今回は良くある総合広告代理店だけのランキングではなく、今非常に好調なインターネット広告代理店も含めたランキングを纏めました!あわせて、そもそもの日本の広告市場および内訳も纏めておりますので業界全体を俯瞰しながら業界動向についても解説いたします。
■そもそも広告業界の市場規模はどれぐらい?
2013年のデータになりますが、日本の総広告費は『5兆9,762億円』となっております。
2009年(リーマンショックの翌年)に日本の広告費の目安となる6兆円台を割り込みましたが、2014年に6兆円台に戻し、2015年は6兆円台を維持しています。(2015年の総広告費は『6兆1,720億円』)
2012年からは4年連続のプラス成長になっていますが、プラスの主な要因はインターネット広告市場の成長にあります。上記図の推移でも分かる通り、4マス媒体に変わってインターネット広告市場が伸びており、単体で1兆円を超える市場まで成長しています。
尚、アメリカ・欧米諸国では既にインターネット広告がテレビ広告を抜いて1位になっていると言われており、日本においても、インターネット広告市場が更に加速度的に盛り上がっていくだろうと予想されております。
■広告代理店売上げランキング(国内)
お待たせ致しました。いよいよ広告代理店の国内ランキングを発表致します。
市場の話で纏めた通り、インターネット広告の成長にあわせランクインする企業にも変化がおきております。直近のランキングではインターネット系の広告会社がベスト20に5社ランクイン。 (サイバーエージェント、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、オプト、セプテーニ、アイレップ ※敬称略)
各社とも売上を伸ばす傾向にあり、また上記以外にもインターネット系の会社は売上を伸ばしており、数年後には、ランキングの半数以上の会社がインターネットに特化した広告会社になると推測されます。
尚、総合広告代理店にフォーカスしますと、多くの広告代理店は売上を減額させています。
上記図は2000年のランキングを纏めたものになります。2015年と比較して分かる通り、多くの会社がこの10数年の間に売上が減額しランキングから消える一方、広告業界は、電通を中心に博報堂およびアサツーディ・ケィの上位3社で全体の売上の40%を占めており、この3社が広告業界を牽引している構図は2000年当時から現在まで変わりません。
ここまで差が開いた要因の1つとしては、インターネットの流れに対応した広告代理店が売上を伸ばし、既存のメディアに依存している広告代理店は売上を大きく減少させたことが挙げられます。
■広告代理店売上げランキング(世界)
また参考までに、広告代理店(グループ)の世界ランキングも発表致します。
また参考までに、広告代理店(グループ)の世界ランキングも発表致します。
広告業界の世界ランキングはAdvertisingAgeのAGENCY REPORT 2016を参考に見ていきましょう。
世界ランキング第一位:WPPグループ
イギリスのロンドンに本拠地を置く、世界最大の広告代理店グループ。ただし、税務上の理由により、登記のうえではアイルランドが本社となっています。
その規模はまさにグローバル企業そのもので、107か国に進出。積極的にM&Aをおこない、世界初の広告代理店『JWT』をはじめ、世界有数の広告代理店を傘下にしています。日本ではADKと資本関係にあり、株式の24.5%を保有するADKの筆頭株主です。
世界ランキング第二位:オムニコムグループ
アメリカのニューヨークに本社を置くオムニコムグループ。2013年、ピュブリシスグループとの合併が発表され、WPPを超える世界最大の広告代理店が誕生するとみられていましたが、2014年に計画の撤回が報じられました。とはいえ、名立たる企業の買収・資本提携を進めていることに変わりはなく、日本でも東急エージェンシーと業務提携契約を結んでいます。
世界ランキング第三位:ピュブリシスグループ
フランス・パリの広告代理店。世界108か国で事業展開していて、グループ全体で64,000人もの従業員を擁しています。以前は『電通』との合弁会社を展開していたものの、現在は合弁関係が解消。先ほどご紹介したように、世界第二位のオムニコムグループとの合併計画が発表されましたが、撤回されましたね。日本の『ビーコンコミュニケーションズ』は、ピュブリシスの傘下です。
世界ランキング第四位:インターパブリックグループ
オムニコム同様、ニューヨークに本拠地を置くインターパブリック。「マッキャンエリクソン」や「ドラフトFCB」などの広告会社が傘下に抱えられ、日本の「大広」とも業務提携しています。世界トップの広告代理店は、他国の企業も巻き込んで事業展開しているのがよく分かりますね。
世界ランキング第五位:電通イージス
日本の広告代理店の首位「電通」グループが、世界のTOP5にランクイン。国内ではいわずとしれた圧倒的シェアを保持していますが、世界でも124か国で事業を展開。2013年にイギリスの「イージスグループ」を買収したことで、その存在感をさらに大きくしました。
世界ランキング第六位:アバス
フランスのパリに本社を置く大手広告代理店。世界75ヵ国で316もの拠点を持ち、日本法人であるハバスワールドワイドジャパンは都内にあります。武田薬品工業やノバルティスファーマ、バイエル薬品などの超大手製薬会社をはじめ、世界中の有名企業がクライアントとなっています。
