米国の気候変動政策は自国利益を最優先する=ティラーソン国務長官
米ロなど北極圏8カ国が地球温暖化対策などを話し合う「北極評議会」の閣僚会合が11日、米アラスカ州フェアバンクスで開催された。レックス・ティラーソン米国務長官は、気候変動に関する政策を検討する際には自国利益を最優先すると述べた。
一方で、ティラーソン国務長官は米政府として決断を急いでいるわけではなく、各国の意見も考慮すると語った。
ドナルド・トランプ大統領は、人間活動が気候変動の原因になっていることに疑念を示し、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの米国の離脱を主張していた。
一方、北極評議会の他の参加国は温暖化ガスの排出削減を訴えており、評議会は世界的な行動が喫緊に求められているとする声明をまとめた。
2年に1度開催される北極評議会では、気候変動問題が最大の議題になった。世界の気候変動対策には、トランプ政権発足が大きな影を落としている。
石油会社エクソンモービルの最高経営責任者(CEO)を務めていたティラーソン国務長官は閣僚会合で、米国が気候変動についてどのような政策を進めるか検討中だと述べた。
ティラーソン国務長官は、「参加国それぞれの意見が重要だと認識している。我々が皆さんの懸念を理解するために時間を割いていると分かってもらいたい」と述べた。
同長官は、「決定は急がない。米国にとって正しい判断をするのを目指す」と述べた。
トランプ政権は、米国がパリ協定から離脱するか、協定での約束を一部撤回するか検討している。2015年12月に約200カ国が署名し成立したパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命より前に比べて2度以内に抑えるのを目標としている。
トランプ大統領は今月予定される初外遊の訪欧を終えた後に、パリ協定に関する決定を発表する見通し。
北極評議会が11日に出した声明は、パリ協定についてわずかしか触れていないが、発効と履行について言及している。一方、協定内容の履行をあらためて約束するよう参加国に求めてはいない。
(英語記事 Arctic summit: Trump to make 'right decision for the US' on climate)