Column
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Tim Weiner
[9日 ロイター] - サリー・イエーツ前米司法長官代行が8日に行ったような、ロシア政府が米国に及ぼす影響についての証言を、米議会が最後に聞いたのは、70年前のことだ。
1947年3月、当時の連邦捜査局(FBI)長官エドガー・フーバー氏は議会で証言し、モスクワが米政府の屋台骨に入り込み、トルーマン大統領(当時)がその脅威を深刻に受け止めていないと非難した。
FBIは秘密裡に、国務省と核兵器開発プロジェクトにスパイが入り込んでいたという、極めて重大な案件の捜査を進めていた。フーバー長官は公の場で、政府転覆を目論む勢力の「徹底的な訴追」を約束し、議会に対して「アメリカを脅かす力の公表」を要請した。
今回のイエーツ証言から判断する限り、司法省とFBIは1月、ホワイトハウスの大統領執務室内に、ロシアの利益のために行動しかねない人物がいると結論づけた。トランプ政権の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)だったマイケル・フリン氏だ。
フリン氏の度重なるうそや秘密主義、不明瞭な資産状況は、アメリカの脅威であるとの判断だ。「国家安全保障問題担当の大統領補佐官は、ロシアから脅迫されかねなかった」と、イエーツ氏は証言した。
これがどれほど米国の法の番人を警戒させ、FBIを恐れさせるか、表現するのは難しい。イエーツ自身も1月にトランプ大統領から解任されるまで、一時期「法の番人」のトップを務めた。マフィアとの関連が疑われる人物を、自分の上司が雇った事態を想像してみるといい。
さらに悪いことに(もっと悪い事態があり得るとすればだが)、トランプ大統領の就任式の前後に、フリン氏は彼の上司に対して駐米ロシア大使との接触内容についてうそをついた。上司側は、その悪質性を知らなかったか、気に留めなかった。
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