世界ランキング第七位:アライアンス・データ・システムズ
アライアンスデータシステムズは厳密にはクレジットカードの運営会社であり、広告代理店事業を担っているのは子会社のイプシロンです。ビッグデータを活かした一般消費者向けのマーケティングや、ロイヤリティサービスに強みを持っています。クリエイティブとマーケティングが両立可能な、まさに新しい広告代理店。
世界ランキング第八位:博報堂DYホールディングス
後述するように、国内では電通とともにトップシェアを誇る博報堂。こちらも世界の広告代理店ランキングでトップ10入りを果たしています。
世界ランキング第九位:IBMインタラクティブ・エクスペリエンス
コンピュータ関連製品やサービスを提供するIBMは、広告業界でも際立った存在感を発揮。そんなIBMのコンサル部門から誕生したIBM インタラクティブエクスペリエンスは、革新的な体験を創造する取組みを強化しているようです。戦略・クリエイティブ・モバイルそれぞれの専門家が共同となり、リアルとデジタルの融合を目指しています。
世界ランキング第十位:デロイトデジタル
コンサルティング会社として有名なデロイト。サービス提供の際には、必ず戦略コンサルティングから課題解決を始めているのが特徴的です。このように、近年ではコンサルティングファームがデジタルマーケティングでのシェアを飛躍的に伸ばしており、深い知見や洞察をもった会社が今後もますます活躍していくことが見込まれます。
■世界のデジタル広告ランキング(エージェンシー単位)
グローバルランキングで目を引くのは、デジタル広告を取扱う企業が上位に食い込んできていること。デジタル広告の成長ぶりを示していると言っていいだろう。しかも、純然たる広告会社ではなく、ITが得意なコンサルティングファーム、ITサービスプロバイダーといった異業種が多い。つまり、デジタル広告の領域では、ITに長けた企業が広告会社の縄張りを脅かしているというわけだ。以下はデジタル広告業界の世界ランキングである(先のランキングとは違ってエージェンシー単位)。
デジタルで第1位、全体で第6位となったアクセンチュアは、米国の大手コンサルティングファーム。日本法人もあるのでお馴染みだろう。今はなき世界的な会計事務所、アーサー・アンダーセンのコンサルティング部門が独立した。ITを活用したコンサルティングでも定評があり、デジタル広告戦略のサポートなども手がけているというわけだ。日本では、デジタルマーケティングを手がけるIMJを買収して大きな話題になった。
全体で第8位のアライアンス・データ・システムズは、米国の大手ITサービスプロバイダーで、顧客ロイヤリティ、マーケティングなどに関するITサービスを提供する。
全体で第9位、デジタルで2位には米国のIBMがランクイン。IBMにとっても、デジタル広告関連事業のウエートが高まっていると見られる。全体で第11位、デジタルで3位のデロイトは世界最大の会計事務所グループ。本拠地は米国だが、日本ではデロイトトーマツグループとして活動し、デジタルコンサルティング部門もある(デロイトデジタル)。日本では、競合のPwCや野村総合研究所もPwCデジタル、NRIデジタルを立ち上げている。
第12位には新興国勢も顔を出した。ブルーフォーカス・コミュニケーション・グループは中国最大のPR会社である。
勢いに乗るIT系の新興勢力に対して、メガ・エージェンシーも手をこまねいているわけではない。たとえば、デジタル広告部門のグローバルランキングを見ると、ワンダーマン(第5位)、オグルビー&メイザー(第7位)といったWPPのグループ会社も上位に名を連ね、健闘している。
電通は、中国でのデジタル広告事業を拡大するため、2010年にはブルーフォーカスと合弁でPR会社を立ち上げている。また、ASEANでのデジタル広告事業基盤を強化するため、2012年にはシンガポールに電通メビウスを設立するなど、デジタル広告の国際展開に向けた布石を矢継ぎ早に打っている。さらには今年に入って、デジタルマーケティング専門の新会社、電通デジタルを設立し、CRMやカスタマージャーニー、ビッグデータ、AIといったIT分野への注力を表明している。
今後、総広告費に占めるデジタルの比率はますます上昇していくと見られており、「デジタル広告、あるいはデジタルマーケティングを制するものが広告業界を制す」と言っても過言ではない。デジタル事業の成否が、広告会社の社運をも左右することになるだろう。異業種も交えたデジタル広告市場を巡る覇権争いは、ますますヒートアップしている。
就職人気でも常にランキング入りする広告代理店は、世の中を大きく動かしている
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。就活生に限らず、社会人からも大きな注目を浴びる広告代理店の各ランキングをご紹介しました。
テレビCMはもちろん、今後はインターネットでの市場も拡大していく広告業界。社会へ与える影響力も強く、上位企業は平均年収が高くなっています。各企業のHPや口コミを参考にしたランキングからも、規模の大きさをうかがえるのではないでしょうか?広告代理店の仕事に興味がある人、広告業界で働きたい人は、日常生活に隠れた”楽しいこと”を探す習慣を身に付けてみてはいかがでしょうか?