イクラちゃんが「下駄」でデパートへ行くことを、意地でも許さず、炎上?したサザエさん。サザエさんの源氏物語化が、どうにも進捗しません。サザエさん嫌いの存在も、この辺りに関係していそうです。
サザエさん 意地でも下駄でデパートへ行くことを許さず炎上
お気に入りの下駄を履いてデパートに行きたがるイクラちゃんを、サザエさんが「マナー違反」としてかたくなに拒否。5月7日放送のサザエさんです。
- デパートで下駄ってマナー違反なの??
- 私も観てて引っかかった。
- 磯野家のローカルルールという事で終了!
ツイッターで、議論を呼んだとのこと。
いまだに、サザエさんを現代の物語として見ている層がいることに、素直に驚きました。サザエさんと言えば、昭和期前半を知るための、完全なる古典作品だのに……。
昭和期前半、デパートという華やかな場には、洋風の正装が基本だったんだろうな、という鑑賞が、適切かと思われます。
サザエさん嫌いは、誤った鑑賞法から
- サザエさんのような家庭は理想的かと問われ、女性の8割近くが理想的でないと答えた(ウートピ世論)。
- 「時代錯誤」
- 「標準の強制が気持ち悪い」
この辺りのサザエさん嫌いも、サザエさんを現代の物語として見ていることが背景にあるでしょう。完全なる古典作品から、家族観の押しつけを感じ取る必要性はありません。昭和期前半までは、大家族・家父長制度的家族観が支配的だったのだなあ、と適度な距離感を持って、鑑賞していればよいと思われます。
源氏物語の鑑賞法について
平安期の物語である源氏物語を読んで、光源氏の不倫や浮気を許せないと思う人はいません。あくまで、平安期を知るための古典として鑑賞しているからです。
しかし、源氏物語を、平安期を知るためだけに鑑賞する姿勢は、実は多くの源氏物語嫌いを生んでいます。源氏物語は、現代の物語でもあるからです。
話は変わります。
- まだ純朴さを残す若い御曹司(櫻井翔)が、ちょいワルイケメン(松本潤)の指南を受けつつ、女遊びの腕を磨く。
- 2人は、実業界で美人と評判ながら、一切表に出ないある女性を、競うようにLINEで口説こうとする。
- 最終的に僅差で若い御曹司(櫻井翔)が、その女性と会うことに成功するが、女性(村上知子・森三中)の素顔を見ると、尻尾を巻いて退散する。
この話は、ドラマにもありそうなエピソードですが、実は源氏物語のストーリーの一部で、『末摘花』の巻にあります。
※村上知子・森三中は、ブスの瞳に恋してるに出演していることから、ブス役を演じることが可能なため選定。他意はありません。
時は経っているかは主観の問題だし、人間心理は普遍
多くの人は、昔、現在、未来と、時は流れ、あらゆるものが変化し、進化していると考えています。しかし、動物に時間の概念がないように、時間が数直線的に流れるというのは、近代人の主義・主張に過ぎない面があります。仮に時が経っているとしても、人間心理は普遍。だから人は、古典作品に惹かれるのです。
先程のエピソードは、源氏物語では、次のように対応しています。
- まだ純朴さを残す若い御曹司(櫻井翔):光源氏
- ちょいワルイケメン(松本潤):頭の中将
- 女性(村上知子・森三中):末摘花
古典は、時代設定や小道具を抜きにすれば、現在の物語としての価値を持っています。
サザエさんの正しい?鑑賞法
したがって、サザエさんの正しい鑑賞法は、以下のようになると思います。古典を読むことは、過去を知り同時に現在を知るという二重性を持っています。
- 昭和前半の、時代設定や小道具を知る。
- 普遍的な人間心理を読み取り、物思いに耽る。
下駄を履いてデパートに行くことがマナー違反という内容から、昭和前半のデパートの様子に思いを馳せることができます。かつて、サザエさんとマスオさんは、デパートの食堂でお見合いをしたそうです。最近は、丸井(首都圏のデパート)に100円ショップが入っており、驚きます。
同時に、いま下駄を履いていってはならない場所はどこだろうかと、現代の物語を想像したりします。TDLかな?