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業績ニュース

上場企業、2期連続最高益へ 18年3月期最終、電機・商社けん引

2017/5/12 21:26
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 上場企業の業績が一段と拡大する。2018年3月期は最終的なもうけを示す連結純利益が2年連続で過去最高を更新する見通しだ。グローバルに稼ぐ力を取り戻した電機や資源価格の回復を背景に総合商社がけん引する。利益額の大きい自動車は北米の競争激化に加え円安の追い風がやみ大手3社が減益を見込むが、幅広い業種で利益を増やし増益を達成する。

 12日は決算発表のピークで、過去最高となる767社の3月期企業が発表した。

 同日までに決算発表した1332社(金融など除く)を日本経済新聞社が集計した。社数で全体の85%、株の時価総額で92%に相当する。18年3月期の純利益は前期比4%増の21兆8196億円になる見通しで6割強の企業で最終損益が改善する。17年3月期は前の期に比べて21%増の20兆9005億円になった。

 利益の伸びが大きいのは電機や商社、海運だ。ソニーはスマートフォン(スマホ)に使うカメラ用画像センサーが伸びて赤字だった半導体事業が1000億円を超す黒字になる。吉田憲一郎副社長は「結果を出す」と話し、純利益は3.5倍の2550億円を見込む。富士通も「電子デバイスの市況が回復し成長に向かう」(塚野英博副社長)として3年ぶりの最高益を計画する。

 資源価格の回復は幅広い業種で収益を押し上げる。三菱商事など総合商社5社は資源安で16年3月期までの2年間で2兆円近い減損損失を計上したが、前期は原油などの市況回復でそろって黒字になった。今期も全社が増益を見込む。住友金属鉱山はインフラなどに使う銅の価格上昇で3期ぶりに最終黒字になる。神戸製鋼所も鋼材市況の回復で黒字転換する。

 海運の業績も最悪期を脱しつつある。鉄鉱石や石炭の需要が底堅く、資源を運搬するばら積み船のチャーター料が上向く。日本郵船川崎汽船は前期に保有船の減損処理などで1000億円を超す最終赤字を計上したが今期は黒字を見込む。

 各社の想定為替レートをみると1ドル=105~110円とする企業が多く、平均で108円台と前期並みだ。円安の追い風はやんだが、今期は海外展開の加速や新規事業の育成で着実に業績を伸ばす企業が目立つ。ダイキン工業は東南アジアで消費電力を抑えたエアコンの販売が伸びる。炭素繊維が苦戦する東レは車向けの電池材料が収益源に育っている。いずれも最高益を見込む。

 自動車は16年3月期まで企業業績をけん引してきたが、前期は為替相場が円高に動きトヨタ自動車が2割の減益となった。今期は主力市場の北米で販売が減速し、日産自動車ホンダを含め大手3社が減益を見込む。

 ただ、トヨタは想定レートを1ドル=105円と実勢よりも10円近く円高に設定した。トヨタは1円の円安で営業利益が年間400億円増えるため、円安が定着すれば利益が予想を上回る可能性がある。

 ▼連結純利益 売上高から様々な費用を差し引いた後の最終的なもうけを示す。「最終利益」と呼ぶ場合もある。グループ全体の経営成績をまとめた連結決算で使い、1つの会社だけの単独決算では「税引き利益」と表記することが多い。
 企業の経営成績を示す損益計算書には大きく分けて3つの利益がある。営業利益、経常利益、純利益だ。営業利益は売上高から原材料費や人件費、減価償却費などを差し引いて求める。いわば本業のもうけだ。ここから銀行からの借入金にかかる支払金利などを引いたのが経常利益。そして減損など一時的に発生した特別損益を加味し、法人税を払った後に残ったのが純利益になる。株主への配当や将来の設備投資の元手になる。
 純利益は企業の実力や株価の割高・割安を測るときのベースとなる。純利益を自己資本で割った自己資本利益率(ROE)は、企業が株主の預けたお金を使ってどれだけ効率よく稼いだかを示す。市場が企業につけた値段である時価総額が純利益の何倍かを示すのがPER(株価収益率)。通常は株価を1株利益で割って求める。

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