14

※【加筆 2012年9月27日午前1時55分】津田さんがこのエントリへの反論を書いていました。それを読んで、僕の考えをUst生中継で発表しました。そのアーカイブはこちら

※【訂正 2012年9月26日18時50分】ブログに頂いた津田大介さんのコメントをうけて、一部訂正いたしました。津田さんが知っている事実関係が述べられていますので、お読みください。

プロメテウスの罠が、環境省による「がれきの広域処理」PRの裏側を報じています。

先日は、環境省の仕事を受けた博報堂が、同省の手足となって、メディアに圧力をかけた詳細が報じられました。

▽参考:プロメテウスの罠が暴く「がれき広域処理」世論の作り方 電通・博報堂のメディアコントロール

今回は、多くのネットユーザーから信頼を寄せられている、ジャーナリスト津田大介さんによる「がれき広域処理PR記事」の裏側です。

津田大介さんの記事がどれくらいネット上で評判になったのかを踏まえて、プロメテウスの罠を読んでいきます。

プロメテウスの罠 2

津田大介さんによる「がれき広域処理PR記事」はネットでどれくらい話題になったのか

プロメテウスの罠の記事を読んでいく前に、津田大介氏が「はてな」に書いたがれき広域処理PR記事についてざっくりと整理しておきます。

▼津田大介さんの著書:動員の革命 - ソーシャルメディアは何を変えたのか (中公新書ラクレ)

津田さんの記事は「前編」「後編」にわかれており、

  • 前編・・・環境省の言い分がメインの記事
  • 後編・・・環境省への批判的な記事

となっています。この2つの記事は、間を2ヶ月程度あけて発表されました(経緯は後述)。

まずは「前編」。

▽参考:2012年3月19日:環境省が推進するがれき広域処理の意味――前編:大量のがれき - はてなブックマークニュース

36

これがどれくらい話題になったのか。

46

2012年9月23日午後8時7分現在の数字です。

「後編」は以下のとおり。

▽参考:2012年6月8日:環境省が推進するがれき広域処理の意味――後編:放射性物質拡散の実際 - はてなブックマークニュース

45

この記事がどれくらい話題になったのか。

43

前編と後編のソーシャルメディア上での評判を数字で比較すると。

  • ツイート・・・2416(前編)→701(後編)
  • いいね!・・・1476(前編)→155(後編)
  • Google+1・・・79(前編)→27(後編)
  • はてなブックマーク・・・824(前編)→340(後編)

ということになります。

記事内容の違いも数値に反映されるでしょうけれども、単純に数値だけを比較すると、環境省に批判的な「後編」よりも、環境省の考え方を十分に伝えた「前編」のほうが、ずっと多くの人に共有されたと言えるのではないかと僕は思います。

つまり、

  • 結果的に、環境省の意向が反映された

ということになります。

=====【追記:2012年9月23日午後10時6分】

「PR記事」の説明について、FBにて、京谷六二さんから頂いた意見を加筆しておきます。ざっくりいうと京谷さんは出版業界の内部事情に明るい方です。

ホイ拡散!

『京谷 六二 PR記事と書くからわかりにくくなるのだと思うのです。
あれは広告業界的にはただのタイアップ広告。環境省が博報堂を通してはてなに発注した広告なんです。
したがって、はてなは広告掲載料を環境省からもらっている。その時におそらく、取材費、津田氏への原稿料は別途制作費ということで計上されているはずです。
そして、広告である以上、クライアントが口を出すのは当たり前のこと。一度、仕事を受けて、顎足枕で取材をしたからには、クライアントの指示に従わなくてはいけません。
ただ、そこらへんのニュアンスをはてなが津田氏にきちんと伝えていたのかは問題です。また、津田氏がタイアップ広告というものについて、無知、うぶだった可能性はあります。
私は環境省がこういうことにカネを使うということについては絶対に反対ですが、広告という構図に限って見れば、今回はクライアント、代理店よりも、むしろはてな、津田氏側に問題があったと考えています。
あと、今回のタイアップ広告は随意契約なのではないかと疑ってます(もともと博報堂は環境省に強く、業界的には30億が電通に落ちたのは意外と受け取る人も多いようです)。』

