2015年07月01日

実在性/非実在性ポイズンバード

鴆(ちん)という鳥が中国にかつていたという伝承が伝わっている。
その羽には猛毒があり、触れるだけでも死んでしまうといわれている。

そんなヤドクガエルでもあるまいし、毒を持った鳥なんていないだろ…
実際のところそう思われていた、ある鳥の発見までは。

それがピトフーイ(ズグロモリモズ)である。

鴆鳥−実在から伝説へ

こちらの茨城大真柳教授によると、古代中国ではかなりの数の毒殺が
行われていた模様で、あまりの危険性ゆえ、鴆のいる森を焼きはらったり
した模様である。
…人類が絶滅させとったんかい。

文献上での話だが、7世紀には絶滅させて、もうそれ以降は記録上の存在…
そしてファンタジーの存在になってしまっていたのだなこれが。

ところが、1990年代になってピトフーイに毒があることが明らかになると
話は一転してしまう。
捕まえた研究者がかまれた部分を舐めたことが毒発見のきっかけだが、
よく死ななかったものだと思う本当に。

ファンタジーでも何でもない、なんだおったんかい毒を持つ鳥は。
まぁ鴆については人類が絶滅させてしまったんだけど多分おそらく。

さてこのピトフーイ、ど派手な色だがヘビは捕食しない。
なにしろ全身毒装甲で覆われているのだ。
鴆がヘビを食べるなどという伝承もあった模様だが、さすがに実際には
そのようなことはしない。
伝承上の鴆は本当に食ってたかもしれないけれどよくわからない。

鴆の毒殺用の部位は羽が有効であるとされ、羽を浸した酒がよく
用いられた模様である。
なお肉は生臭くて食えたもんじゃないとのこと。

鴆の毒がピトフーイと同様だとすると、バトラコトキシンという神経毒の
可能性がある。
触れるだけでも結構ヤバいなこの毒。
羽などに多く含まれているが肉にまで含まれていて、これを取り除いて
食べる方法はちょっと考えないと厳しいなぁ。

矢毒などの一部は注射だと有害だが、食べると無害というものもある。
しかしこいつは食べても有害なのでどうにか分解しないとならない。

ナトリウムチャンネルを開きっぱなしにする性質を持っている。
この性質はフグ毒などのテトロドトキシンの逆なので合わせて食えば…
というのはさすがに無謀だと思う。

合成自体も最近になってようやく行えたので、性質についてもあまり
明らかになっていない。
分解、中和もなかなか難しそうである。

どう考えてもこんなもん食べれないよなぁ…食べたいのかよ。


posted by とくがわ at 23:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 食べてはいけない幻想生物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/421632019

この記事へのトラックバック