小児の虚弱、夜尿症、夜泣きに効果的な漢方薬

更新日:2017/01/29

慢性疲労症候群の治療法

小児における漢方薬には、さまざまな使用と処方があります。ここでは虚弱体質、起立性調節障害、夜尿症、夜泣きにおすすめの漢方薬を、東洋医学に詳しい漢方専門ドクターの監修のもと、詳しくご紹介します。

虚弱体質の漢方薬

虚弱体質の小児は体力や気力の低下、疲労倦怠感、胃腸虚弱、冷え、風邪をひきやすいなどの特徴があります。体力、抵抗力ともに低下している場合が多いため、漢方薬では胃腸を整える薬剤を中心に選択していきます。

小建中湯(しょうけんちゅうとう)

体力のない方に使用します。膠飴(こうい)、甘草(かんぞう)、桂枝(けいし)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)から構成されています。冷え性で、血色が悪い、筋肉が柔らかい、疲れやすく、胃腸が弱くて痩せている、腹壁が軟弱な場合や鼻血が出やすい、おなかが痛むなどの小児の症状に使用します。

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

比較的体力のない方に使用します。小柴胡湯(しょうさいことう)という漢方薬に桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)を加えた漢方薬です。微熱や頭痛、腹部の痛みなどに効果があります。熱性疾患では、頭痛、悪寒、食欲不振がある場合に使用します。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

比較的体力のない方に使用します。主に胃腸虚弱な方の体力回復剤です。全身倦怠感(特に四肢)や食欲不振、気力の低下、顔色不良、飲食は温かいものを好む方に使用します。咳、微熱、動悸などの症状がある場合に目標となります。

起立性調節障害の漢方薬

起立性調節障害の漢方薬は診断基準にあります大症状(立ちくらみやめまい・立っていると気分が悪くなる、など)と小症状(顔が青白い・食欲不振など)の組み合わせによって漢方薬を選択します。通常、1か月程服用し様子をみます。可能であれば、3か月以上内服すると効果が現われやすいといわれています。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

五苓散から沢瀉(たくしゃ)と猪苓(ちょれい)を除いて、甘草(かんぞう)を加えたものです。五苓散のような口の渇きや悪心・嘔吐、下痢の無いことが識別のポイントとなっています。胃内停水(いないていすい)が原因で水の動揺が生じる事によって起こるめまい、立ちくらみに使用します。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

比較的体力の無い方に使用します。胃腸虚弱で血色が悪く、冷え性で持続性の頭痛、めまい、肩こりなどをともなう場合に使用します。めまいや頭痛に効果のある天麻(てんま)が配合されている事が特徴です。また消化機能調整作用が強く、水分代謝作用もあるため水滞(すいたい:水分の偏り)によるめまいや頭痛に繁用されます。

補中益気湯

上記、「虚弱体質の漢方薬」の欄を参照してください。

柴胡桂枝湯

上記、「虚弱体質の漢方薬」の欄を参照してください。

小建中湯

上記、「虚弱体質の漢方薬」の欄を参照してください。

夜尿症の漢方薬

おねしょと夜尿症の違い

おねしょは年齢とともに排尿器官が成長することで、割合が減っていきます。一般的には5歳ごろまでにおねしょを「卒業」する人が多いと考えられているようです。

5歳を過ぎてもおねしょが続く場合は、夜尿症と判断され治療の対象になる場合もあります。ただし、小学校1年生から3年生までで10%ほどの夜尿症の子供がいるとされていますので、夜尿症自体はそれほど珍しい病気ありません。

夜尿症の漢方薬は、特に西洋薬が適さない低年齢児に第1選択薬になりやすいです。年長児には西洋薬が第1選択で効果が不十分な場合に漢方薬を併用するとよいです。

葛根湯(かっこんとう)

緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)に使われ、両側性で一日中持続し、夕方に増悪、締め付けられるような痛みがあるもの。比較的体力があり、頸肩のこりを感じたり、筋硬結や圧痛を認める場合に使用する。

六味丸

上記、「虚弱体質の漢方薬」の欄を参照してください。

小建中湯

上記、「虚弱体質の漢方薬」の欄を参照してください。

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

比較的体力の無い方に使用します。桂枝湯(けいしとう)にカルシウムなどを多く含む竜骨、牡蛎を加えたもので気分を安定させて、精力低下を改善させる漢方薬です。やせて顔色が悪く、神経過敏、精神不安、抑うつ気分を訴え、心悸亢進(しんきこうしん)、腹部大動脈の拍動亢進、陰萎(インポテンツ)などの性欲低下、寝汗、手足の冷え、易疲労感をともなう場合に使用します。

夜泣きの漢方薬

寝る前は機嫌よく特に症状はないが、夜中突然泣き出し、なかなか泣き止まない状態をくりかえす現象です。漢方薬は単独で効果が期待できる例が多いです。効果判定は約1か月を目安に服用します。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

比較的体力のある方に使用します。臍(へそ)の上部や下部に動悸があって便秘傾向があり、不眠、多夢、不安、抑うつ気分などの症状がある場合に使用します。腰から下が何となく重いという症状もこの漢方薬を使用する目安になります。のぼせを改善する桂皮、利尿作用を有する茯苓、鎮静作用のある竜骨・牡蛎を配合しています。メーカーによっては大黄を含んでいる場合といない場合とがあります。

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

体力がやや弱い方に使用します。腹直筋が緊張していて、生あくびが出て、ささいなことが気になり、理由もなく嘆き悲しみ、泣き出したりする場合に使用します。構成生薬は甘草、小麦、大棗(たいそう)で鎮静作用が強く現れます。甘草の含有量が多いため、長期に用いる際は偽アルドステロン症などの副作用に注意する必要があります。甘くて小児でも比較的飲みやすい漢方薬です。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

比較的体力の無い方に使用します。前述の抑肝散(よくかんさん)に健胃作用のある陳皮と制吐作用のある半夏を加えたもので、臍の左上部に明らかな抵抗と圧痛があり、軽い胸のつかえと、腹力がやや軟弱な体質の方、落ち着きのない、神経の高ぶる神経症に使用します。また、ひきつけや夜泣きなどの小児に使用することも多く有ります。

小建中湯

上記、「虚弱体質の漢方薬」の欄を参照してください。

桂枝加竜骨牡蛎湯

上記、「夜尿症の漢方薬」の欄を参照してください。

小児の漢方薬の投与量について

小児への投与量には諸説ありますが、おおよそ、1~5歳で通常量の1/4~1/3くらいの量、6~10歳で1/2量程度、11歳~通常量で処方される事が多いとされています。