このように、京谷さんが推測を交えて分析しています。

▼京谷六二さんのブログ:誰も通らない裏道

▼京谷六二さんのツイッター:@kappaman

とりいそぎ。

=====【追記ここまで】

では、プロメテウスの罠を読んで分析していきます。

プロメテウスの罠の記事を読む

朝日新聞デジタル:〈プロメテウスの罠〉「PR記事なのに」

『■がれきの行方:16

ジャーナリストの津田大介は、今年2月16日、博報堂から下請けしたネットサービス会社「はてな」から、広域処理のPR記事をネットに書くよう依頼された。』

津田大介さんに仕事が降りてくるまでの経緯は以下の様なものではないか、と推測できますね。

  • 環境省 → 博報堂 → ネットサービス会社「はてな」 → 津田大介

直接には「はてな」からの仕事の依頼という形ですが、どのように博報堂や環境省が絡んでくるのでしょうか。

『 依頼の主な内容はこうだった。

 「がれき処理の現場や環境省の担当職員を取材する」

 「PR記事であると明記する」

 「うそは書かない」

 「取材経費と原稿料は、はてな側が支払う」』

博報堂から下請けした「はてな」が、中間マージンを抜いて、津田大介さんに仕事を投げたというふうに推測できます。

『 環境省への批判を交えてもいいといわれ、津田は引き受けた。ツイートについて依頼はなかった。

 広域処理問題には関心があった。批判もできるというのがいい。取材したうえで批判もきちんとしよう。』

津田大介さんが仕事を引き受けた際の心境や動機についての説明の箇所ですね。

『環境省への批判を交えてもいい』

といったのは、津田さんに直接仕事を依頼した「はてな」側でしょうか。

記事を読んでいくとわかっていきますが、その後結局「はてな」が津田さんを守りきれなくなっていく様子が読み取れます。

『 宮城県の女川町や仙台市のがれき処理の現状を見に行った。博報堂が報道機関向けに用意した見学会だ。女川町のがれきを引き受けている東京都内の焼却場も取材した。

 依頼内容にはなかったが、津田はいつものようにツイッターでつぶやいた。住民の反応を期待したのだ。』

これは、仕事を受けた後に津田さんが行なった振る舞いを説明するパートですね。

『 PR記事は前編と後編の2本寄稿することにした。

 前編では、がれきの量が膨大なことを説明し、「広域処理が必要だ」とする環境省の言い分を書く。後編には、放射性物質の拡散への懸念など環境省に対する批判意見を盛り込むことにした。』

2本寄稿することを判断したのは津田さんだというふうに読み取れますがどうなのでしょうか。

  • 前編・・・瓦礫の量が膨大であることを説明し、「広域処理が必要」だという環境省の言い分
  • 後編・・・放射性物質の拡散の懸念など、環境省に対する批判意見を盛り込む

このようなプランで、津田さんは記事を書こうと決めていたということになります。

だがこの津田さんの思惑は、環境省にうまく利用されたという結果になったのではないか、と僕は思っています。

それについては以下。

『 前編は環境省のチェックをすんなりと通り、3月29日に掲載された。

だが、後編は簡単にはいかなかった。4月16日に提出された原稿は2カ月近く掲載が延びた。環境省から「これでは掲載を認めない」とクレームがついたためだ。』

  • 前編・・・3月29日
  • 後編・・・4月16日に提出したが2ヶ月近く掲載が伸びた

本来ならば、津田さんは、前編と後編を間を空けずに発表する思惑だったようですね。だけども、環境省からのクレームでストップがかかり、後編の批判記事の掲載が2ヶ月もあとになったわけです。

前編の内容は、環境省の言い分を盛り込んだものなわけで。つまりは広域がれき処理が必要であるという趣旨のもの。これがはてなブックマークでヒットし、大変多くのアクセスを集めていたわけで。そして同時に後編への注目も強くなっていたわけで。

