今回は日本だけでなく、世界のPR会社のランキングを纏めました!あわせて、そもそもの日本のPR市場および内訳も纏めておりますので業界全体を俯瞰しながら業界動向についても解説いたします。
■そもそもPRってなに?
PR(=Public Relations)の本来の意味は、企業、行政、学校、NPOなどの組織が、ステークホルダー(組織となんらかの利害関係がある人々)との間に“相互に利益をもたらす関係と信頼を築き、さらにそれらが保たれるようにマネジメントする”こと。企業以外の組織においても行われている活動ですが、ここでは企業のPRのケースを取り上げましょう。
■企業にとってPRとは
企業は自社のブランドや製品、サービスを世の中の人に知ってもらうために、さまざまな活動を行っています。PRもその活動の中のひとつ。認知を高めるだけでなく、消費者とよい関係を保つために、社会の動きを常に観察し、消費者の声に耳を傾け、さまざまなPR戦略を練っています。
■広告とPRの違い
認知を高め、信頼関係を築くための活動となると、気になるのは広告との違いです。PRは一見、広告と同じような活動に見えますね。でも決定的な違いがあるんです。それはメディア(媒体)にお金を払うかどうか。広告の場合、情報を発信する際には、メディア(新聞、テレビ、雑誌、Webなどの媒体)のスペースを購入する必要があります。購入したそのスペースの中で広告を展開するのです。
一方PRは、企業の新しい情報をメディア側が積極的に見つけます。そしてメディア自身がその情報を掲載するか否か、判断するのです。つまり、情報に話題性があれば、メディアが勝手に拡散してくれるので、情報発信側の企業はメディアを購入する必要がありません。
広告出稿において、媒体費はコストの中でもとても大きな割合を占めるもの。だったらPRの方が断然お得に思えますよね。でもそう甘くもないんです。PRの場合、情報掲載の有無を決定するのはあくまでメディア側。つまり、メディアが「これは話題になりそうだ」と判断しない限り、掲載してもらえません。
費用を払えば情報をベストなタイミングで確実に発信できる広告に対し、PRは掲載してもらえる保証がありません。さらには、掲載してもらえたとしても、いつ、どんな形で掲載されるかわからないことも。そのかわり、メディアの目にさえ留まれば、媒体費をかけることなく大規模なプロモーションを行うことも可能です。広告かPRかの選択は、時と場合によって適切に使い分けた方がよさそうですね。
※PRの仕事内容についてはコチラで詳しく説明しています。
■そもそもPR業界の市場規模はどれぐらい?
日本パブリックリレーションズ協会によりますと、2014年度の「日本のPR市場」の推定市場規模は4351億円、そして「PR業売上(PR会社の売上合計)」は推定948億円になると言われております。
上記の通り、「日本のPR市場」は、イベント業界、Web業界、出版業界(雑誌編集タイアップ領域)、リスクコンサルティング業界、広告代理店業界(行政広報領域)という、PR会社以外の業種・領域でPR業務を展開している対象業種を特定。業界を横断したPR業務を対象とした市場データが存在していなかったことから、2014年度より広義のPR市場を検証したものが上記図となります。
尚、アメリカの「PR業売上」だけの規模でいうと約1兆4,000億円になると言われ、日本の948億円と比較しても市場規模の違いを感じさせます。
■PR会社売上げランキング
お待たせ致しました。いよいよPR会社のランキングを発表致します。尚、今回は日本と世界のPR会社を纏めていきます。
まずは日本のランキングからです。
尚、日本のPR会社の多くは売上非公開の企業が多い為、今回は調べることができた企業様を中心にランキングを形成しております。
日本1位は、電通パブリックリレーションズ。日本のPR会社の中では唯一100億円を超える売上高となっております。日本2位は、ベクトル。独立系と言われるPR会社の中では圧倒的にNo.1のPR会社です。持ち株会社に移行し10数の事業会社から構成され、クライアントのニーズにワンストップで応えられる稀有な存在と言えます。日本3位は、サニーサイドアップ。PR事業だけでなく、スポーツマーケティングや世界一の朝食で人気の[bills]を手掛けるなど多岐に渡る事業展開が特徴です。
4位以下には、共同ピーアールやプラップジャパンなど日本を代表する老舗PR会社が続きます。
続いては、世界のPR会社ランキングです。
既にご存知の方からすると、いつも通り世界1位は独立系のエデルマン(米国)で約940億円。続く2位が、ウェーバー・シャンドウィック(米国)で約810億円。(オリンピック招致の実績で知った方もいそうですね) 3位にはフライシュマン・ヒラード(米国)で約630億円。
もはや不動のトップ3と言ってもいい世界ベスト3のPR会社になります。
全体的に米国勢が並びますが、10位には中国のブルーフォーカスがランクイン。近年急成長を遂げている企業で、アジアのPR会社として唯一トップ10入り。9位のブランズウィック(英国)の背中を捉えるところまで来ています。
尚、ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長の本田氏によると、PR業界全体の成長率に注目しているようだ。
※引用元
2016年7月号 広報会議 本田哲也のGlobal Topics
「これが、世界を動かすPR会社だ!!」PRWeekがグローバルPR会社ランキング発表より
『PRWeek誌によれば、世界トップ50社の2015年の成長率は4%で、2014年の8%から半減する結果となった。つまり、成長スピードが鈍化してしまった1年だったというわけだ。ランキング表を見ても分かるように、トップ7の成長率はいまひとつパッとしない。世界的にPRへの注目とニーズは上がっているはずなのに、これはどういうことなのか?─これについては、どうやら業界全体が、ある種の「踊り場」に突入したという見方が強い。世界的に、いわゆる「手法」のインテグレーションが進み、各エージェンシーの枠を超えたワンストップのサービスが求められる中、各社の試行錯誤が影響を与えた悩ましい1年だったというわけだ。18%成長を遂げた8位のオグルヴィPRの好調の理由は、他のエージェンシーに比べて広告・デジタル・PRのインテグレーションがグループ内で進んでいることもあるだろう。もっとも、「踊り場」の先には常に新たな階段が出現するもの』、との見解のようだ。