日経に「成長しなきゃいけないの?」という記事があります。衝撃的です。記事の中で経団連の榊原会長がこの言葉に嘆きます。「1番が節約、2番が貯蓄。海外旅行やテレビ、車を買うとは誰も言わない」。これにはさすがの私も固まります。

今の多くの若者は成長を忘れてしまいました。歌を忘れたカナリヤと同じです。いや、若者だけではなく、大半の日本の方はそれが忘却の彼方となっています。

まず、成長を身近に感じられるのが預金利息です。かつては普通預金でも数%ありました。国債で10%の利回りなんていう時代もありました。が、今では0がいくつつくのかわからないぐらいの低金利になりました。これではお金が成長しません。

給与はどうでしょうか?最近、安倍首相が熊のようにベアベアと言っているので大手企業を中心に給与が上がるところもありますが、派遣社員の給与は上がったでしょうか?給与所得の人で余裕しゃくしゃくという方はほとんどいないと思います。

所得があった人約5600万人に対して一般的な給与所得者は4300万人。この大半の方は少ない給与、増えない給与をやりくりして切り盛りしなくてはいけません。投資の余裕などあるわけありません。仮に余裕があったとしても「リスクがあるものにお金など入れられるわけがない」のです。

では自営業者はどうでしょうか?一般的な自営業の損益計算書は普通の発想と違います。(売り上げ)−(仕入れ額)−(経費)=自分の取り分(=報酬)であります。一般的な経理の場合には自分の報酬は普通、経費の中に入っているものですが、自営業者の発想はそうではなくて最後、余ったのが自分のもの、であります。例えば「今月はちょっと忙しくて収入が多かったからルイヴィトンの財布を買っちゃった」という人が身近にいるのですが、それはこの発想が根底にあるからです。

では世紀の借金王、孫正義氏はなぜ、あれほど巨大な帝国を築いたのでしょうか?発想としては彼の場合損益計算書ではなく、キャッシュフローを中心に捉えていると思います。(アマゾンのジェフペゾフ氏も同じです。)孫氏にしろ、ペゾフ氏にしろ事業は当初巨額の赤字になりがちです。それは巨額投資に対する償却費が重いからです。ところがお金で見ると初めに投資をしているのでキャッシュフローは潤沢になります。このギャップがポイントです。

大きな会社に成長できるか、小さいままでとどまるかはキャッシュフローを自分の給与で吸い上げてしまうのか、再投資するのかで乗数的変化をもたらします。日本の場合は金利が極端に低いので借りられる限りおいて「借り得」となり、それを再投資に次ぐ再投資で廻せば何サイクルかのちには損益もプラスに転換し、莫大な利潤を生みながらキャッシュフローも回ることになります。孫氏の場合は収穫期に入っていますし、ベソフ氏やテスラのイーロンマスク氏等はまだまだ投資を続けることで会社の収益が見た目、低迷しているのです。

飲食店や物販店の店舗展開する場合でも同じです。5−6店舗目から急速に資金が回りだし、多店舗展開の入り口の切符を手に入れることができます。ただ、このポイントは5−6店舗まで増やすだけの成功したビジネスなのか、それほど儲かっているのか、将来性があるのか、という点が加味された結果であることに留意が必要です。

成長しやすい一つのツールが株式やFXでしょうか?しかし、それらの投資が難しいのは継続性であります。つまり、安定的に勝ち続けるモデルがあればいいですが、出入りの激しい投資結果では成長戦略にならないのです。私が北米の株式市場を通じて行っている戦略は高配当銘柄に7割の資金を突っ込む、であります。バフェット氏と同様、長期的に高配当をとり続け、その配当金を更に投資に回すことで複利効果を生み出します。北米には高配当銘柄は今でもざらで年10%の配当はまだまだあるのです。10%を複利で廻せば10年後には元本が2.6倍になります。これが成長なのです。

言い換えれば努力して実った果実は食べず、来年の為に更に種をまくということです。では給与生活者はどうすればよいのか、ですが、私は自分に投資したらよいと思います。知識や専門性を磨き、会社の中でランクアップや別の会社に移ることになった際に自分のプロフェッショナリズムを売りにできるようにすることしょう。多くの被雇用者は会社の中の便利屋になっていることが多くないでしょうか?ちやほやされて「さすが○○さんだね」とおだてられて踊っているようではだめです。本当の自分を磨き上げることが将来への道のりだと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。