だけども、批判的な後編の記事は、環境省のストップですぐに掲載できなかったわけで。

結果的には、環境省の言い分だけが強い注目を集め、広域がれき処理マンセーという世論を形作っていく要因の1つになったのではないか、と見ることができます。

前編の直後に、批判的な後編が発表されれば、環境省にとって都合が悪かったわけですからねえ。

環境省にとっては、前編だけに注目を浴びさせることはPRに成功した、というわけです。

さて、批判的な後編への環境省のクレームはどんなものだったのでしょうか。

『 問題になったのは、東京大教授の児玉龍彦(こだまたつひこ)(59)へのインタビューだった。児玉は内科医で、学内の病院や研究施設での放射線防護や除染を担当する機関の長もつとめている。

 インタビューで、児玉は環境省の「重さ1キロあたり8千ベクレル以下のがれき焼却灰なら埋め立て可能」とする基準とその決め方を「これがすべての間違いの始まり」と話した。

 児玉は、汚染がれきを燃やす焼却炉では24時間の放射線量の監視が必要だが、その態勢もとられていないと指摘。「環境省がやっているのはその場しのぎ」と批判した。』

「後編」には、社会的影響力のある児玉龍彦氏による、広域がれき処理批判が盛り込まれていたのですね。これは環境省にとっては困った内容ですから握りつぶせるものなら握りつぶしたいと思って当然でしょう。

で結果として、「後編」の掲載を2ヶ月遅らせることに成功したわけで。後に触れますが、内容の修正を求めることとは別の次元で、2ヶ月掲載を遅らせることによって、環境省と博報堂はメディアコントロールに成功したというわけです。

『 環境省廃棄物・リサイクル対策部は、津田と「はてな」の担当者に記事の書き直しを求めた。環境省の担当職員はつぶやいた。「PR記事なのに、なんでこんなことを載せなければならないのか」(吉田啓)』

ここで、環境省という権力が、「はてな」と津田大介さんに介入していったというわけですね。

朝日新聞デジタル:〈プロメテウスの罠〉「大幅修正が必要だ」

『■がれきの行方:17

 ジャーナリストの津田大介が、博報堂を通じて依頼された広域処理についてのPR記事執筆は、注文主の環境省から書き直しを求められた。

 批判もOKということだったので広域処理への異論も盛り込んだ。それがひっかかった。』

前記事を受けたおさらいの箇所ですので読み飛ばします。

『 環境省が書き直しを求めた文書が手もとにある。

 冒頭に「大幅な修正が必要である」とある。以下、A4で7ページにわたって具体的な指示が並ぶ。

 低線量被曝(ひばく)の問題で環境省は、東大教授、児玉龍彦の話を「大きな問題」とした。』

当然、クライアントの環境省にとって都合が悪い内容のPRですから、書き直しを求めるわけです。あたり前のことですね。PR記事を書くということは、当然こういうことを想定するべきでしょう。結果として「はてな」は津田大介氏を守りきれなくなっていくわけです(後述)。

『 児玉はこう述べている。

 「低線量被曝問題では、よく確率論が話題になりますよね」

 「たとえ100人に1人しか病気にならなくても、1人にとっては100%の問題だってことなのです」

 「一番難しいのは、100%の問題を抱えている人を減らさなきゃいけないということで、単純に数値で割りきれる話じゃない」』

児玉龍彦氏の言い分は、正論であって、至極まっとうですね。当然こういった意見は多くの人に共有されるべきでしょう。

さてこれに環境省はどのように対処したのか。

『 これに環境省は文句をつけた。

 「100ミリシーベルト以下の被曝の健康影響については科学的に証明されたものではなく、政策としての目標であることから、100人のうちの1人にとっては100%の問題とするのは不適当」』

環境省は、「閾値あり」の考え方に従って書け、と「はてな」と津田大介さんに要求したわけですね。

『 低線量被曝については影響が証明されていない、という論理だ。影響が証明されていないのだから、たとえ1人にでも影響が出る、という前提そのものがおかしいということである。

