の人格が別の人格のふりをしたり、数ある人格の中でも仲間外れにされ疎外感を感じている人格がいたりとなかなか新鮮でした。
多重人格の漠然としたイメージたと、外側は入れ物として中身の人格だけがコロコロと変わるもんだと思ってたんだけど、物語内で言われる多重人格とは『人格によって思考能力や肉体までも変わって来る』ということ。
それと「解離性同一障害者って私たちより劣っていると思う? もしかしたら私らより優れているのかもよ」みたいなセリフが出て来るんだけど、それがまさしく今回の多重人格の打ち出し方で、24番目の恐ろしい人格『ビースト』へと結びつく。
ビーストの様相は妻夫木聡主演映画の【スマグラー】で「なんか観たことあるなぁ」とは思ったけど、ハブられた人格達が他の人格や、のうのうとバカみたいな暮らしている人間どもに『最恐の人格』を形成して『自身の特別な存在価値』を証明しようとする流れは面白かったですね。
今回のB級路線もそれはそれで面白んだけど、個人的に『誘拐犯は多重人格者』って設定なら、もう少し「そもそもコイツは多重人格者のなのか?」「実は1人じゃなく三つ子でそれぞれが演じ分けてたりするのでは?」みたいな『多重人格』って設定の根本を揺るがすような疑念を終始チラつかせたり、
人格が別の人格のフリをするであれば「今コイツは誰なのか?」って『人格』という側から見るだけじゃ分かりにくい不安定な恐怖でもっと観客を混乱させるようなサスペンスタッチな展開も見てみたかったな。それじゃシャマランぽくないだろうけど。。
まとめ
評価:★★★ 普通に楽しめました。
比べるなら前作の【ヴィジット】の方が断然好きかな。でも【ヴィジット】からの【スプリット】の流れはすごく良いですね!一時期僕もシャマランの監督作を観なくなるほど、彼の作品に興味薄れた時期もあるので『ちょうど良いB級スリラーで楽しませてくれる監督』として、これからも追って行こうと思います!
あと、オープニングのスタッフやキャストの文字の出し方と、背景にマルチで同じものが小さく並んで映されるエンドロールの見せ方とかカッコよかったな。【ヴィジット】でも思ったけど、そういうこだわりは好感が持てる。
[ 予告編 ]
『シャマラン史上最も衝撃的なラスト』みたいな謳い文句があったけど、どっちのことなんだろう?実は物語の締めとエンドール後にあるサプライズがあるんだけどそっちの方かな?
ちょっとしたネタバレ騒動が起こってるみたいだけど、別にそこまで衝撃的でもないっていうか、あの人の登場も半分くらいしか分かって無かったし、肝心の告知は半笑いムードだったし。
【キングコング髑髏島の巨神】の後の【キングコングVSゴジラ】の情報をバラすなや!って言ってるるようなもんで、あんまり気にしなくて良いと思います。にしても楽しみです!
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