一説によると、現代人は、江戸時代に暮らした
人が一生かかって手に入れる情報を、たった
1日で得ているといわれます。
パソコンやスマートフォンなどを一日中使う
のが、当たり前になっているような現代に
生きる私たちが、毎日、膨大な量の情報に
触れているのは間違いありません。
そのため目の疲れが蓄積し、20〜30代で
すでに老眼の症状や目の不調が出る若い人も
たくさんいます。
専門家の意見で「生活習慣を整えることで、
今感じている目のトラブルをやわらげ、
よい状態に導くことができる」といいます。
目をよくするための対処法を、簡単な
エクササイズも交えて解説します。
目が悪くなる大きな原因は「酸素不足」
近年、目のトラブルが増え続けています。
ディスプレー画面や手元ばかりを見つめる
生活が、目を疲れさせる大きな原因となって
います。
しかし、それはあくまでもライフスタイルの
変化から受ける外側からの影響です。
目の悩みが深刻になる背景には、内側からの
原因も大きく働きかけています。
体の内側から起こる最大の原因が「酸素不足」
です。
目が酸素不足になる理由には、いくつかあり
ます。
まず、目を酷使すると目のまわりの筋肉がこり
固まり、血流を滞らせてしまうことです。
なにかを凝視する作業が増えると、まばたき
する回数が減り、目の表面の酸素不足が
進みます。
さらにファッションとしてのカラーコン
タクトを含むコンタクトレンズの乱用なども、
目の酸素不足を深刻化させます。
目だけでなく、体全体を動かす機会が少なく
なり、血行が滞りがちなことも挙げられます。
酸素は血液に乗って全身に運ばれますから、
あまり歩かずに電車や車に乗って移動する
生活では、血流が滞って酸素が不足する
のです。
呼吸が浅くなりがちなことも、酸素不足に
なりがちな理由の1つです。
スマートフォンやゲームに夢中になり、
うつむいてばかりいると胸や肺が圧迫
されて、深く息ができなくなります。
また、ストレスによって緊張状態が
続いても呼吸が浅くなってしまいます。
呼吸が浅いということは、我々が考える
以上に体にとって大きな負担となります。
なぜなら、呼吸が浅くなると末梢の血流が
激減してしまうからです。
血流が滞ると、細胞に必要な酸素と栄養が
行き渡らなくなります。
特に、目のように細かい血管が集中している
部分は、血流の影響を大きく受けます。
さらに、交感神経ばかりが活性化していると、
血管が収縮しますから、追い打ちをかける
ように血流が衰えて酸素不足になって
しまうのです。
目の血流を促す
激しい運動をした後、筋肉が熱を持ったり、
炎症を起こしていたりするときは、反応を
落ち着かせるために、まず筋肉を冷やす
のが鉄則です。
プロ野球のピッチャーが、試合終了後の
ヒーローインタビューなどで、肩を冷やす
「アイシング」をしている様子を、テレビ
などで見たことがあるでしょう。
でも、アイシングはあくまでも、上がり
すぎた筋肉の温度を、一時的に下げる
ためのものです。
筋肉が炎症を起こしていないかぎり、
逆に温めて血行をよくしたほうが、
疲労の回復が早まります。
目のまわりの筋肉も同じです。
むくんだり、充血したりしているときは、
一時的に冷やすのもいいでしょう。
でも、冷やすのはあくまでも応急処置です。
手足が冷えてこわばると、なかなか思うように
動かすことができませんが、目も冷えが続くと、
全般的な機能が衰えてしまいます。
血液は、熱の高い部分では温められ、低い
ところでは熱を放出して、体温を保つのに
役立っています。
こうした働きから、血流が悪い部位には
冷えが生じます。
別の言い方をすると、冷えやすい部分は
血流が滞りがちになります。
血流が滞って冷えてしまうと、ますます
血流が悪くなります。
目は、外気に触れているため、冷えやすい
体のパーツの1つです。
だからといって、お風呂に入っても、
目を湯船につけるわけにはいきません。
日本人の失明原因の1位である緑内障も、
進行を遅らせるためには、血流を促す
ことがとても重要です。
いずれにしても、根本的に目の機能を回復
させようと考えるのであれば、血流を促して、
「目を温めること」が大切なのです。
体をストレッチすると、血行が促されて、
伸ばした部分が温かくなりますが、
目の筋肉にも同じことが起こります。
近距離でパソコンやスマートフォンの画面を
凝視しがちな目も、気づいたときにストレッチ
すると筋肉がほぐれ、血流が促されてポカポカ
と温まります。
ストレッチで目の血流改善
ここで、いつでも、どこでも、簡単にできる
目のセルフケアの基礎の基礎を2つ紹介します。
仕事中でも自宅にいてリラックスしているとき
でも、気がついたときにサクッとできるものです。
*ストレッチはすべて、メガネやコンタクト
レンズをつけたままでOKです。
「遠近トレーニング」内眼筋ストレッチ
目のピントを合わせる毛様体筋は、近くを見る
ときにギュッと収縮し、遠くを見るときには
緩みます。
私たちの日常生活では、パソコンやスマート
フォンの画面など、近くを見つめることばかりで、
毛様体筋は縮こまっています。
そこでふと気がついたときに遠くと近くとに
交互にピントを合わせて、硬くなった毛様体筋を
ストレッチします。
優しくほぐして、柔らかくしなやかな筋肉を
つくります。
1. 片手を前にまっすぐ伸ばし、親指を立てます。
2. 親指から一直線で見える位置、3メートル
3. 親指の爪と対象物とを1秒ずつ交互に
「指スライド」外眼筋ストレッチ
目の奥から、滑車のように目の位置を支えている
のが、6本の「外眼筋」です。
目をぐるぐるまわしたり、寄り目にしたりと、
眼球の位置を変えるときに使われます。
1. 片手を前に伸ばし、親指を立てて、爪の位置が
2. 次に、腕を伸ばしきった半分の位置で親指を
3. 最後に、顔にできるだけ近い位置の目と目の
もし、あなたが「いつも目が疲れてショボショボ
している」「ものが見づらい」といった目の悩みを
抱えているなら、ぜひこちらでご紹介したエクサ
サイズや生活習慣をとり入れてみてください。
一つひとつは、わずか10秒からできるものです。
まとめ
目も私たちの体の一部です。
目の健康を気づかうことは、体全体を若々しく
健康にすることにつながります。
「もう年だから」
「どうせ治らないから」
そんなふうにあきらめないで、ぜひ、目と体の
若さと健康を取り戻しましょう。