 児玉は、影響はゼロではないことを前提に話を進める。それに対し環境省は、事実上、影響はないのだという立場を貫いている。』

「閾値ありVS閾値なし」というバトルが行われたということになりますね。

『 津田は、徳島県のホームページにある「目安箱」にも触れた。その中で徳島県は、1キロ8千ベクレル以下という国のがれきの埋め立て処理基準に疑問を呈し、がれき受け入れは困難との方針を示していた。

 環境省はその修正も指示した。』

社会的な動きという「事実」にすら環境省はクレームをつけていたということですね。

『 「内容に問題が多く、これ(目安箱)を紹介することは不適当」

 処理基準には特に神経質だ。

 「福島県であっても他の県であっても同じ基準を適用することは当然」

 「(焼却施設では)排ガス中の放射性セシウムが除去されている」

 「広域処理はできるだけ早く行わなければならないものであり、基準の見直しをしている余裕はない」

 津田は批判部分を残そうと粘り、交渉は2カ月続いた。(吉田啓)』

津田大介さんは、2ヶ月粘ったということですが、こんなことは美談でもなんでもなく、環境省の思惑通りだったのではないか、というふうに僕は考えます。

  1. まずは批判的記事の掲載を遅らせる
  2. できるならば、記事内容を訂正させる

環境省と博報堂が考える優先順位はこんな感じだったのではないか、と邪推しておきます。

朝日新聞デジタル:〈プロメテウスの罠〉大臣発言、すべて載せて

『■がれきの行方:18

 環境省に、広域処理のPR記事の書き直しを求められたジャーナリストの津田大介は、環境省の言い分を加えるなど構成を変えた。

 環境省への批判は残した。記事は6月8日にネットに掲載された。』

環境省(博報堂)のクレームは、どのような結果を生んだのか。

  • 環境省の言い分を加えるなど構成を変更
  • 批判は残した。
  • 2ヶ月間、批判的な記事の掲載が遅れた。

実は、記事の掲載が遅れたことが、僕は最も重大な結果を生んだものだというふうに捉えている。

『 津田は記事の中で訴えた。

 「(環境省は)メディアに膨大な税金を投入することでは、がれきに悩む被災地を救うことはできない。多くの人が納得できるよう、情報公開や説明方法の見直しが必要だ」』

だが、環境省は、その後、更に多くの予算を広告代理店に支払って、メディアコントロールを行うことになっていく。

  • 2012年3月末まで・・・博報堂 9億6千万円
  • 2012年4月から・・・電通 30億円
  • 業務は広域処理と除染の広報、除染情報プラザの運営など

ちなみに除染情報プラザの運営は、2012年4月からは電通が14億円で受注し、パソナに丸投げしている。僕は、福島市にある除染情報プラザを見に行ったが、とてもじゃないが、そのような大金が1年に必要だとは思えない程度の事業だった。

