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米メディアの論調二分 FBI長官解任、社会分断映す

2017/5/13 11:32
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 【ニューヨーク=伴百江】トランプ米大統領によるコミー前連邦捜査局(FBI)長官の解任は、保守系とリベラル系のメディアで両極端の報道が目立ち、大統領就任以来、最も象徴的な米メディアや米国社会の分断を映している。

FBI長官解任を巡りホワイトハウス前で抗議する人々(10日)=ロイター

 米紙ニューヨーク・タイムズなどリベラル系メディアは、解任理由は大統領選へのロシア関与疑惑を巡る捜査を妨害するためとみて「第二のウォーターゲート事件」と批判する。一方で有力テレビ局フォックス・ニュースなど保守系メディアはクリントン元国務長官の私用メール問題を巡るコミー氏の対応の誤りが解任理由だと判断。FBIの信頼回復のため新長官を任命し、メール問題の捜査再開を主張する。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはコミー氏が長官を解任される直前、ロシアによる大統領選関与の疑惑捜査を強化していたと指摘。3週間ほど前から、部下からの捜査状況の報告をそれまでの週1回から毎日に増やしていたという。さらに、解任前日には一部の議員に、ロシア問題の捜査を拡大したい旨を説明していたとされる。

 その翌日に解任が発表されただけに、同紙は「共和・民主両党の議員の間で、大統領がロシア疑惑の捜査を妨害しようとしているとの懸念が強まった」と解説している。

 ニューヨーク・タイムズはコミー氏が大統領選直前の昨年10月末にクリントン氏の私用メール問題の捜査再開を議会に報告した際、トランプ氏がその決断を称賛した点を指摘する。「国民のFBIへの信頼を損ねた」というコミー氏への現在の評価と百八十度異なるトランプ氏の豹変(ひょうへん)ぶりを非難する。

 コミー氏の評価がそれほど低いなら「大統領就任初日に解任できたはずだ」と指摘。ロシア問題を捜査するため、特別検察官の任命が必要だと主張している。

 一方、フォックス・ニュースは私用メール問題の捜査過程で、クリントン氏の複数の側近に免責を与えるなど対応を誤ったことが解任の理由だと説明。新長官任命と捜査再開が必要だと主張している。極右メディアとされるデイリー・コーラーは「大統領選直前まで民主党議員もコミー氏に批判的立場だったのに、今回の解任で立場を一転した」と批判している。

 今回の電撃解任で保守系、リベラル系ともメディアの報道で共通しているのは、くすぶっていたロシア疑惑に再び脚光が当たった点だ。トランプ氏がロシア疑惑で何かを隠蔽しているとしたら、コミー氏の解任は隠された事実を白日の下にさらす引き金になる可能性もある。

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