話をプロメテウスの罠に戻して。

今回のプロメテウスの罠の取材にも環境省はケチを付けてきたようだ。

『 環境省の対応には、他にも首をかしげざるを得ないことがある。

 たとえば環境省は、今回の取材にも条件をつけてきた。

そうとう朝日新聞のプロメテウスの罠担当者は、腹がたっているのではないか。ここまで書くかと僕は驚いた。

『 今年4月中旬、環境省廃棄物・リサイクル対策部に、広域処理についての取材を申し込んだ。

 担当職員に、取材の趣旨や質問の内容を説明した。何度かのやり取りの末、広報室から連絡があった。』

でどうなったか。

『 「本件についてはすべて、大臣が答えることになりました」』

細野豪志環境大臣が、プロメテウスの罠の取材に対して答えることになったという。

取材条件はどんなものだったのか。

『 続けて、大臣の細野豪志が取材を受ける際の条件が示された。

 「取材時間は20分とする」

 「事前に詳細な質問を提出すること。それ以外には回答しない」』

なんという偉そうな条件を提示してくるのだろうか。

そして、条件はこれだけではなかったようだ。

『 さらに、こんな条件もあった。

 「細野の発言はすべて掲載する」

 「新聞掲載前に記事を確認する」

 広報室に尋ねると、これらの条件は「大臣の意向」だという。

 新聞は官報ではない。全発言の掲載や事前検閲など問題外だ。』

これがその通りだとすると、細野豪志環境大臣は、ぶっちゃけ、どうかしているレベルだろう。

『 6月15日。再び担当職員に取材を申し入れた。だが、広報室は対面取材を嫌がり、ようやく文面での受け答えにのみ応じるようになった。

 「広域処理の仕組みはどのように決められたのか」

 「がれき処理の終了期限を3年以内とした根拠はなにか」……。

 広報室を介してのメールのやりとり。回答を得るまでに数週間かかることもあった。やりとりを踏まえ、担当者への直接取材を求めた。ところが広報室は「大変な激務なので取材に応じる時間はない」。』

メールでの返答に時間を割けるならば、とっとと面会して取材を受けたほうが早いではないか。

だが対面取材は、顔色や返答のよどみなどを報じられる可能性も出てくるわけで。環境省にとって分が悪いものであることは明らかだ。

『 8月27日、「発言の全文掲載はできない。記事を事前に見せることもできない」と前置きした上で、再度細野への取材を申し込んだ。

 にべもなく断られた。』

プロメテウスの罠の取材から細野豪志環境大臣は逃げたということになる。

『 環境省の広域処理のサイトで、細野はこう語っているのだが。

 「国民の皆様から不安の声を多数いただいている現在の状況は、これまでの政府の説明や情報の出し方のわかりにくさが一つの原因だと考えております」(吉田啓)』

この箇所は、僕が先日のブログでも指摘した箇所だ。

▽参考:プロメテウスの罠が暴く「がれき広域処理」世論の作り方 電通・博報堂のメディアコントロール

細野豪志環境大臣は、ご自身の発言をすべて使われるならばOKだが、メディアに自由に書かれるのは嫌だと言っているわけだ。これは、電通や博報堂によるメディアコントロール以上の政治的権力が直接介入するメディアコントロールを行おうとしていることを示しています。

最後になりますが、津田大介さんが、今回プロメテウスの罠の取材を受けて、メディアコントロールの実態を伝えようとしたことは、フェアであるとは思います。

ただし、この取材によって実態が世に出るまでに半年かかっているわけで。その間に、多くの地域で、がれきの広域処理に大変な思いをして反対している住民たちがいるわけで。環境省のがれきの広域処理PRの一端を担った津田大介さんは、住民ではなく、環境省側に立ったわけです。カネを受け取っているわけですから。

さらに、津田大介氏がどの程度の報酬を得ているかについては、報じられていないわけで。そういう意味では、プロメウスの罠が暴いたのは、津田大介さんにとって都合の良い一面にすぎないのではないかと僕は思っています。

津田大介さんの発言を再度引用しておきます。

『 津田は記事の中で訴えた。

 「(環境省は)メディアに膨大な税金を投入することでは、がれきに悩む被災地を救うことはできない。多くの人が納得できるよう、情報公開や説明方法の見直しが必要だ」』

津田さんはこのように訴えていますが、それならば、まず手始めに、自分が得た報酬額を情報公開することで、メディアコントロールがどの程度の「カネ」によって行われようとしていたのかを多くの人と共有するのがよいでしょう(すでにしていたならば、ごめんなさいです)。

=====【追記:2012年9月23日21時13分】

情報提供がありましたので、掲載しておきます。

今の段階で提供されている情報を掲載しておきます。

津田さんが「取材ができる」ことを優先してPR記事を書くことを優先させたということと、報酬を寄付したということの2点の情報提供です。

事実関係はこれから調べます。

=====【追記ここまで】

僕は、この件については、当時以下のように発言していたという記憶があります。

「なぜ津田大介さんは、カネを受け取ってこのエントリーを書くのだろうか。カネを受け取らずにご自身のメルマガで書けば、個人的な考え方を個人的な手段によって発表することができたのに。それならば意見の多様性という視点で理解できるのに。」

この気持は、今でも変わりません。

環境省から博報堂を経由して、さらには「はてな」が中間マージンを抜いているという経緯があった上で、津田大介さんは、税金の一部を報酬として受け取って、がれき広域処理の「PR記事」を書くことを了承していたのですから。本人はこの事実を知っていたと僕は仮定して発言しています。

「自由」「透明性」「多様性」を旗印にするネットジャーナリズムは、すでに、買収可能なものである【訂正:2012年9月26日18時50分】権力にとって取引・利用可能である、【訂正ここまで】ということを津田大介さんは身をもって証明して下さったのかもしれません。

=====【追記:2012年9月24日午前10時1分】

再び、Facebookにて京谷さんにコメントをいただきましたので、参考までに掲載しておきます。

ホイ拡散!

『京谷 六二 「津田記事」は、浅草キッドが柏崎刈羽原発見学に行ったり(掲載は週刊現代)、あるいは女子アナ崩れが原発の安全性をヨイショする記事広告とまるっきり同じ構図で、現にはてなはあのスペースを広告として売っています。これははてなのサイトを見ればわかります(掲載事例集のセールスシートもあります)。
だから広告屋的な感覚からすれば、「あっ、津田大介ってこういう仕事も受ける人なんだ」という程度のことでしかありません。
私は個人的に津田氏が悪いとはぜんぜん思わない。誰がどんな仕事をしようと勝手です。
ただ、広告とジャーナルは別のもの。それだけ(もっともこの2つの区別は、近年、とくにつきにくくなっている)。
http://fusenmei.cocolog-nifty.com/top/2012/04/pr-c428.html

コメント末のリンク先もご参考下さい。

京谷さんの考え方は、広告業界というビジネスを否定しないが、「広告」と「ジャーナル」を区別しなければいけない、という考え方ですね。視界がクリアーになる意見ではないでしょうか。

もう1つ。これは京谷さんの<推測>による意見です。

『京谷 六二 以下、私の広告営業経験に基づく推測です。
環境省が博報堂を通して「はてな」にタイアップ広告の出稿をすることを決めた。→ 博報堂は「はてな」にどのようなライター起用が考えられるか候補者の提出を求めた。→ その中に津田大介氏の名前があった。(ここでポイントになるのは、「はてな」が広告であることをきちんと津田氏に説明していたのかどうか。通常ならします)→ 環境省は津田氏を希望した。
という流れだと思われます。このようなタイアップ広告を作るときには、次にクライアント(環境省)、代理店(博報堂)、「はてな」広告担当、津田氏を交えてオリエンをします(クライアントが出席しないこともあるが)。
そして、クライアントの要望がいかなるものなのかをヒアリングし、綿密に構成を打ち合わせをした上で、取材→原稿作成となります。その後、クライアントのチェックが入った上でOKとなったものが掲載されます。
あの記事の前編に関しては、それがまことにうまくいき、クライアントも満足した。ところが掲載した途端の反響に津田氏がうろたえた(ここで「広告とは知らなかった」と主張した可能性があると思います。その理由として、確か津田氏は、自分は「はてな」から原稿料をもらうと言っていたかと記憶していますが、そんなのは当たり前です。お金の流れは環境省→博報堂→はてな→津田なのですから)。
結果、後編はクライアントの意向と津田氏の意向がズレてしまい、相当に揉めた、、、ということではないかと。
この推測があたっているのなら、この問題の責任の第一は「はてな」広告担当の認識の甘さ、次いで津田氏の認識の甘さという順になるかと思います。
そしてこの場合、クライアント側が激怒するのは当然の流れです。なにしろ、これは良し悪しを別にして、環境省がカネを出した広告なのですから。
と、まあこういう大人の世界は@tsuda教信者さんにはなかなかわからんかもしれないですね(^_^;)。』

広告の世界における、仕事の発注方法の常識に基づいた<京谷さん推測>ですね。

あたっているのかどうかにはもちろん注目したいですが、それ以前に、クライアントと下請け、そしてライターの関係などはおおいに参考になりますね。

ただし、あくまでまだ全ての真相は明らかになっていない段階です。この推測がどこまで当たっているのか、津田さんの今後の発言に注目しておきたいところです。

=====【追記ここまで】